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16】【Sikde.K】昨日の今日と、女の勘
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16】【Sikde.K】昨日の今日と、女の勘
今日の授業も終わり、やっと放課後だ。帰宅部の俺は、特に急いで部活に行く必要もない。悠々自適とばかりに、クラスメイトがまばらな教室で今日も適当に時間を潰そうか、それとも今日も先生に会いに行こうかと迷っていた時だった。
「圭介。昨日、ちゃんと会いに行ったの?」
「げ、百合」
「何よ、その反応」
ドン! と効果音が見えてきそうなくらい存在感を出しながら俺に言ってきたのは、百合だ。俺が先生に会いに行こうか迷っていると、結果的に背中を押してくれた百合。昨日の今日だ。確かに百合から、行ったか教えて! と連絡が来ていたが、時間がなく返信していなかった。
「圭介。まさか行ってないんじゃ……」
「ちゃんと行った! そのっ……なんだ。有難うな、背中押してくれて」
「そうよ。この百合様に感謝しなさい? 何なら、お菓子1個献上しても良んだからね?」
「おま、マジかよ……」
「半分冗談の、半分本気よ。まぁ、それはさておきよ」
百合がそういうと、もう教室を出て行って空いている俺の前の席の椅子に座った。
「今日は圭介の溜息が無かったから、会いたい人には会えたってことで良い?」
「まぁ、そうだな」
「ふーん……で? 水野先生、どんな感じだった?」
「は? はぁっ!? おま、何言ってるんだよ」
百合が誰ともいっていないのに、見抜いたかのように「水野先生」と名前を出して焦る俺。変にガタタッ! と机と椅子が音を立て、百合がニヤニヤと俺を見る。
「照れるなって」
「照れてねーし。てか、何で水野先生の名前が出てくるんだよ」
「女の勘。違った?」
「……違ってねぇけど」
「ほらぁ~~」
「ぐっ……!」
グイグイと百合が前のめりでやってきて、俺を揶揄う。
「で? 先生は? おじさんになってた?」
「全然。先生、昔のまんまだった。呼吸法の使い手か、仮面かぶってるかもしれねぇ」
「その漫画、私読んでないから分かんないし」
「多分アニメが色んなサブスク入ってると思うから、今度見ろ」
「話変えんなし」
「ダメか」
「ダメに決まってるじゃん」
どうにか先生の話から逸らそうとしたが、作戦は成功しない。「圭介」と名前を呼ばれ百合を見れば、「会えて良かったじゃん」と言われた。
「圭介、会えて良かったじゃん」
「おぅ」
「で? 一回会えれば満足なの?」
「満足じゃねぇけど……」
「じゃあ、また会いに行けば良いじゃん。会える時に会っとかなくちゃ」
「そうだけどさ」
「また溜息つかないでよ? ほら、迷うくらいなら行動!」
「はいはい、分かりましたよ」
ほら! と昨日のように叱咤され。俺は百合よりも先に教室を後にしたのだった。
「百合。本当に有難うな」
*******
*****
***
「圭介が先生のこと見てたのと同じくらい、私も圭介のこと見てたんだもん。分からないわけないじゃん」
そんな呟きを、俺は知らない。
*********
毎日ひぃひぃ言いながら詰んでます(´;ω;`)
ブクマ有難うございます!
今日の授業も終わり、やっと放課後だ。帰宅部の俺は、特に急いで部活に行く必要もない。悠々自適とばかりに、クラスメイトがまばらな教室で今日も適当に時間を潰そうか、それとも今日も先生に会いに行こうかと迷っていた時だった。
「圭介。昨日、ちゃんと会いに行ったの?」
「げ、百合」
「何よ、その反応」
ドン! と効果音が見えてきそうなくらい存在感を出しながら俺に言ってきたのは、百合だ。俺が先生に会いに行こうか迷っていると、結果的に背中を押してくれた百合。昨日の今日だ。確かに百合から、行ったか教えて! と連絡が来ていたが、時間がなく返信していなかった。
「圭介。まさか行ってないんじゃ……」
「ちゃんと行った! そのっ……なんだ。有難うな、背中押してくれて」
「そうよ。この百合様に感謝しなさい? 何なら、お菓子1個献上しても良んだからね?」
「おま、マジかよ……」
「半分冗談の、半分本気よ。まぁ、それはさておきよ」
百合がそういうと、もう教室を出て行って空いている俺の前の席の椅子に座った。
「今日は圭介の溜息が無かったから、会いたい人には会えたってことで良い?」
「まぁ、そうだな」
「ふーん……で? 水野先生、どんな感じだった?」
「は? はぁっ!? おま、何言ってるんだよ」
百合が誰ともいっていないのに、見抜いたかのように「水野先生」と名前を出して焦る俺。変にガタタッ! と机と椅子が音を立て、百合がニヤニヤと俺を見る。
「照れるなって」
「照れてねーし。てか、何で水野先生の名前が出てくるんだよ」
「女の勘。違った?」
「……違ってねぇけど」
「ほらぁ~~」
「ぐっ……!」
グイグイと百合が前のめりでやってきて、俺を揶揄う。
「で? 先生は? おじさんになってた?」
「全然。先生、昔のまんまだった。呼吸法の使い手か、仮面かぶってるかもしれねぇ」
「その漫画、私読んでないから分かんないし」
「多分アニメが色んなサブスク入ってると思うから、今度見ろ」
「話変えんなし」
「ダメか」
「ダメに決まってるじゃん」
どうにか先生の話から逸らそうとしたが、作戦は成功しない。「圭介」と名前を呼ばれ百合を見れば、「会えて良かったじゃん」と言われた。
「圭介、会えて良かったじゃん」
「おぅ」
「で? 一回会えれば満足なの?」
「満足じゃねぇけど……」
「じゃあ、また会いに行けば良いじゃん。会える時に会っとかなくちゃ」
「そうだけどさ」
「また溜息つかないでよ? ほら、迷うくらいなら行動!」
「はいはい、分かりましたよ」
ほら! と昨日のように叱咤され。俺は百合よりも先に教室を後にしたのだった。
「百合。本当に有難うな」
*******
*****
***
「圭介が先生のこと見てたのと同じくらい、私も圭介のこと見てたんだもん。分からないわけないじゃん」
そんな呟きを、俺は知らない。
*********
毎日ひぃひぃ言いながら詰んでます(´;ω;`)
ブクマ有難うございます!
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