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ラストクリスマス
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人類は一度滅びかけた。地球の外からやってきた謎の生き物によって、それでもいろんな奇跡と偶然と神様の気まぐれで人類は生き残った。たとえその数をほぼ全滅とまで減らされたとしても、まだ滅んでいない、滅んでいないのだ。やっと落ち着いた世界で必要になったのは次世代だった。またいつ来るかもしれない脅威に対して、という意味でも、この平和を味わいたいという意味でもかなり出産は奨励された。それはもはや、強制と言っても差し支えないほどに。
「おい!!ミク!アスカ!!どこにいるんだ!!出てこい!!」
外から怒鳴り声が聞こえてくる。誰が出ていくもんか、という強い意志はあるけれど、隣にいる愛する彼女の姿を見ると自然と笑みも零れる。お互いに唇に指を当てて、しーっなんてすればもう笑いをこらえるほうが大変だ。
「今日こそは相手を選んでもらうからなーー!!」
誰が選ぶかクソ親父め。声が遠くなっていくのを聞きながら、指を絡めた秘密の恋人と耳を澄ませる。ずいぶんと離れたのを感じて、やっと声を出す。
「誰が行くかっての」
「あはは・・・、私もミクちゃん以外は、その、嫌かなぁ」
「私だってアスカ以外なんて死んでも嫌」
人口を増やすことが急務となったこの時代ではパートナーを持つことが責任の一端となった。でもそれは子供を産むことができる男女だけのことで私たちみたいな同性のパートナーは含まれていない。生まれた時から一緒、育ったのも一緒、今さら碌に知らない男とパートナーなんて絶対に嫌。
「昔は同性でも何も言われなかったらしいのにね」
「40だか50年前の話でしょ?羨ましいけど、その時代に生きてたら今ごろ死んでる可能性もあるのか・・・」
「微妙なところだねぇ」
「微妙なところですねぇ」
大人は不思議だ。ただ必要だからという理由で好きな人を愛することすら禁止しようとする。そんなだから滅びかけるんじゃないの、とは流石に言えない。本当に冗談抜きで鉄拳制裁を食らうことになる。
「「くしっ」」
隙間の沈黙を破るのですら二人同時だった。それにしても寒い。雪がそれなりに降り始めたこの頃では廃墟の中はやっぱり寒い。そろそろ戻ろうか、なんて言葉は恋人の言葉で遮られる。
「あっちにしっかりした建物あったよ、行ってみない?」
アスカがそんなことを言い出すのは珍しい。こういうのは大体私が言い出しっぺで私がふり回すことが多い。だからこそ、今日みたいにアスカから誘われるととてつもなく嬉しい。アスカの気持ちが変わる前にそのしっかりとした建物に行ってみることにした。
その建物はおそらくはホテルとして使われていたと思われるものだった。入口は朽ちているし、当然ながら受付らしき場所にも人がいない。というかあんなサイズじゃ手しか出せなくない?同じ疑問はアスカも持っていたらしい。
「なんか、受付小さいね・・・?」
「ね、鍵だけ出すとか?」
「わかんない、上行ってみよ」
階段を上っていくとやっぱりただのホテルだ。さっきの謎の受付はなんかそういうウリのだろう。昔は色々なものが色々な種類あったって聞いたことがある。鍵はやっぱりどこも開いていた。とりあえず一番近場の部屋に入ってみる。
「「わぁ・・・」」
思わず二人で感嘆の息が漏れる。それほど綺麗な部屋だった。そして真ん中には大きなベッドが鎮座している。二人どころか、三人、いや、私たちみたいに小柄なら四人ぐらいは寝れそうな大きなベッドだ。なんだか気後れしてしまって二人そろってベッドの端に腰を落ち着ける。
「いい場所だね・・・」
「・・・」
アスカが無言で頭を預けてくる。アスカは恥ずかしがりやだからこうやって動作で気持ちを表そうとすることが多い。大人たちは嫌いみたいだけど、別に一人ぐらいそういう子がいてもかわいいと思う。そして、アスカがこうやって頭を預けるときは・・・。
部屋は思ったよりも暖かくて、服を脱いでも特段寒かったりはしなかった。アスカの服を脱がすと細い肢体が出てくる。白くて、細くて、綺麗な体。その中に一筋走る大きな傷跡は、私たちを繋ぐ絆の痕でもある。彼女は見られるのを嫌そうにするけど、私は嫌いじゃない。
「・・・えっち」
そうは言われても、傷口に舌を這わせた時に耳が赤くなってるのは隠せてない。
「そんな嫌そうにしなくてもいいじゃん。こんなにエッチなのに」
「そんなこと言うのミクだけだもん・・・」
ツツと這わせた体の温度が上がっていくのが舌で感じる。少しづつ火照っていく彼女はきっと今生きている全部の人よりも綺麗で艶やかだった。
「ひゃっ」
彼女の体を味わっていると、いつの間にか彼女の手が私の下腹部に触れる。使う予定もない場所だけど、こういう時に一番最初に反応するのはやっぱりここだ。疼くのは彼女に対してだけ、ほかの有象無象では不快感しかないのに。
彼女の指が私の中に入ってくるたびに思わず中が痙攣してしまう、彼女は全く気にしていないようだけど。というかアスカは私が初めてだから当然といえば当然かもしれないけど。
「ミク、かわいいね・・・」
耳元で細い声がゆっくりと浸透してくる。じっくりと浸透する言葉はどんどんと私の理性を溶かしていって、にやける口元を隠すことすら怪しくなってくる。
アスカの指が私の割れ目をゆっくりと撫でる。まるでそれ自体が楽しいとでもいうかのように上に、下に、と指が往復する。そのたびに溢れて零れる愛液が彼女の指を汚しながら卑猥な音を立てる。私の手はポーズだけでも彼女の腕を止めようとしているけど、結局添えるだけになって、逆に彼女の手が動くことを助け始めている。
「すごい・・・。これ、すごいよ」
真っ白に汚れた指を眺めながら感想を言うのは正直恥ずかしすぎて顔が燃える。
「ミク、はい」
彼女の指が私の口の中に入ってくる。私がそれを止めることができるはずもなく、入ってくる指に舌を這わせる。これは調教されたわけじゃない、されたんじゃなくて彼女が一番喜んでくれるだけだ。指に這わせた舌からは自分の味がする。何度も舐めた味だけど美味しくはない、でも彼女が嬉しそうに指を動かしているのを見ると何度でも、何度でも綺麗にしてあげたくなる。
「アスカ、お願い」
自分でも驚くほど甘ったるい声が出た。この部屋だとなんとなく気分が高ぶってしまっている、気がする。
「ふふ、はい、はい」
彼女の指が、さっきまで執拗に撫でるだけだった指が、割れ目を開いて中に入ってくる。水に濡れた紙を無理やり開くような音を出しながら、指がゆっくりと奥まで入ってくる。ぞりぞりと私の弱点を撫でながら、外にある彼女の親指は私の弱点を的確に指で弾いた。
「んひっ」
視界が白く濁るほどの快感は最近二人でスる暇がなくて、感度が上がっている私の快楽中枢を簡単に燃え上がらせる。快感を受け入れることにすべてのリソースを使った私の体は荒い息を漏らすことが精一杯だった。
隅にある時計が正しいのは部屋に入った時に確認済みだ。まだまだ宵の口と言っても差し支えない時間だ。そういえば、今日は確か・・・。
「今日ってクリスマスってやつじゃなかったっけ」
同じことを考えていたらしい。名前も知らない神様が生まれただか復活だか、とにかくめでたい日らしい。平和な時はプレゼントをもらったりしたらしいけど。
「・・・じゃあ、ここは神様がくれたのかな」
思ったよりも掠れた声は少し恥ずかしかったけど、アスカはそんなこと気にしないだろう。
「そうかもね、あ」
「どうしたの?」
「めりーくりすます」
「・・・なにそれ」
「わかんない、なんか見たことあるなって」
とにかく今日はめでたいらしい。
「おい!!ミク!アスカ!!どこにいるんだ!!出てこい!!」
外から怒鳴り声が聞こえてくる。誰が出ていくもんか、という強い意志はあるけれど、隣にいる愛する彼女の姿を見ると自然と笑みも零れる。お互いに唇に指を当てて、しーっなんてすればもう笑いをこらえるほうが大変だ。
「今日こそは相手を選んでもらうからなーー!!」
誰が選ぶかクソ親父め。声が遠くなっていくのを聞きながら、指を絡めた秘密の恋人と耳を澄ませる。ずいぶんと離れたのを感じて、やっと声を出す。
「誰が行くかっての」
「あはは・・・、私もミクちゃん以外は、その、嫌かなぁ」
「私だってアスカ以外なんて死んでも嫌」
人口を増やすことが急務となったこの時代ではパートナーを持つことが責任の一端となった。でもそれは子供を産むことができる男女だけのことで私たちみたいな同性のパートナーは含まれていない。生まれた時から一緒、育ったのも一緒、今さら碌に知らない男とパートナーなんて絶対に嫌。
「昔は同性でも何も言われなかったらしいのにね」
「40だか50年前の話でしょ?羨ましいけど、その時代に生きてたら今ごろ死んでる可能性もあるのか・・・」
「微妙なところだねぇ」
「微妙なところですねぇ」
大人は不思議だ。ただ必要だからという理由で好きな人を愛することすら禁止しようとする。そんなだから滅びかけるんじゃないの、とは流石に言えない。本当に冗談抜きで鉄拳制裁を食らうことになる。
「「くしっ」」
隙間の沈黙を破るのですら二人同時だった。それにしても寒い。雪がそれなりに降り始めたこの頃では廃墟の中はやっぱり寒い。そろそろ戻ろうか、なんて言葉は恋人の言葉で遮られる。
「あっちにしっかりした建物あったよ、行ってみない?」
アスカがそんなことを言い出すのは珍しい。こういうのは大体私が言い出しっぺで私がふり回すことが多い。だからこそ、今日みたいにアスカから誘われるととてつもなく嬉しい。アスカの気持ちが変わる前にそのしっかりとした建物に行ってみることにした。
その建物はおそらくはホテルとして使われていたと思われるものだった。入口は朽ちているし、当然ながら受付らしき場所にも人がいない。というかあんなサイズじゃ手しか出せなくない?同じ疑問はアスカも持っていたらしい。
「なんか、受付小さいね・・・?」
「ね、鍵だけ出すとか?」
「わかんない、上行ってみよ」
階段を上っていくとやっぱりただのホテルだ。さっきの謎の受付はなんかそういうウリのだろう。昔は色々なものが色々な種類あったって聞いたことがある。鍵はやっぱりどこも開いていた。とりあえず一番近場の部屋に入ってみる。
「「わぁ・・・」」
思わず二人で感嘆の息が漏れる。それほど綺麗な部屋だった。そして真ん中には大きなベッドが鎮座している。二人どころか、三人、いや、私たちみたいに小柄なら四人ぐらいは寝れそうな大きなベッドだ。なんだか気後れしてしまって二人そろってベッドの端に腰を落ち着ける。
「いい場所だね・・・」
「・・・」
アスカが無言で頭を預けてくる。アスカは恥ずかしがりやだからこうやって動作で気持ちを表そうとすることが多い。大人たちは嫌いみたいだけど、別に一人ぐらいそういう子がいてもかわいいと思う。そして、アスカがこうやって頭を預けるときは・・・。
部屋は思ったよりも暖かくて、服を脱いでも特段寒かったりはしなかった。アスカの服を脱がすと細い肢体が出てくる。白くて、細くて、綺麗な体。その中に一筋走る大きな傷跡は、私たちを繋ぐ絆の痕でもある。彼女は見られるのを嫌そうにするけど、私は嫌いじゃない。
「・・・えっち」
そうは言われても、傷口に舌を這わせた時に耳が赤くなってるのは隠せてない。
「そんな嫌そうにしなくてもいいじゃん。こんなにエッチなのに」
「そんなこと言うのミクだけだもん・・・」
ツツと這わせた体の温度が上がっていくのが舌で感じる。少しづつ火照っていく彼女はきっと今生きている全部の人よりも綺麗で艶やかだった。
「ひゃっ」
彼女の体を味わっていると、いつの間にか彼女の手が私の下腹部に触れる。使う予定もない場所だけど、こういう時に一番最初に反応するのはやっぱりここだ。疼くのは彼女に対してだけ、ほかの有象無象では不快感しかないのに。
彼女の指が私の中に入ってくるたびに思わず中が痙攣してしまう、彼女は全く気にしていないようだけど。というかアスカは私が初めてだから当然といえば当然かもしれないけど。
「ミク、かわいいね・・・」
耳元で細い声がゆっくりと浸透してくる。じっくりと浸透する言葉はどんどんと私の理性を溶かしていって、にやける口元を隠すことすら怪しくなってくる。
アスカの指が私の割れ目をゆっくりと撫でる。まるでそれ自体が楽しいとでもいうかのように上に、下に、と指が往復する。そのたびに溢れて零れる愛液が彼女の指を汚しながら卑猥な音を立てる。私の手はポーズだけでも彼女の腕を止めようとしているけど、結局添えるだけになって、逆に彼女の手が動くことを助け始めている。
「すごい・・・。これ、すごいよ」
真っ白に汚れた指を眺めながら感想を言うのは正直恥ずかしすぎて顔が燃える。
「ミク、はい」
彼女の指が私の口の中に入ってくる。私がそれを止めることができるはずもなく、入ってくる指に舌を這わせる。これは調教されたわけじゃない、されたんじゃなくて彼女が一番喜んでくれるだけだ。指に這わせた舌からは自分の味がする。何度も舐めた味だけど美味しくはない、でも彼女が嬉しそうに指を動かしているのを見ると何度でも、何度でも綺麗にしてあげたくなる。
「アスカ、お願い」
自分でも驚くほど甘ったるい声が出た。この部屋だとなんとなく気分が高ぶってしまっている、気がする。
「ふふ、はい、はい」
彼女の指が、さっきまで執拗に撫でるだけだった指が、割れ目を開いて中に入ってくる。水に濡れた紙を無理やり開くような音を出しながら、指がゆっくりと奥まで入ってくる。ぞりぞりと私の弱点を撫でながら、外にある彼女の親指は私の弱点を的確に指で弾いた。
「んひっ」
視界が白く濁るほどの快感は最近二人でスる暇がなくて、感度が上がっている私の快楽中枢を簡単に燃え上がらせる。快感を受け入れることにすべてのリソースを使った私の体は荒い息を漏らすことが精一杯だった。
隅にある時計が正しいのは部屋に入った時に確認済みだ。まだまだ宵の口と言っても差し支えない時間だ。そういえば、今日は確か・・・。
「今日ってクリスマスってやつじゃなかったっけ」
同じことを考えていたらしい。名前も知らない神様が生まれただか復活だか、とにかくめでたい日らしい。平和な時はプレゼントをもらったりしたらしいけど。
「・・・じゃあ、ここは神様がくれたのかな」
思ったよりも掠れた声は少し恥ずかしかったけど、アスカはそんなこと気にしないだろう。
「そうかもね、あ」
「どうしたの?」
「めりーくりすます」
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