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■一日目を終えて
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■一日目を終えて
カチッ、カチッ、カチッ。
チラリと社内に掛かった時計を見れば、もうすぐ定時。
今日は一日、社内にいた。先輩を連れ、社内を案内する。チラホラ会う人にも挨拶をしながら、途中に昼食休憩。先輩の弁当は、普通にコンビニで買ってきたパンでちょっと安心した。俺は、節約のために持参したおにぎり。先輩が「彼女か?」と聞いてきたので、「どう思いますか?」と言ってみれば、「その反応なら自分で作ったな」と簡単に見破られてしまった。
ぐぅの音も出なくて、「そうですけど?」と見せつけるように食べてやれば、「俺も米が食いたい」と言いだす。急に子供のようなことを言うと思いながら、「コンビニで買えば良いじゃないですか」と返した。冷静になれば、俺ってば上司相手になかなかの態度を取っているな?
特に昼食時も、互いに昔の話をすることも無く。食べ終わり一息ついたら、今度は後半戦。書類の確認や、注文、メールの確認をしながら一日が終わった。
そうすれば、ようやくパソコン画面の右下に見える数字は定時を示している。今日も一日よく働いたぞ、俺。
「ん~~っ、終わった。じゃあ、今日はこの辺で終わりにしましょう」
「ああ」
また黙ったままの先輩。眠いのかな? と思えば、そうじゃないらしい。
「なぁ」
「はい」
「飲みに行かないか?」
「行きません」
「そうか……」
いや、だから積極的過ぎません? とツッコミを入れそうになる。
俺の幻覚か、シュンと耳が垂れた犬のように見えてしまい不覚にも可愛いと思ってしまった。だが、気を許すわけにはいかない。
「先輩も越してきたばかりでしょうし、早く帰って寝た方が良いですよ」
「そうだな」
「じゃあ、お先に失礼します」
「ああ、また明日」
「お疲れさまでした」
荷物を片付け、社内の残る皆に挨拶をして。俺はいつものように仕事を終えて、帰路についた。今のご時世、サービス残業が当たり前じゃないのが良い。早く帰って、スーツを脱いでゴロゴロしたい。最後に横目に見えたのは、俺が居なくなった席に女性陣が数名集まっていたところ。キャッキャと嬉しそうな女性陣の姿に、フーンと気にしないフリ。
(早速モテてるじゃん)
前に読んだ漫画のように、酒! 飲まずにはいられない! と、帰りに珍しくビールを買って帰った。
「ただいま」
今日も無事に帰宅した我が家。上着を玄関辺りにかけて、手洗いうがい。スーツを脱いで、部屋着に着替える。ちょっと冷える今は、学生時代の長袖ジャージが良い感じ。そのまま簡単な食事を作り、早めの夕食。
「頂きます」
両手を合わせ、箸を動かす。美味い。それから買って来たビールを飲めば、久しぶりに刺激のあるアルコールに、喉がシュワシュワとした。
「……」
そのまま、チラリと携帯を開く。わざわざフォルダ分けをしている画像。開けば、学生服を着た俺と先輩がそこにはあった。
「…………はぁぁああ~~~~」
属に言う、クソデカため息。
青い春。まさに青春。俺の初恋。誰が見たって「好きです」と顔に書いている俺の表情と、写真を消せないでいる俺へのため息。まぁ、何はともあれ。無事に一日終わって良かった。
(明日から、ちゃんとしよ)
■一日目を終えて■
(いい加減、切り替えが出来る大人になったつもりだったんだけどな)
*****
カチッ、カチッ、カチッ。
チラリと社内に掛かった時計を見れば、もうすぐ定時。
今日は一日、社内にいた。先輩を連れ、社内を案内する。チラホラ会う人にも挨拶をしながら、途中に昼食休憩。先輩の弁当は、普通にコンビニで買ってきたパンでちょっと安心した。俺は、節約のために持参したおにぎり。先輩が「彼女か?」と聞いてきたので、「どう思いますか?」と言ってみれば、「その反応なら自分で作ったな」と簡単に見破られてしまった。
ぐぅの音も出なくて、「そうですけど?」と見せつけるように食べてやれば、「俺も米が食いたい」と言いだす。急に子供のようなことを言うと思いながら、「コンビニで買えば良いじゃないですか」と返した。冷静になれば、俺ってば上司相手になかなかの態度を取っているな?
特に昼食時も、互いに昔の話をすることも無く。食べ終わり一息ついたら、今度は後半戦。書類の確認や、注文、メールの確認をしながら一日が終わった。
そうすれば、ようやくパソコン画面の右下に見える数字は定時を示している。今日も一日よく働いたぞ、俺。
「ん~~っ、終わった。じゃあ、今日はこの辺で終わりにしましょう」
「ああ」
また黙ったままの先輩。眠いのかな? と思えば、そうじゃないらしい。
「なぁ」
「はい」
「飲みに行かないか?」
「行きません」
「そうか……」
いや、だから積極的過ぎません? とツッコミを入れそうになる。
俺の幻覚か、シュンと耳が垂れた犬のように見えてしまい不覚にも可愛いと思ってしまった。だが、気を許すわけにはいかない。
「先輩も越してきたばかりでしょうし、早く帰って寝た方が良いですよ」
「そうだな」
「じゃあ、お先に失礼します」
「ああ、また明日」
「お疲れさまでした」
荷物を片付け、社内の残る皆に挨拶をして。俺はいつものように仕事を終えて、帰路についた。今のご時世、サービス残業が当たり前じゃないのが良い。早く帰って、スーツを脱いでゴロゴロしたい。最後に横目に見えたのは、俺が居なくなった席に女性陣が数名集まっていたところ。キャッキャと嬉しそうな女性陣の姿に、フーンと気にしないフリ。
(早速モテてるじゃん)
前に読んだ漫画のように、酒! 飲まずにはいられない! と、帰りに珍しくビールを買って帰った。
「ただいま」
今日も無事に帰宅した我が家。上着を玄関辺りにかけて、手洗いうがい。スーツを脱いで、部屋着に着替える。ちょっと冷える今は、学生時代の長袖ジャージが良い感じ。そのまま簡単な食事を作り、早めの夕食。
「頂きます」
両手を合わせ、箸を動かす。美味い。それから買って来たビールを飲めば、久しぶりに刺激のあるアルコールに、喉がシュワシュワとした。
「……」
そのまま、チラリと携帯を開く。わざわざフォルダ分けをしている画像。開けば、学生服を着た俺と先輩がそこにはあった。
「…………はぁぁああ~~~~」
属に言う、クソデカため息。
青い春。まさに青春。俺の初恋。誰が見たって「好きです」と顔に書いている俺の表情と、写真を消せないでいる俺へのため息。まぁ、何はともあれ。無事に一日終わって良かった。
(明日から、ちゃんとしよ)
■一日目を終えて■
(いい加減、切り替えが出来る大人になったつもりだったんだけどな)
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