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3】再会までもう少し
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3】再会までもう少し
落ち着いて話す再会をしたのは、12年ぶりのかつて教え子。
相手は覚えているか分からないが、僕に告白をしてきた教え子が今では立派な。それこそ随分とイケメンになってやって来たが、自身は仕事がある。積話を……なんてと余裕がないことに気付いた相手が、言葉を続けた。
「先生の仕事が終わるまで、職員室で待ってるね」
「待゛」
待ってる?
現在っこ怖いと思うほど、さらりと言って手を振っていくものだから、おじさんの僕には少し刺激が強かった。
(これが、今どきの若者かぁ……)
うっかりドキリとしたが、今はときめいている余裕は無い。
「せんせー、今のお兄ちゃん誰?」
「ああ、ゆりちゃん。あのお兄ちゃんも、昔はこの園にいたんだよ。卒業生で、ゆりちゃんの先輩だ」
「え~~、先輩~~?」
知らない言葉に、大人になった気持ちになるんだろう。ゆりちゃんは「先輩。先輩」と繰り替えしながら嬉しそうに僕の周りをグルグルと回った。
久保君のことも気になるが、今は仕事中だ。しっかりと責任を持って。ゆりちゃんの手を握り、「さぁ、もうすぐお母さんが迎えに来るよ」とリュックを持ってくるように指を差し、残っている皆の帰り支度を確認。一人、また一人と子供たちが帰っていくなか、やはり気になるのは久保君のこと。
「先生さようなら!」と大きな声で叫ぶ声を見送れば、僕の先輩の先生がやって来て言った。
「水野先生。早く職員室に行ってあげて」
「え? でもまだ何人か残ってますし……」
「私がいるし、大丈夫よ。久保君、職員室でソワソワしながら待ってるんだから」
「そ……うですか……」
迷惑をかけていないだろうか? と、つい昔のように考えてしまったが先生の顔は嬉しそうな表情をしている。
「高校生になっても、水野先生を待っている姿は昔のままだったわよ」
ウフフと笑う先輩に、尾も言わず唇をキュッと結んで。なんとも言えない表情を浮かべる僕。
「あら、どうしたの? 水野先生の方が緊張してるの?」
「う゛……っ。まぁ、そんな感じです」
半分本当。半分は、久保君も「あの約束」を覚えているのかも? という緊張。
勿論、僕も良い大人だしおじさんだ。何を意識してるんだと自分に言い聞かせる。冷静に、落ち着いて。内心本当は焦っているが、誤魔化せているだろうか?
「じゃあ、すみません。斉藤先生、あとお願いします」
「任せて」
頼もしい先輩に後を託し、僕は廊下を歩き。普段であれば、緊張することのない職員室へと向かったのだった。
(まさか本当に告白なんて……いやいやいや。僕ってば、何変に意識してるんだ。フラッと会いに来る卒園生は、今までだっていたじゃないか……!)
*******
繁忙などでちょっと更新遅れるかもしれません><
しおり有難うございます
落ち着いて話す再会をしたのは、12年ぶりのかつて教え子。
相手は覚えているか分からないが、僕に告白をしてきた教え子が今では立派な。それこそ随分とイケメンになってやって来たが、自身は仕事がある。積話を……なんてと余裕がないことに気付いた相手が、言葉を続けた。
「先生の仕事が終わるまで、職員室で待ってるね」
「待゛」
待ってる?
現在っこ怖いと思うほど、さらりと言って手を振っていくものだから、おじさんの僕には少し刺激が強かった。
(これが、今どきの若者かぁ……)
うっかりドキリとしたが、今はときめいている余裕は無い。
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「ああ、ゆりちゃん。あのお兄ちゃんも、昔はこの園にいたんだよ。卒業生で、ゆりちゃんの先輩だ」
「え~~、先輩~~?」
知らない言葉に、大人になった気持ちになるんだろう。ゆりちゃんは「先輩。先輩」と繰り替えしながら嬉しそうに僕の周りをグルグルと回った。
久保君のことも気になるが、今は仕事中だ。しっかりと責任を持って。ゆりちゃんの手を握り、「さぁ、もうすぐお母さんが迎えに来るよ」とリュックを持ってくるように指を差し、残っている皆の帰り支度を確認。一人、また一人と子供たちが帰っていくなか、やはり気になるのは久保君のこと。
「先生さようなら!」と大きな声で叫ぶ声を見送れば、僕の先輩の先生がやって来て言った。
「水野先生。早く職員室に行ってあげて」
「え? でもまだ何人か残ってますし……」
「私がいるし、大丈夫よ。久保君、職員室でソワソワしながら待ってるんだから」
「そ……うですか……」
迷惑をかけていないだろうか? と、つい昔のように考えてしまったが先生の顔は嬉しそうな表情をしている。
「高校生になっても、水野先生を待っている姿は昔のままだったわよ」
ウフフと笑う先輩に、尾も言わず唇をキュッと結んで。なんとも言えない表情を浮かべる僕。
「あら、どうしたの? 水野先生の方が緊張してるの?」
「う゛……っ。まぁ、そんな感じです」
半分本当。半分は、久保君も「あの約束」を覚えているのかも? という緊張。
勿論、僕も良い大人だしおじさんだ。何を意識してるんだと自分に言い聞かせる。冷静に、落ち着いて。内心本当は焦っているが、誤魔化せているだろうか?
「じゃあ、すみません。斉藤先生、あとお願いします」
「任せて」
頼もしい先輩に後を託し、僕は廊下を歩き。普段であれば、緊張することのない職員室へと向かったのだった。
(まさか本当に告白なんて……いやいやいや。僕ってば、何変に意識してるんだ。フラッと会いに来る卒園生は、今までだっていたじゃないか……!)
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