【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華

文字の大きさ
上 下
15 / 41

■気になるピョコン■

しおりを挟む
■気になるピョコン■


 「……ハネてる」

朝から気にしている寝ぐせを、柔和に微笑みながら。さらには、不意に髪に触れながら指摘され、俺の頭は朝から忙しかった。無駄に良い顔で、微笑んで。
何なんですか! その微笑み? ねぇ! 俺が、その顔に弱いの知ってるでしょ!! と言いたくなるのを我慢する。もう先輩に振り回されるのは御免だ。
内勤にしてやると思ったが、先輩と外回りだと現実を伝え大人しく席につく。仕事だから、外回りはしかたがない。それが俺の仕事だし。だけど、これだけは約束して貰わなければ。

「とにかく! 俺の寝ぐせには触れないで下さい」

そう言えば、先輩からの返事は無いまま。静かに業務を始めたのが今日の朝。


……スリッ。

…………スリッ。

朝、お昼時、移動のふとした時髪に感じる感触。

(我慢だ、俺。相手は先輩。先輩は上司……)

呪文を唱えるように、心の中で自分に言い聞かせ続けた。先輩も、一体何が面白いというのだろう? ただのハネた寝ぐせ一つ。そんなに触らなくったって良いだろうに。だが先輩は、飽きることなく俺の寝ぐせを何食わぬ顔をして触り続けた。

午後からの外回りは、知った取引先の人からも「あら」だとか、「おや」と言われたが、可愛いと思いのほか好評。可愛い俺に、寝ぐせで更に可愛いが増してしまったな!(ヤケクソ)と思いつつ、会社に戻り。外回りで貰った注文の手配、報告。
ちゃんと社会人してるなぁと、自分を褒めている時だって、先輩の手は止まることなく。

カタカタとパソコンを打ちながら、もうすぐ定時。さぁ帰ろうと思っていた時にも、俺の寝ぐせに触れてきた。

「~~~~っ、もう……!」

流石に人目のある場所で、止めて下さい! と言うのは気が引ける。ギィッと椅子を動かし、俺の髪に触れる先輩を現行犯逮捕。そのまま、パクパクと口を動かして。音を発することなく言った。

「や め て く だ さ い」

ピクリと止まった先輩の指先。どちらかといえば、表情の大きな差がない先輩が、心なしか照れたように見えた。そのまま止まった指先が、ゆっくりと先輩の口元を覆う。おまけに、何だか俺と合っていた視線を逸らし、違う方を見つめている。

(……ん?)

先輩の様子が変だな? と小首を傾げれば、先輩が小さく「悪い」と呟いて言った。


「悪い……無意識だった……」

「なっ……!」

無意識で、あんなに俺の寝ぐせ触ってたんですか!?

■気になるピョコン■

 つられて俺まで、顔が赤くなった。

*******
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。 まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。 転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。 ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。 「本当に可愛い。」 「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」 かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。 「お願いだから、僕にもう近づかないで」

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!

柑橘
BL
王道詰め合わせ。 ジャンルをお確かめの上お進み下さい。 7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです! ※目線が度々変わります。 ※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。 ※火曜日20:00  金曜日19:00  日曜日17:00更新

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

処理中です...