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■今日から一線引いた、上司と部下の関係■
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「それは私用。そっちにも、水野の連絡先教えてよ」
「は?」
どこか気だるげだった初恋の先輩は、今では随分と陽キャ属性になったのか。
上司と部下だし、社用携帯の連絡先交換は当たり前だよなと携帯を準備すれば、さも当然とばかりに増えていた携帯電話。
どうやら先輩は、社用の携帯だけでなく俺の私用携帯の連絡先も教えて欲しいらしい。そんなこと急に言われても、こちとらさっき気持ちを切り替えて来たばかりだっていうのに! ええい、波風立たない言い訳なんて思いつかない。
「社用は良いですけど……」
「私用は?」
「……駄目です」
「何で?」
(何でって聞きます? 普通)
先輩、俺が先輩に弱いから断れないと思ってます?
ああ、もう良いや。建前だとか、言い訳だとか面倒くさい。最初が肝心だ。波風が立ったとしても、そのうち穏やかになるものだ!
「せ……先輩とは、一線を引いた関係でいたいので」
「ふーん。分かった」
俺の言葉に、納得したように私用の携帯を仕舞った先輩。それからは大人しくお互い、社用の携帯だけ連絡先を交換した。
(昔は、あんなに先輩の連絡先を知れたらなんて思ってたのにな)
「なぁ、水野」
「はい」
今度は落ち着いた声で返事が出来た。もう変に動揺したり、意識したりしない。
「宣言しとくな?」
「何をですか?」
「俺、お前と一線を越えた関係になりたいから」
「……オコトワリシマス」
そんなこと、だったら俺が告白した時に言って欲しかった。ヒュゥッ……と冷たい風が心に吹いて、どこか冷めた俺がいる。
(ああ、これなら大丈夫そうだ)
「俺、もう先輩のこと好きじゃないんで」
自分にそう嘘をついたが、意外と上手く振る舞えるものだなと思った。動揺することなく、「じゃあ、仕事しましょうか」と言葉を続け。手帳を取り出し、段取りを開始した。
(ほら先輩。逃がした魚は大きかったでしょう?)
後悔して家で悔し涙を流せば良いのにと、自分でも意地の悪いことを考えるなと思いながら淡々と仕事をこなした一日だった。
■今日から一線引いた、上司と部下の関係■
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一応健全投稿をしていますが、今後一部制限をつけるか微妙です><
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