【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい！【騎士団員×騎士団長】

8】訓練場へやって来たら

8】訓練場へやって来たら

　夢見が悪く、一日楽しく過ごせそうにない。それならいっそ、休みを返上して訓練して何も考えない方が良い。身体も疲れて、帰ってくればまたぐっすり眠れるだろう。それに、もしかしたら忙しいアラン様が俺たちの訓練場に脚を運んでくれるかもしれない。

（本物のアラン様で、夢の嫌な気持ちを無かったことにしたいぜ）

そんな淡い期待を持ちながら、俺はいそいそと準備をし。

「よし！　行くか！」

と、行かなくて良い訓練場へ向かった俺。
この後。俺は小さな嫉妬をすることになるとは、思ってもみなかった。



　「あれ、トーマ。今日休みじゃなかった？」

「おはよう」と挨拶をしながら最初に声を掛けてきたのは、俺と年が近い団員だ。結構飲みに行くこともあるし、俺より少し年下なこともあり、俺にとっちゃ可愛い弟みたいな奴。俺に構う親父たちよりも、うんと若くて、うんと可愛い。（ごめんな。だが、俺の一番はアラン様ってことで）

「休みだったんだけどよ、こぅ……身体を動かしたいなって思ってさ」

「ふーん。俺なら、一日遊ぶけどね」

そんな話をしていると、俺に気付いた親父が大きな声で名前を呼んだ。

「おい、皆。トーマがいるぞ！」

まるで野良猫でも見つけたかのように、ややっ！　と声を上げた親父。別に来るのは悪くないことだが、別の親父たちも何だと？　と集まってくる始末。全く……親父たちは、本当に俺に構いたくて仕方ないんだからよ～。

「何だよ。いちゃ悪いのかよ。休み返上で訓練にくるなんて、最高の団員だろ？」

「トーマ。俺たちが恋しいのは分かるが、休みを訓練の一つだって言ってんだろ」

「別に恋しかねぇよ。休みについては、そのっ……分かってるけどよ。けど今日は、動きたい気分なんだって」

「しかたねぇな。なら、トーマ休みは、また別の日にな」

「有難う、助かる」

ワイワイと賑やかな訓練場に来れば、茶々を入れられたが、やはり気は晴れた。考える余裕がないように、別の事に集中する方法は良いらしい。親父たちの憎まれ口も可愛くすら感じる。雑念を払うように素振りをしていると、入口の方に見間違えるはずのない姿が見えた。

「休み返上して良かったな、トーマ。お前さんの大好きなアラン様がお見えになったぞ」

（んああああ゛！！！！！　アラン様あああああ！！！）

会いたいけど、今はちょっと夢を思い出して払った雑念が戻って来てしまう。でもアラン様の姿は見たい！　そうだ、あれは夢だ。なら本物のアラン様で上書きすれば最高なのでは？　と考えた俺がアラン様の方をグワッ……！　目を見開いた。

（今日もアラン様が綺麗で最高だな……）

8】訓練場へやって来たら

何だか、ついていそうな気がした。

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