15 / 17
15】単純な俺
しおりを挟む「…ふぅ」
僕はベッドの上で軽く息を吐いた。
やっと体調も回復したのに父さん達は僕がベッドから出るのをまだ許してくれない。
「…ひま」
暇つぶしのものは本とスマホしかないし。
…夏が言ってたゲームやってみようかな。
僕は記憶を頼りにいくつかゲームを入れてみた。
「…えっと…これを押せばいいの?」
「…ゆず?」
「な…なつぅ!!これどうすればいいの!?」
扉から顔をのぞかせた夏に僕は泣きながら抱きついた。
「げ…げーむやってたらね…しらないひとに…はなしかけられて…」
「え?みせて?」
夏は僕のスマホを見ると…
「なんだ。ほかのプレイヤーか」
「…どうすればいいの?」
「ともだちになるか、ならないかってだけだよ?」
…友達?
ゲームの中なのに?
「てかこれなつのやってるゲーム?…ゆず…もしかしてきょうみあるの?」
「ううん。ひまだったから」
「そか」
夏はベッドに上がり、僕と一緒に大きな枕にもたれ、自分のスマホを出した。
「じゃあなつとフレンドとうろくしよ?」
「ふれんどとーろく?」
「ともだちになってたすけあってゲームするの」
「…する」
わかんないし。
夏がいれば怖くない。
「…ひっ!!」
僕は急に怖くなってスマホを投げ出した。
「ゆず?」
「こ…こわい!!」
僕は夏にぎゅーっと抱きついた。
「…夏。柚はどうしたんだい?」
「わかんないけど…きゅうにこわいって」
「夏。何があったのか母さんに話してくれる?」
「かぁしゃん!!」
僕は母さんの胸に顔を擦り寄せた。
「なつと…げーむしてたの」
「うん」
「そしたらね…しらないひとがはなしかけてきて…」
「それで?」
「『いくつ?』ってきかれたから…さんさいってこたえたの…そしたらね『いいなぁ。おじさんとともだちにならない?』って…」
「…怖いところはないと思うけど…」
「そのあとにね…いっぱいぷれぜんとくれたの。『リアルでもあおうね』って…りあるって…げんじつってことでしょ?しらないひとこわいの…」
「…夏。そのゲームのプレイヤー調べられる?」
「わかんない。けどゆずのスマホここにあるよ?」
夏は僕の捨てたスマホを取り上げた。
「ちょっと貸して」
「はい」
父さんはいくつか操作をして…
「…ちっ。逃げたか」
「なんとか出来ないの?」
「出来ない。…けどプレイヤー名は知れたからね。通報くらいは出来るんじゃないかな。夏、近づいてきたら教えて」
「わかった!!」
母さんはその間もずっと僕を抱きしめて背中を撫でてくれた。
「大丈夫よ。…そんな人なんて消えてしまえばいいのに」
「…かぁしゃんもこわい…」
「ごめんなさいね。ちょっと本音が表に出ちゃったわ」
「…雫が柚に怖がられてどうするの」
僕はベッドの上で軽く息を吐いた。
やっと体調も回復したのに父さん達は僕がベッドから出るのをまだ許してくれない。
「…ひま」
暇つぶしのものは本とスマホしかないし。
…夏が言ってたゲームやってみようかな。
僕は記憶を頼りにいくつかゲームを入れてみた。
「…えっと…これを押せばいいの?」
「…ゆず?」
「な…なつぅ!!これどうすればいいの!?」
扉から顔をのぞかせた夏に僕は泣きながら抱きついた。
「げ…げーむやってたらね…しらないひとに…はなしかけられて…」
「え?みせて?」
夏は僕のスマホを見ると…
「なんだ。ほかのプレイヤーか」
「…どうすればいいの?」
「ともだちになるか、ならないかってだけだよ?」
…友達?
ゲームの中なのに?
「てかこれなつのやってるゲーム?…ゆず…もしかしてきょうみあるの?」
「ううん。ひまだったから」
「そか」
夏はベッドに上がり、僕と一緒に大きな枕にもたれ、自分のスマホを出した。
「じゃあなつとフレンドとうろくしよ?」
「ふれんどとーろく?」
「ともだちになってたすけあってゲームするの」
「…する」
わかんないし。
夏がいれば怖くない。
「…ひっ!!」
僕は急に怖くなってスマホを投げ出した。
「ゆず?」
「こ…こわい!!」
僕は夏にぎゅーっと抱きついた。
「…夏。柚はどうしたんだい?」
「わかんないけど…きゅうにこわいって」
「夏。何があったのか母さんに話してくれる?」
「かぁしゃん!!」
僕は母さんの胸に顔を擦り寄せた。
「なつと…げーむしてたの」
「うん」
「そしたらね…しらないひとがはなしかけてきて…」
「それで?」
「『いくつ?』ってきかれたから…さんさいってこたえたの…そしたらね『いいなぁ。おじさんとともだちにならない?』って…」
「…怖いところはないと思うけど…」
「そのあとにね…いっぱいぷれぜんとくれたの。『リアルでもあおうね』って…りあるって…げんじつってことでしょ?しらないひとこわいの…」
「…夏。そのゲームのプレイヤー調べられる?」
「わかんない。けどゆずのスマホここにあるよ?」
夏は僕の捨てたスマホを取り上げた。
「ちょっと貸して」
「はい」
父さんはいくつか操作をして…
「…ちっ。逃げたか」
「なんとか出来ないの?」
「出来ない。…けどプレイヤー名は知れたからね。通報くらいは出来るんじゃないかな。夏、近づいてきたら教えて」
「わかった!!」
母さんはその間もずっと僕を抱きしめて背中を撫でてくれた。
「大丈夫よ。…そんな人なんて消えてしまえばいいのに」
「…かぁしゃんもこわい…」
「ごめんなさいね。ちょっと本音が表に出ちゃったわ」
「…雫が柚に怖がられてどうするの」
10
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト
春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。
クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。
2024.02.23〜02.27
イラスト:かもねさま
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる