上 下
11 / 39

自分の立場

しおりを挟む
「リゼお姉さまぁ!待ってください!どうして先に学園へ行くの!?」

小走りをしながら私の後を追うキャンディは私の腕を絡めて一緒に歩く。

義母様に嫌われたくもなく、お父様に迷惑をかけたくなかったからキャンディのお願い事は良く聞いていたなぁ。無邪気に私を慕うのが可愛いと思っていたけれど、なんというか‥‥

「あっ、そうだ!あのね、いつものようやに私の宿題をお願いしてもいいかな?」

「嫌よ」

「なな、なんでぇ!?お姉様本当にどうしちゃったのぉ!!」

「貴女の頭がどうしちゃったのよ?自分の宿題くらい自分でしなさい」

そうキッパリと断ると頬を膨らませるキャンディは涙目になる。

「なんでもお願いを聞いてくれてたのに‥‥何処で変わったの‥‥やっぱり、あの汚い男でしょ!最近あの汚いやつと話してるし、全然並んでも釣り合わない!」

そう大きな声を出すキャンディに、朝からきた学園の生徒達は何事だと注目をしていた。

私はそのまま無視をして自分の教室へ向かった。

一人で突っ立っているキャンディに、生徒達はコソコソと話す。

「またリゼ嬢を困らせているぞ」

「あぁ、あの‥‥。リゼ様はあんなに立派なのにーー」

キッと睨むキャンディに、生徒達はそそくさと立ち去る。


「キャンディ」

「アッサム様ぁ!!お姉様がおかしくなったわ!いつも私の味方だったのに!」

「大丈夫だよ。キャンディ、君は心配しなくても僕が以前のようなリゼを取り戻してみせるよ」

以前は当たり前だと思っていた事がとても面倒で馬鹿くさいと感じる。フと仲良く歩く男女の生徒達を見つめる。親が決めた婚約者同士だろうけど、私から見てもお互い大好きなんだなあと感じる。

「‥‥‥いいなぁ‥‥」

そう呟いて自分のクラスの教室へと向かおうとした時、タイミングが悪かったのか、セイがいた。さっきの独り言聞こえたかな!?

セイは私の視線の先を見てどう思ったのかよくわからないけれど、何故か私に飴玉をくれた。

「‥‥なんで飴玉?」

「最近甘いものを持ち歩くようにしてるんです。仕えているお嬢様が甘いもの好きなようなので」

いつも通りに接するセイだから、さっきの独り言は聞こえてなかったのかな?聞こえてたら、なんか嫌味言われそうだものね!

「あはは!飴玉持ち歩くなんて、大阪のおばちゃんーーいや、なんでもない。ありがとう」

私はそうセイにお礼を言って立ち去る。




飴玉を食べるリゼの様子を見つめるセイロンの肩を掴むアッサムは声をかける。

「また君か?キャンディに聞いたけど、リゼとはあまり関わらないでくれ。今のリゼはおかしいんだ」

「‥‥‥本当にリゼお嬢様を大事に思うならば、今のリゼお嬢様ときちんとお話をされてはどうです?」

「‥‥なっ‥‥!言われなくても話しあうつもりだ!リゼと結婚したら真っ先に君はクビにするからな!」

「お好きにどうぞ」

淡々とした態度のセイロンが気に食わないのか、アッサムは顔を真っ赤にして拳を握りながら睨む。

「‥‥確か君も剣術大会に参加するんだろ?まあ、君みたいな者でも一応参加する資格はあるさ。ただ、リゼは特別な子だ。君とは似合わない!」

そう言いアッサムは去っていく。

「‥‥自分の立場くらい理解しています」

グッと堪える声で呟くセイロンの姿を、木の上で寝ていた赤い髪色の少年が話を聞いていた。

「ふぅーん?」


しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

マルフィル嬢の日々

夏千冬
恋愛
 第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。  それも王命により屋敷に軟禁状態。肉襦袢を着込んだ肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!  改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットを始めた。そして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することをスタート目標に、更生計画を開始する! ※こちらはアルファポリス様、小説家になろう様で投稿させて頂きました「婚約破棄から〜2年後〜からのおめでとう」の連載版です。タイトルは仮決定です。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。

ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの? ……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。 彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ? 婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。 お幸せに、婚約者様。 私も私で、幸せになりますので。

かつて悪役令嬢と呼ばれた彼女は悪役お嬢様に転生してしまったようです

くま
恋愛
「リリー・シルベリア!今夜を持って婚約を破棄する!おまえは嫉妬に狂い、愛しのユリアンに酷い嫌がらせをしていると報告を受けた!悪役令嬢めが!」 大好きだった婚約者ルイに、婚約破棄をされた。そしてルイの新しい恋人のユリアンに、殺された令嬢リリーは目を覚ましたら知らない世界へと転生さ、知らない黒髪の女の子姿になっている自分に驚いた。 ここは日本という国らしい。 リリーは紫苑という日本ではちょっとしたお嬢様に生まれ変わっていた。その紫苑という子、かなりのお転婆で《性悪》だったようです! 以前の世界よりかは自由がある、リリーは紫苑として生きていくことを決意! 変わり始めた彼女に周りの人たちは紫苑を慕い、無自覚にもモテ始める。基本はベタ甘々にされるけど、徐々にシリアス展開もありです。 でもなんだか、抜けてる主人公です。 主人公が転生する前の世界のお話もチラホラ出てきます、少し混乱するかもしれませんが…。 更新めちゃ遅いです! ※ざまあ…頑張ってざまあをしたいです!(ざまあしたいですはおかしいですね!) ※この作品はリメイク版です。かなり待ってくださった読者様がいたし、私自身もう少し話を練り再度チャレンジ!と思い書きました。この再度練り直しが本当に良いかわからませんが……自己満もあります。どうか広い心で読んでくださいませ。 初めて読む方もいると思いますが、元作品はあまり気にしないでいただければと。ネタバレとかもあるだろうし、そういうの嫌な方がいると思うので、元作品は非表示にしています^_^

婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました

花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。 クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。 そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。 いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。 数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。 ✴︎感想誠にありがとうございます❗️ ✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦 ✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

今更、いやですわ   【本編 完結しました】

朝山みどり
恋愛
執務室で凍え死んだわたしは、婚約解消された日に戻っていた。 悔しく惨めな記憶・・・二度目は利用されない。

私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ

榎夜
恋愛
私の婚約も勉強も、常に邪魔をしてくるおバカさんたちにはもうウンザリですの! 私は私で好き勝手やらせてもらうので、そちらもどうぞ自滅してくださいませ。

処理中です...