双子山女子高等学校

神谷 愛

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委員長との約束

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 保険は必要だ、いつだって。各種様々な会社が諸々種々の方法で謳っていることだ。その目的が利潤の追求だとしても、その言葉が嘘だとは限らないし、ましてや悪意だとも限らないわけだ。
 という側面があったとして、私がこの保険という言葉を正直な理由で使っていて、そこにあるのが善意から来る臆病な心持だとは言っていないし、そもそも私を善人というには少し無理がある。
「ねえ、委員長」
「な、何かな」
 何かを察しているかのように強張った反応をする委員長。その少し怯えたような目つきがどうしようもなくゾクゾクする全身が甘く痺れるようにすら感じる。今さっきすべてを発散してしまったはずの相棒はいつの間にか硬さを取り戻し始めている。
「委員長はさ、シたことある?」
「・・・何を、かな」
「そんな真っ赤な顔で知らないフリは無理があると思うな」
 真っ赤な顔で顔を横に振るさまはバレバレの悪戯を必死に知らない振りをする犬のようだった。犬なら可愛いであろうその姿もこの状況で彼女が行えば、ただ徒に劣情を煽るだけの行為になり果てる。何かに必死になる彼女の姿を見ていると、無性に下半身に熱が集まる。ただ好みど真ん中の彼女を見ているだけで限界になりそうだというのに、ここまで煽られて何もしなければ、せっかくの据え膳を下げられてしまう。
「セックス、知らないなんてことはないんじゃないかな。高校生なんだし」
「そ、そんなことは・・・」
 一々言動の端々がどうしようもなく興奮させる。正直今すぐそこに押し倒して、服を破ってやりたいところだけど、そんなことをしたら母に何をされるのか想像もできない、というかしたくない。
「ねぇ、これ見て?」
「う、うん」
 私の言葉に導かれるままに私の顔に向いていた彼女の視線はまた、下に向かう。そこにはさっきよりも明らかに大きく、太く膨らんだ熱の塊が鎮座している。
「さっきより大きいよね?」
「う、うん。そうだね」
「委員長ちゃん見てたら大きくなっちゃったの。せっかく納めて教室に行こうと思ってたのに、委員長ちゃんがエッチだからこんなになっちゃった」
「わ、私のせいかな、それ」
 思ったよりも冷静だった。話しているうちに頭が冷えてしまったのだろうか。それは困る。鉄は熱いうちに、丸め込むなら早急に。
「そうなの。委員長ちゃんみたいな可愛い子見たら誰だって我慢するの大変だよ?よく言われない?」
「ないよ。私は、ほら、地味だし」
「そんなこと無いよ。黙ってるだけで可愛いし、喋ったら可愛さ十割増しだよ」
 我ながらこんな歯の浮くようなセリフがポンポンと出てくるなと思う。いや、心で思ったことを口に出しているだけではあるのだけれど。
「・・・」
 見るからに顔に供給される血液の量が多くなっている。言葉は出てこなくてもその心がさっきのセリフで揺れ動きすぎて捻挫しそうになっているのがよくわかる。ここまでくればもう一押しだ。背中を軽く撫でるだけ、だ。
「流石に今からここでシて、なんて言わないからさ。その手を使わせて欲しいなって」
「え?」
「委員長ちゃんの手だけ、貸してほしいなって。もちろん、こっち、を使わせてくれるのならそれは嬉しすぎて魅力的すぎる提案だけど」
 スカートの上から撫でれば、その形の良いお尻の形も、むっちりと肉のついた太もももよくわかる。そのままスカートの中に手を伸ばせば蒸れて蒸れてサウナみたいになっていることも、その熱の発生源がその足の間にあることも。

 もう言葉は必要なかった。彼女の手はもう何も言わずとも私の下半身に向かっていて、その視線は下半身と私の顔とを見比べるだけ。まるでこれが正しいかどうかを無言で確認するかのように、交互に見つめてくる姿はたまらなく愛おしくて、それだけで達することができるような気さえしてくる。
「・・・こういうこと、するの初めてだから。その、してほしいことは言ってほしい、かな」
 自分で言った、言ってしまった。超えるべき一線を、今まで超えないように慎重に生きていたであろう彼女は今日、今、この瞬間に自分でその一線を明確に、超えた。
 今まで幾度となく、見てきた光景。母は私がこうやってしていることを多分知らないだろうし、私も教えるつもりは無い。落とされるのではなく、自分でその足で、こうやって”降りる”のは何度見たとしても慣れることのない興奮を、悦びを、与えてくれる。簡単ではないし、こうやって彼女が簡単に降りたのは偶然かもしれない。それでも私が彼女を自分で降りさせたのだ。
「そう、そのまま握って」
 初めてだからと言って、知らないとは限らない。いい歳をした女子高生がその手のことを全く知らないと言われても説得力は無い。とはいえ、ここは乗ったほうがいいのだろう。
 何の変哲もない彼女の手がしっかりと私を握る。初めて握ったというのはきっと本当なのだろう。こわごわと、でも好奇が抑えられずに握る力を変えてみたり、少し動かしてみたりと興味を満たそうとしているのがよくわかる。
「そのまま上下に、そう。んっ、初めてなのに、上手」
 上下に扱かれる度に先からまた液体が溢れて出てくる。さっき全部出し切ったとは思えないほどに溢れて零れて止めどない。さっきと違うと言えば、その液体に真っ白な部分があるという点だけだ。
「・・・」
 目がしっかりと私の竿から離れないままに一言も発さないままに手を動かす。初めてなのに、力を入れすぎて痛いぐらいに握ることもない。絶妙な力で握って、気持ちよくなる速度を崩すこともない。そう、まるで、猫山家の花柳係のように。
「ねぇ」
「・・・」
「ねぇってば」
「・・・どうしたの?」
 集中しすぎて、声が聞こえていなかったらしい。改めて見た顔は妙に瞳孔が開いていて、少し、怖い。でも、この感じだと母の差し金ではなさそうだ。
「それだけじゃ、足りなくて、お願いなんだけど・・・」
「な、何させる気?」
「そんなに警戒しなくてもいいと思うけど。キスしたいなって」
「キス」
「キス、それだけ」
「本当に?」
「本当に。キスしながら、してほしいなって」
 嫌そう、というよりも求められたことのほうが嬉しいのか、唇がもにょもにょとしている。本人的には嫌そうな顔をしたいのだろうか、残念ながら顔の下半分が正直すぎる。
「ん」
 片手でキスをしてもらうのもなんだか忍びないので、私からしっかりと彼女を抱きしめる。我慢できなくなっても困るので、舌はいれずにただ重ねるだけの唇を濡らすだけのキス。彼女の邪魔をしないだけの静かな、キス。
「んん、はぁ、ん、ちょ」
 キスで気分が上がったのか、手を動かすスピードがさっきよりも早くなり始める。しかも絶対に唇を放そうとしない。さっきまでの嫌そうな顔はどこへやら、片手だけで器用に私の顔をしっかりと掴まえて、唇を捕まえて放そうとしない。
「んんんーーっ」
 しっかりと唇を抑えられたまま、私は絶頂を、この場所では二度目の絶頂を迎えた。一回目の時のようにまき散らすこともなく、彼女の手の中に全部かかっている。袖の先が少し汚れたようだけど、それだけだ。彼女の手は白かったが、そこにかかった私の白はやっぱり違う色で、なんだかすごく、興奮、した。いや、さっきまでも興奮していたんだけど。


「ありがとね。ほいっと」
「え?あ、ちょっと!!」
 私の精を手に乗せてなんだか呆けてるうちにその様子を写真で写しておく。万が一のことを考えて、正直、億が一ぐらいの気もするけど。目的はこの写真だし。
「ちょっと、消してよ」
「やだ、一人で使いたいし」
「使うって、・・・別に呼んでくれれば来るのに」
 なんかすごいことを言い始めた。真面目な子は極端な子が多いけど、彼女もそのクチなのだろうか。かなり好みなので家に連れていきたいのはやまやまだが、流石にそれはまだ早いだろう。
「一緒に住むなら、それでもいいんだけどね」
「う、まぁ、それは、そうだけど」
 尚も食い下がろうとするのを宥めすかしてやっと納得させられたころにはもうとっくに自己紹介どころかオリエンテーションが始まっていた。母がなんとかするだろう、多分、きっと。
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