34 / 41
■子供っぽかったのは俺の方だったようで⑥
しおりを挟む
■子供っぽかったのは俺の方だったようで⑥
店を出て夜風が身体を冷やす中、残ったのは俺と加藤先輩だけ。どうにか理由を付けて一人で帰ろうとしたが、先輩は俺を放っておいてくれないらしい。
「水野は可愛いから、ナンパされたりたしたら、また俺が嫉妬する」
そんなことを、俺の手首を掴んで言ってくる始末。まるでドラマのワンシーンみたいなことを、恥ずかしげも無く言えるものだと思うが、顔が良いので違和感がない。
それに、「何言ってるんですか」と言い返そうにも、先輩の目が真剣で何も言えなかった。
(何で、そんなに真剣な目で俺を見るんですか)
「俺は……」
駄目だ。いつもみたいに、可愛いですし? なんて強がったり胡麻化したりすることが出来ない。
真剣に俺を見ながら、その目がどこか縋るようにも見える。「逃げるな」と訴える目から視線を逸らすことも出来ず。先輩の言葉を待った。
「水野。俺がこの前、お前を傷つけたり、怒らせるようなことを言ってしまったのなら謝る。考えなしだった。自分の気持ちや願いばかり押し付けてた。ごめん」
「先輩……」
先輩の方が、俺よりよっぽど大人だ。それに、俺より傷ついたんだろう。こんな顔、今まで見たことがない。
「久しぶりに、先輩って呼ばれたな」
ふふっと笑った先輩が、言葉を続けた。
「水野を好きになってごめん」
最後に小さく呟いた言葉に、俺はヒュッ……と息を飲んだ。
「嫌だ」
「水野?」
「嫌だ。先輩がやっと俺のこと好きになったのに、好きになってごめんなんて言わないでよ」
最近気づいた俺の一面。俺って先輩げんだけど、やっぱり我儘だ。
口を尖らせながら呟いた声は、呟くように小さかったけれど、先輩の耳にはちゃんと聞こえたらしい。
「水野」
俺の手首から、手の平へと先輩の手が移動して手を繋ぐように握りなおした。
「やっぱり酔っているだろう? 送る。駅で良いか?」
周囲の目を気にしながら、酔っぱらいを介抱する様子で対応する先輩。それでも手は繋いだままで、どちらの手も熱く感じた。少しずつ近づいて来た先輩が、駅まで送ると聞いて来る。ここまできて? と思いながら、俺の返事は確認だった。
「先輩。本当に俺のこと、好きなんですか?」
「好きだ」
「なら……」
「ん?」
「なら……先輩の家に連れてって下さい」
ヒソッと耳元で囁いた言葉に、先輩はどう返すんだろう?
「酔ってるからって、そういうこと言うな」
(変なところで、真面目なんだから)
そういう人だって、昔から知ってるけど。
■子供っぽかったのは俺の方だったようで■
「分かりましたよ。俺も、すみません。俺がまだ子供だったんです。明日……は休みか。来週から、ちゃんとするので。大人らしい対応もするので」
元通りになりましょう?
*******
終わらせたいですが、先を考えていませんでした>< うーん
店を出て夜風が身体を冷やす中、残ったのは俺と加藤先輩だけ。どうにか理由を付けて一人で帰ろうとしたが、先輩は俺を放っておいてくれないらしい。
「水野は可愛いから、ナンパされたりたしたら、また俺が嫉妬する」
そんなことを、俺の手首を掴んで言ってくる始末。まるでドラマのワンシーンみたいなことを、恥ずかしげも無く言えるものだと思うが、顔が良いので違和感がない。
それに、「何言ってるんですか」と言い返そうにも、先輩の目が真剣で何も言えなかった。
(何で、そんなに真剣な目で俺を見るんですか)
「俺は……」
駄目だ。いつもみたいに、可愛いですし? なんて強がったり胡麻化したりすることが出来ない。
真剣に俺を見ながら、その目がどこか縋るようにも見える。「逃げるな」と訴える目から視線を逸らすことも出来ず。先輩の言葉を待った。
「水野。俺がこの前、お前を傷つけたり、怒らせるようなことを言ってしまったのなら謝る。考えなしだった。自分の気持ちや願いばかり押し付けてた。ごめん」
「先輩……」
先輩の方が、俺よりよっぽど大人だ。それに、俺より傷ついたんだろう。こんな顔、今まで見たことがない。
「久しぶりに、先輩って呼ばれたな」
ふふっと笑った先輩が、言葉を続けた。
「水野を好きになってごめん」
最後に小さく呟いた言葉に、俺はヒュッ……と息を飲んだ。
「嫌だ」
「水野?」
「嫌だ。先輩がやっと俺のこと好きになったのに、好きになってごめんなんて言わないでよ」
最近気づいた俺の一面。俺って先輩げんだけど、やっぱり我儘だ。
口を尖らせながら呟いた声は、呟くように小さかったけれど、先輩の耳にはちゃんと聞こえたらしい。
「水野」
俺の手首から、手の平へと先輩の手が移動して手を繋ぐように握りなおした。
「やっぱり酔っているだろう? 送る。駅で良いか?」
周囲の目を気にしながら、酔っぱらいを介抱する様子で対応する先輩。それでも手は繋いだままで、どちらの手も熱く感じた。少しずつ近づいて来た先輩が、駅まで送ると聞いて来る。ここまできて? と思いながら、俺の返事は確認だった。
「先輩。本当に俺のこと、好きなんですか?」
「好きだ」
「なら……」
「ん?」
「なら……先輩の家に連れてって下さい」
ヒソッと耳元で囁いた言葉に、先輩はどう返すんだろう?
「酔ってるからって、そういうこと言うな」
(変なところで、真面目なんだから)
そういう人だって、昔から知ってるけど。
■子供っぽかったのは俺の方だったようで■
「分かりましたよ。俺も、すみません。俺がまだ子供だったんです。明日……は休みか。来週から、ちゃんとするので。大人らしい対応もするので」
元通りになりましょう?
*******
終わらせたいですが、先を考えていませんでした>< うーん
49
お気に入りに追加
217
あなたにおすすめの小説
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
【BL】男なのにNo.1ホストにほだされて付き合うことになりました
猫足
BL
「浮気したら殺すから!」
「できるわけがないだろ……」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その結果、恋人に昇格。
「僕、そのへんの女には負ける気がしないから。こんな可愛い子、ほかにいるわけないしな!」
「スバル、お前なにいってんの…?」
美形病みホスと平凡サラリーマンの、付き合いたてカップルの日常。
※【男なのになぜかNo. 1ホストに懐かれて困ってます】の続編です。
【完結】私立秀麗学園高校ホスト科⭐︎
亜沙美多郎
BL
本編完結!番外編も無事完結しました♡
「私立秀麗学園高校ホスト科」とは、通常の必須科目に加え、顔面偏差値やスタイルまでもが受験合格の要因となる。芸能界を目指す(もしくは既に芸能活動をしている)人が多く在籍している男子校。
そんな煌びやかな高校に、中学生まで虐められっ子だった僕が何故か合格!
更にいきなり生徒会に入るわ、両思いになるわ……一体何が起こってるんでしょう……。
これまでとは真逆の生活を送る事に戸惑いながらも、好きな人の為、自分の為に強くなろうと奮闘する毎日。
友達や恋人に守られながらも、無自覚に周りをキュンキュンさせる二階堂椿に周りもどんどん魅力されていき……
椿の恋と友情の1年間を追ったストーリーです。
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
※R-18バージョンはムーンライトノベルズさんに投稿しています。アルファポリスは全年齢対象となっております。
※お気に入り登録、しおり、ありがとうございます!投稿の励みになります。
楽しんで頂けると幸いです(^^)
今後ともどうぞ宜しくお願いします♪
※誤字脱字、見つけ次第コッソリ直しております。すみません(T ^ T)
可愛くない僕は愛されない…はず
おがこは
BL
Ωらしくない見た目がコンプレックスな自己肯定感低めなΩ。痴漢から助けた女子高生をきっかけにその子の兄(α)に絆され愛されていく話。
押しが強いスパダリα ✕ 逃げるツンツンデレΩ
ハッピーエンドです!
病んでる受けが好みです。
闇描写大好きです(*´`)
※まだアルファポリスに慣れてないため、同じ話を何回か更新するかもしれません。頑張って慣れていきます!感想もお待ちしております!
また、当方最近忙しく、投稿頻度が不安定です。気長に待って頂けると嬉しいです(*^^*)
どうも俺の新生活が始まるらしい
氷魚彰人
BL
恋人と別れ、酔い潰れた俺。
翌朝目を覚ますと知らない部屋に居て……。
え? 誰この美中年!?
金持ち美中年×社会人青年
某サイトのコンテスト用に書いた話です
文字数縛りがあったので、エロはないです
ごめんなさい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる