【完結】今世は我儘なぐーたら令嬢を目指します

くま

文字の大きさ
上 下
4 / 39

婚約いたしません!

しおりを挟む
あれから私は主に食っちゃ寝をしていた。
大好きな甘いケーキに好きな時に寝て起きる生活‥‥前世ではブラック企業に勤めてて、なかなか寝る時間なんてなかったけど今は最高ね!

「あとはテレビやパソコンあれば、動画見て楽しいんだけどなあ~」

最近ゴロゴロとする私をメイド達は驚いて距離を置かれている。

『才色兼備のあのリゼお嬢様が!?』

『一体何があったんだ!?』

とまあ、色々と言われている。

いや、もう本当グータラしたいんですよ。そういえば‥‥セイに貸してもらったタオル、返したほうが良さそうよね?

私は騎士達の練習場へと向かう途中、お父様とお母様が私を呼ぶ。

「リゼ!貴女体の調子が悪いと噂になってるわ!レッスンもせず、学園も行かないなんて‥‥」

「私達に何も言えない悩みがあるのか?お前は跡取りなのだ。アッサム君は伯爵家だが、次男で問題無いし、良き夫となれると考えているんだ。だから今後はーー」

私は思いっきり息を吸って声だしてハッキリと断った。

「私は婚約いたしません!絶対に!」

二人はわけがわからないという顔をしていた。確かに二人から見た私は、つい最近までアッサム様に好意を向けて、婚約も前向きだったからね。でも‥‥もう愛だの恋だの、結婚なんて知らん!!

「し、しかし‥‥お前は次期この家を継ぐものとしてアッサム君と一緒になるのが」

「お父様、私はこの家を継ぐつもりはありません。キャンディに継がせればいいのでは?」

「ななな何を?!」

「あら、貴方いいじゃないのかしら?私の可愛いキャンディも出来るこよ」

母亡き後、すぐに結婚したお義母様は、亡くなった母に似ている私が気に食わないのよね。

私と父が話をしていた時だ。

「リゼ!ようやく会えた!」

‥‥ずっと避けていたけれど、もう駄目ね。逃げては‥‥。あぁ、今でもはらわたが煮えくりかえりそうよ。金色の髪に綺麗な緑の瞳の少年は、私の手を握って心配そうにする。

婚約者で愛していた人だった。この人と幸せな家庭を築きたいと思って願っていた。

私はゴクンと唾を飲みこみ、彼に挨拶をする。

「‥‥‥アッサム様、お久しぶりです」

「リゼ、君は僕との婚約を望んでないのかい?」

「勿論です」

「僕は君と‥‥君と一緒になってもいいと考えているんだ」

うん、そのなってもいいという、上から目線発言辞めて欲しいわね。

「アッサム様、私達は仲良く過ごしていた幼馴染であり良き友人でした。でも私は一生結婚なんてしません」

私がそう言うとお父様は倒れそうになっていた。我儘とかそんな事一度も言った事がなかったからビックリしているんだろうけど、そばにいた父は固まっていたもののハッと我に返り私に話かけた。

「リゼ、お前にも考えがあるのはわかるが、キャンディが継ぐなんて言わないでくれ。あの子には荷が重すぎる」

「は?お父様。なら、私はいいということ?あの子は勉強をサボってなければ、大丈夫ですよ」

お父様は口答えした私を見て驚きつつも、怒鳴る事はなく、「ま、また話そう」と立ち去る。

ハアと溜息を出す私の隣にいたアッサム様は私に質問をしてきた。

「まさか‥‥好きな人が出来たの?」

「だとしたらどうなんです」

「リゼ、君は僕を好いていたんじゃ‥」

「とぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉい昔はそうでしたねっ」

そうニッコリと微笑み返すと、アッサム様は何故ショックな顔をするのよ?愛しい愛しいキャンディがいるじゃない。

早く帰ってよー!?甘いケーキ食べたい!そういえば、以前からケーキバイキングが出来ていると下町では流行ってるんだっけ。貴族のものは、はしたないと冷めた意見があるけど、もう周りの顔色なんてどうでもよいもの、一度行かないと!

そう思っていた時、アッサム様の後ろには騎士達の訓練が終わり、セイを見かけた。

「あら、セイ!」

そう私が名前を呼ぶと、面倒くさそうな顔をしながら頭をぺこりと下げるセイがいた。騎士の人達は何故かニヤニヤしながら、セイの頬をツンツンとしている。あらあら、可愛がられてるのね?

「‥‥なんの用でしょうか?お嬢様の相手するほど、暇じゃないのですが」

「相変わらず生意気ね。それよりも‥‥あの、これ」

「タオルですね。別に捨ててもよかったのですが」

「あの、2度もありがとう」

「2度?何がです?」

「いや、違う。えっと、一応高級なお菓子も一緒よ。チョコレート菓子!すごく人気のお店から取り寄せたのよ」

そう私はタオルと一緒にお菓子をセイにあげるとセイは笑いながら話す。

「‥‥あぁ、やはり甘いものはまだお好きなんですね」

「へ?」

私が甘いもの大好きってなんで知ってるの?そう思っていた時、私とセイの間にアッサム様が入ってきた。

「リゼは甘いものは食べないよ。美容に悪いって言ってたじゃないか。‥‥ハッ!!まさか‥‥リゼ!君の好きな人って‥‥」

キッとセイを睨むアッサム様に、セイは興味なさげな顔をしていた。そんなセイの態度にさらにアッサム様は苛立っていた様子だった。

「君、リゼはこの家の令嬢だ。言葉使いも態度もわきまえろ。たかだか使用人の分際でーーってリゼ!?」

私はセイの腕を引っ張り出し、アッサム様を無視して歩き始める。

「アッサム様、それではまた」

そう一言言い立ち去る。隣りで歩いてるセイは、首を傾げる。

「リゼお嬢様、よろしいのですか?あの幼馴染の男を好いていたはずでは‥‥」

「むかぁああああしの話しよ。私一生独身でいるつもりよ!‥んぐっ?」

何故か私の口の中に、チョコレート菓子を入れて笑うセイ。

「なるほど‥‥一生独身。確かにそちらのほうがお似合いかもしれませんね」

「‥あ!これは、一気にチョコレート食べるものじゃないわよ!ここのチョコレート、限定ものなのよ」

「はいはい」

意地悪な顔をするセイはやっぱ生意気だわ。この子にチョコレート菓子をあげるんじゃなかった!私のチョコレート!








しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです

月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。 妹のルルだけが特別なのはどうして? 婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの? でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。 愛されないのは当然です。 だって私は…。

マルフィル嬢の日々

夏千冬
恋愛
 第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。  それも王命により屋敷に軟禁状態。肉襦袢を着込んだ肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!  改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットを始めた。そして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することをスタート目標に、更生計画を開始する! ※こちらはアルファポリス様、小説家になろう様で投稿させて頂きました「婚約破棄から〜2年後〜からのおめでとう」の連載版です。タイトルは仮決定です。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

こちらからお断りです

仏白目
恋愛
我が家は借金だらけの子爵家 ある日侯爵家から秘密裏に契約結婚が持ちかけられた、嫡男との結婚 受けて貰えるなら子爵家を支援するが?という話 子爵家には年頃の娘が3人いる 貧乏子爵家に縁を求めてくる者はなく、まだ誰も婚約者はいない、侯爵家はその中の一番若い末娘を求めていた、 両親はその話に飛びついた,これで自分たちの暮らしも楽になる、何も無い子爵家だったが娘がこんな時に役に立ってくれるなんて,と大喜び 送り出され娘はドナドナな気分である 「一体何をされるんだろう・・・」 *作者ご都合主義の世界観でのフィクションです。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。 この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。 ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。 え?口うるさい?婚約破棄!? そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。 ☆ あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。 ☆★ 全21話です。 出来上がってますので随時更新していきます。 途中、区切れず長い話もあってすみません。 読んで下さるとうれしいです。

婚約破棄って、貴方誰ですか?

やノゆ
恋愛
ーーーその優秀さを認められ、隣国への特別留学生として名門魔法学校に出向く事になった、パール・カクルックは、学園で行われた歓迎パーティーで突然婚約破棄を言い渡される。 何故かドヤ顔のその男のとなりには、同じく勝ち誇ったような顔の少女がいて、パールは思わず口にした。 「いや、婚約破棄って、貴方誰ですか?」

処理中です...