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1】魔王様の悩み事
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1】魔王様の悩み事
ここは、とある国。俗にいう魔界。
この世界には、魔王様と呼ばれる魔族の王様が一人おりました。容姿端麗。見目麗しく、頭も良い魔王様は、魔族の皆が愛し尊敬しておりました。ですがその愛は、少々行き過ぎてしまったようで……。
「魔王様! そろそろ伴侶をお決めになっては?」
「魔王様。魔王様がお気に召すに違いない魔族を連れて参りました!」
「魔王様、魔王様がご結婚されましたら、魔族一同皆喜びに包まれるに違いありませんぞ」
「……」
この有様。
魔王様の事が大好きな臣下や魔族たちは、ある意味過保護に。
長年独り身の魔王様に、素敵な「お婿さん」がやってきたらどうだろう? と躍起になってしまったのでした。
え? 魔王様の性別?
お魔王様と聞くと、男性をイメージしやすいでしょう。ですが、このお話の魔王様は、「女性」だったのです。その姿は、見目麗しくも「少女」と表すのが良い様子で。大きな玉座の上に、床まで届かない脚を組みながら同じく女性の臣下を見上げて唸っておりました。
「んぁぁああ……また結婚ムーブが起こってしまった……」
魔王様! 魔王様! 魔王様!
私を呼ぶ敬称に続く言葉は、いつしか結婚を急かすものへと変わっていた。最初は良かった。適当に流したり、しつこく言われると「その話は止めろ」で臣下たちは黙っていた。だが、魔族という種族柄か。生憎人間よりも寿命が長いこともあり、一度静かになったがまた「結婚しろムーブ」がやって来てしまったわけで。
「あら~……。また盛り上がりを見せてきましたね、魔王様。こうなっては、一度くらいお見合いをなさってみては?」
なんて。長年連れ添い、部下としてよくやってくれている相手にすら、世間話をするように言われる始末。それに私が何と答えたかって?
「ええい、うるさい! うるさーい! なーにが見合いじゃ! 私は! 見合い結婚などせんぞ!」
子供っぽく抵抗するだけ。だが相手も長年連れ添っているだけあって、別段気にする様子は無い。やれやれと首を振る。
「そうですか……では、どうなさるのですか? 魔王様も気づいているでしょう? この話題は、魔王様が結婚するまで終わりませんよ」
「うぅぅ゛―……」
本当なら、癇癪を起してそこら辺の山を一つくらい簡単に更地したって良いのに「魔王様」と呼ばれても、口を尖らせ。今はふくれっ面のように頬に空気を入れて膨らませるくらいしか出来ない。何て冷静で我慢強い私。
「魔王様。こう言っては何ですが、魔王様がそのように可愛らしいので我々は心配で心配で。それから良い人をと、つい母親目線になってしまうのですよ」
「母親って……おぬし、私より年下ではないか」
ぐぬぬ……とまた玉座で頭を抱えて見ても解決策は無く。だが、見合いをして、すぐ結婚という気持ちはない。いや、正直に言うと解決策というよりは、やりたいことはあったのだ。これは、一石二鳥では? と閃いて、思わずキュピーン! と私の背後にきっと文字が浮かんだはず。
「……だ」
「魔王様?」
「……恋愛結婚じゃ!!」
「はぁ……?」
「聞けい! 私は、見合い結婚ではなく恋愛結婚をするぞ!」
声高々に、私は恋愛結婚だと叫んだのだった。
**********
見切り発車でまた始めてみました
続けばいいなぁ(遠い目)
もしかしたら百合要素が少し入るかもしれません><
初めての健全ノマカプっぽくてどうなることやら…
ここは、とある国。俗にいう魔界。
この世界には、魔王様と呼ばれる魔族の王様が一人おりました。容姿端麗。見目麗しく、頭も良い魔王様は、魔族の皆が愛し尊敬しておりました。ですがその愛は、少々行き過ぎてしまったようで……。
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魔王様の事が大好きな臣下や魔族たちは、ある意味過保護に。
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「あら~……。また盛り上がりを見せてきましたね、魔王様。こうなっては、一度くらいお見合いをなさってみては?」
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「ええい、うるさい! うるさーい! なーにが見合いじゃ! 私は! 見合い結婚などせんぞ!」
子供っぽく抵抗するだけ。だが相手も長年連れ添っているだけあって、別段気にする様子は無い。やれやれと首を振る。
「そうですか……では、どうなさるのですか? 魔王様も気づいているでしょう? この話題は、魔王様が結婚するまで終わりませんよ」
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「魔王様。こう言っては何ですが、魔王様がそのように可愛らしいので我々は心配で心配で。それから良い人をと、つい母親目線になってしまうのですよ」
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「……だ」
「魔王様?」
「……恋愛結婚じゃ!!」
「はぁ……?」
「聞けい! 私は、見合い結婚ではなく恋愛結婚をするぞ!」
声高々に、私は恋愛結婚だと叫んだのだった。
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