上 下
25 / 32
連載

推しのお姫様抱っこは嬉しい

しおりを挟む
ヒロインのアンナ姫が登場し、ゲーム開始から一週間。流石というべきかしら、ヒロインはやっぱりヒロイン!学園のみんな彼女の虜のようだわ。

「可愛らしい笑顔で健気に頑張っているアンナ様は素敵だな」

「この前レイラ様に叱られてしまった花を沢山咲かせるよう積極的に育てられてるわ。お優しいですわね!」

常に彼女の周りには友人に囲まれている。ここでゲームでは攻略対象者達は彼女に興味を持ち話かけるはずなのに…

「ダイアナ留学先で美容に良いとされている紅茶を持ってきたよ」

爽やかな笑顔で紅茶を勧めるメインヒーローのラウル。

「あ、ありがとう。美味しくいただくわ」

「なあ!ダイアナ!久しぶりにさ、また手合わせしようぜ!」

ニコニコとお菓子を美味しく食べているルクア。

「そうね、久しぶりにルクアと剣術の稽古をしたいわ」

「おまえが好きそうな本を留学先で見つけたんだ。よかったら読んでみてくれ」

眼鏡をくいっと直しながら本をくれたセイお兄様。

「とても興味がある分野ですわ。ありがとうございます…」

後ろを振り向くと推しのクラウドはいつも通りね。そう…本当にいつも通りだわ。攻略対象者達である彼らはアンナ姫に興味ないのかしら!!?

「ねえ、ラウル…ラウルはこの前アンナ様を校舎の案内をしたイベン…ではなくて、案内をして何か感じたことあるかしら?」

キョトンとした顔をしたラウルはクスッと笑いながら
「国の王子であるからね、義務として案内しただけだけど?ヘンリー王子の妹っていう認識で特に何か感じることは…どうして?」

「特に意味がないわ。ただみんなアンナ様に興味はー」

「「「ない」」」

みんな口を揃えてそう言うんだもの。まだ日にちは浅いからよね。


その後私は頭を冷やすかのように席から立ち上がり、クラウドと一緒に学園のバラ園へ足を運んだ。そこにはディール・アーロンとアンナ様だわ。ディールルートに入った…ってことかしら??それにしても早いわよね?

アンナ様は私の存在に気づき、可愛らしい笑顔で私の元へ駆け寄ってー

「やっぱり!貴方クラウド君よね!?」

ん????スッと私の横を通り過ぎて
私の後ろに控えていたクラウドの手を握って笑顔で挨拶するヒロイン。うっ…可愛らしいわね。これはまたイチコロだわ!!バッとクラウドの反応を見ていると、少しばかり眉をしかめていた。…これは照れているんだわ!

「失礼ですが…アンナ様とお会いした覚えは…」

「あるわ!一度だけ!三年ちょっと前にかなぁ、教会であったの…覚えてないかなあ?私はね、クラウド君覚えてるんだけどなあ」

しょんぼりとするアンナにクラウドは何となくピンときたのか「あぁ…あのときの…なるほど……姫だったんですね」
と納得していた。

って!え?!いつのまにフラグたっていたのかしら!!?三年前?教会!?!もしかしてクラウドがお世話になった教会!?二人は見つめ合っているわ…。

頭がぐるぐるとして考えていたら、ラウル達も来て
「ダイアナ、急に立ち上がって何処にーって…
あぁ、アンナ姫もいらしたのですか」

何故か…ニコッと優しい営業スマイルモードのラウルだわ。
ルクアもセイお兄様もアンナ様にお辞儀をしてアンナ様はニッコリ可愛いらしい笑顔で
「今ディールと薔薇を見ながら砂糖菓子を食べていたんです!みなさんもどうですか?」

砂糖たっぷりのお菓子をみんなに分けるアンナ姫。
フと見ると彼女の周りには攻略対象者達が囲んで仲良く話しているわ。

あぁ、ゲームの画面で見た感じ。みんなに愛されてるヒロインってこのことなんだわ。クラウドは…どんな表情で彼女を見ているのかしら…後ろにいるから振り向けば見れるけど…なんとなく見れないわね。
なんとなくみんなの様子を見つめていたら、アンナ様のそばにいたディールは私を見てニコッと笑いながら
「君まだいたの?」みたいな顔をしていた。少し腹が立つわね。私は彼にべーと、舌を出して勝ち誇った顔をしたら、ディールはキョトンとした。

「…私は少し用事あるので失礼しますね」

そう言ってその場から立ち去った。


ダイアナが立ち去った後、ラウル達はすぐにダイアナを追いかける。
「アンナ姫、砂糖菓子をありがとう。僕はこれにて失礼するよ」

「砂糖菓子は太るからなあーあんまり食べたくないや!ごめんな!」

「ダイエット中の妹のダイアナの前であまり甘いものは…では」



「え!?でもでも、せっかく…あ、クラウド君はーってもう…いなくなっちゃった」

しょんぼりするアンナに頭を撫でるディールは
「あはは、みんな忙しいんだよ!また仲良くなれるさ」

「うん…ねぇディール…」

「ん?なに?お姫様」

「私ね…クラウド君がとても欲しくなっちゃったなぁ」

少し虚な目で話すアンナを見るディールは少し困った顔をするものの
「……そっか。姫は欲張りな子だね」







「…ダイエットしなきゃ!そうよ!痩せなきゃ!」

一人でぶつぶつ考えながら歩いていると

「様…ダイアナお嬢様」

振り向くとクラウドがいた。

「え、あら、、いつのまに…」

「…?ずっとダイアナお嬢様のそばにいましたが…」

「…え、そうだったの?ごめんなさい、ボーとして…」

少し沈黙した後クラウドは私の顔を少し覗きこんだ後
「失礼…」

「えっ、あの」

クラウドは私を抱き抱えて
「やはり顔色が悪いようなので保健室へいきましょう」

推しのクラウドにお姫様抱っこは嬉しいわ!嬉しいけれど!!なんだか…恥ずかしいわね。

「わ、私歩けるわよ」

「はい」

「また体重増えちゃったのよ」

「はい」

優しく微笑みながら、少し私をからかうクラウド。

「………あ、あの…もう少しゆっくり歩いてちょうだい」

贅沢な願いかもしれないけれど…ほんの少しだけクラウドとの時間が欲しかった。

クラウドは何も言わずただゆっくりなペースで私を保健室へと運んでくれた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。