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3】恋人になって初めての③

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3】恋人になって初めての③

 レオ殿のベッドの上に押し倒され。天井を仰ぎ見るような。こんなに人に見下ろされたのは、いつぶりだろうかと不意に懐かしく思っているとレオ殿が私の些細な様子にきも気づく。それこそ、意識がレオ殿から逸れたことに口を尖らせたのだろう。素直に騎士団に入団した頃を思い出したと口にすれば、ガクリと肩を落とし。それからすぐに顔を上げ、私を見つめる。

「……俺のベッドの上で、他の男のことを思い出すのは駄目ですよ」

その声色は、先ほどとは別のもので。
甘いような、それでいて普段よりも色っぽさを含む声だった。近づいてくる顔に、今度はギリギリまで視線を合わせる。それでも近づいてくる顔に気恥ずかしくなって、最後は目を閉じてしまった。目を瞑っても、視線を感じる。

(またレオ殿は、私の顔を見ているのだろうか)

ぺろっ……ちゅっ、ちゅっ……♡

「んぁ……っ♡」

ペロリと唇を舌先で舐めて、触れる口づけだけ。そのままレオ殿口づけは、ゆっくりと首筋へと落ちていく。同時に、レオ殿の手が、私の上着のボタンを解いた。
一つ一つ、ゆっくりと。まるで贈り物の気分だ。梱包された贈り物は、こんな気持ちで開封されるのだろうかと思った。肌寒くない温度の中、ボタンはあっという間に一番下へ。

「……」

「今度は破かないで下さいよ?」

パチリと目を開ければ、私の上着は開けていた。どうやら、これからどうしようと思っている様子のレオ殿に、また下着を破られては困る。問うように言えば、うーんと考えながら、首を縦に振らないレオ殿。これは不味い。

「待って下さい。自分で脱ぎます」

レオ殿の前に手を伸ばし、倒れていた身体を起こした。薄い上着を脱いで、それから次に下着を脱ぐ。行儀悪く丸まった衣服をどうしようかと迷っていると、レオ殿が取ってベッドの下に投げた。

「あ!」

「あとで拾いますから」

「……レオ殿も脱いで下さい」

「積極的で、何よりです」

そう言って私の前で、レオ殿も衣服を脱いだ。同じくらいの薄着だ。バサリと背中から一気にシャツを引っ張って、私以上に乱暴に下着も脱いだ。やはり鍛えられたような身体。互いに筋肉はついているが、賢者だというのにレオ殿の身体は騎士団の新兵よりもしっかりとしている。私も鍛えている方だが、体質的に筋肉に厚みがない。私よりも厚みのある身体つきに、広い肩幅。それから、私のように傷跡なんかは無い。綺麗な身体だ。ついまじまじと見ていると、今度は私の視線に気づいたレオ殿がクスリと笑った。

「熱い視線ですね」

「すみません……! つい」

「良いんですよ? アラン様。俺のこと、沢山見て」

そう言いながら、ベッドの上にある毛布も床に落としたレオ殿。ベッドの周りは、まるで小さな子供が汚したように、色々なものが散っていた。

「床は気にしないで下さい。他にも脱ぎ散らかしますから」

「ね?」と小首を傾げたレオ殿に、私は何も言えなかった。

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