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私は私

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セイロンは朝練を終えて、すぐに学園の制服に着替えて外に出るとピシッと背筋を伸ばしながら本を読むリゼの姿をみかける。そんなリゼに屋敷にいる誰もが声などかけられなかった。

「‥‥学園へはいかれないのですか?」

「あら、セイ、おはよう。見てわからない?私今、怠けてるのよ」

「いえ‥‥本を読んで勉強してみえますが」

「バカね。するわけないじゃない」

リゼ曰く、ゴロゴロして怠けていると本人は言っているが、やはり長年の癖や習慣が馴染んでるのか、周りから見たら完璧な令嬢にしか見えなかった。ただ、部屋に引きこもってばかりなのは、屋敷内はもちろん周りからは噂が流れてはいる。


「お、お姉様!!」

可愛いらしく小走りする妹のキャンディが私の肩を掴み青ざめた顔をしながら話かける。

「こ、この男と何をお話ししてるんです!?」

「‥‥キャンディお嬢様‥おはようござーー」

「やだ!汚ならしい貧民街出身の貴方は私やお姉様と話すなんて許されないの!話しかけないで!」

キャンディはセイが気に食わないのかしら?キャンディはセイを恐れているようだけど‥‥

「はあ。キャンディ、貧民街出身とか今は関係ないわ。彼は私達の家の者よ。そんな事より早く学校へ行きなさい」

そう冷たく突き放すと、何故かキャンディは涙を浮かべる。

「‥‥‥おかしい。おかしいおかしい!こんなの私のお姉様じゃないわ!お姉様はいつも優雅で優しくみんなの憧れの令嬢なのに!!私の事を最近避けてばかりで引きこもっていておかしい!!こんな汚らしい者とつるむなんて!!」

そうセイを睨み、また走り去っていく。私は地面に落とした本を拾おうとした時、セイが拾ってくれた。

「‥‥ありがとう。あの、妹の無礼を謝るわ‥朝から嫌な思いをさせてしまってごめんなさい」

「‥いえ、キャンディお嬢様の仰る通りですから」

そう少しの間沈黙が続いた。家族も周りも、私という人間は完璧じゃないと許されないのかしら。

「ねえ、私っておかしいかしら?」

そう私はなんとなくセイに聞いてみた。

「‥‥貴女は元々おかしい方ですけど」

「は?セイ、やっぱりあなたは嫌なやつね」

そう私が苛々と話していると、何故かセイはクスッと笑いやがったわ。

「そろそろ学園へ通ってください。学園の女王様がいないとみんな泣いてますよ」

「ちょ、やめて。そのあだ名!黒歴史だわ!」

「‥‥リゼお嬢様はリゼお嬢様ですからね」

そう学園の方へ行くセイロン。‥‥というか、あの子の制服姿初めて見たわね。確か私達とは違う校舎の騎士科だっけ。そもそも、回帰前はこんなに会って話したりしなかったから、変な感じ‥‥。

変な感じだけど‥‥気分は悪くないかな?




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