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15】単純な俺

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15】単純な俺

(あ~~~~~……あの時の俺、恰好悪かったなぁ……)

はぁぁぁぁっ……っと長く大きなため息をついたのは、誰でもない俺本人。アラン様に見惚れてとかじゃない。ただの自己嫌悪の溜息。
そんな俗に言うクソデカ溜息をついているのは、いつもの訓練場。今日も訓練し身体を動かし。さぁ、解散と自由時間になったあとその場に座り込んでいるところだ。

「……ちょっとは恰好良いところをアラン様に見て貰えると、期待してたんだけどな」

先日、イケメンのお偉いさんであるレオ殿がやって来て、いつもと違う訓練をした。
レオ殿のところの騎士団員たちと模擬戦のような形で手合わせをすることになり。試合の参加者に立候補したものの、俺の結果はと言えば……正直、「どうです! アラン様! 俺ってば強くなったでしょう?」とアラン様に褒めて貰えることも出来ず。ああ、そんなこともあったなと流したいくらいの、特別結果が良いわけじゃなかった。正直触れないでくれと思う。だが俺にも、言い訳をさせて欲しい。

(何で!! 俺の試合相手が、どうしてあのイケメンのレオ殿なんだよ!!!!!!)

これだ。
参加者をトーナメント形式にしようと名前を書いて、「トーマ」と呼ばれたので「ここにいるぜ!」と返せば俺の様子を見ていたレオ殿が静かに手を挙げたんだ。

『アラン殿の騎士団には、随分と若く将来有望な騎士団員がいるようだ。よければ、私も彼と手合わせ願いたいんだが、今から立候補しても良いだろうか?』

一気に周囲がザワついたあと、またレオ殿がアラン様を見た。アラン様が駄目だなんて言えるはずがない。

『レオ殿が直々にトーマと手合わせして頂けると? それは……! トーマ、良い経験になるぞ』

『は……はい……』

アラン様が「俺のためになる」と試合をOKしたと思えば、ギリギリ許せる。だが、正直なんでだよ!! と言いたかった。その結果は、お察しの通り。(誰に話してるんだ?)
「始め!」と開始の合図と当時に体勢低く飛び込んだものの、いとも簡単に力負け。あっという間に地面に背中が付いていて、青空が見えていた。

『トーマ!!』『おいトーマ、秒殺されてるじゃねぇか!』
そんな声が耳に入るが、そんな声よりも俺に聞こえたのはイケメンが俺を見下ろしながら言った言葉。

『ああ、気絶しなかったのか。凄いじゃないか』

『……は?』

この言葉だ。
俺を見下ろしていたのは数秒で、すぐにレオ殿はアラン様の方に歩いて行った。更に、このままやれば自分が優勝してしまうから、次の試合は棄権すると言い放つ始末。その後は、言葉通りに試合には参加せずアラン様の隣で観戦。
つまり、あの日は俺だけレオ殿に盛大に負けただけで終わっただけ!!

『ああ、気絶しなかったのか。凄いじゃないか』

あの言葉を言い放った時のレオ殿の表情といったら!!

「……いや、絶対性格悪いだろレオ殿」

そう呟いて、俺はまだあの一戦を引きずっていた。

*****
繁忙で全然時間とれませんでした><
久しぶりの投稿です。こちらのシリーズ、この話で終わらせる予定です
久しぶり過ぎて全然書けずorz
新しく何かするか迷い中です
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