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3】淫魔の男
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3】淫魔の男
目の前の男の顔に、見覚えがある。
そういえば昨日、誰もいなくなった教会に助けを求めるようにやって来た人物だった。それから難問を解くように、少しずつ記憶の糸を辿っていく。
そうだ。あの時食事をと思ったが、この男が大丈夫だと言ったんだ。
『ああ、それは大丈夫です』
『────え?』
『これが食事なので』
聞こえた声は穏やかながら、視線の合った瞳はどこか力強く。逆らえない気がした。
『…………ん、ぅ……──』
思い出した。あの時も、今のような感触を感じたのを覚えている。記憶も曖昧のなか、どこか気持ちが良く。それでいて身体の力が抜けていく。頭もぼんやりとして、まるで眠るように私の意識は途切れたのだった。
(そういえば、私はどうやってここまで来たんだ? よく見れば、服だって昨日のままだ)
「貴方をここまで運んだのも、俺ですよ?」
「ぁ……あ……!? なんっ……」
この男! 昨日も私にキスをしたのか!?
思うことは他にもあれど、知らぬ男に挨拶どころではないキスをされたという事実を思い出したのだった。対して、男はといえば、また私と反対で嬉しそうに笑う。
「思い出しました?」
ニコリと微笑む表情は、昨日同様に綺麗な笑顔。コツッ……と脚を伸ばし、私の傍へと近づいて来る。
「ちょっ……大きな声を出しますよ!」
「いいですよ? その前に、また口を塞げば良いだけのこと。それに……」
「それに?」
コツッ……と近づいた男は、私の腰に手を回していた。私はといえば、傍にはベッドしかなくて、まともに逃げることも出来ない。出来る限りの怖い顔をしてみたが、今まで怖いと言われたことが無い私だ。きっと効果なんて無いのだろう。
「それに、こんな森の中の家で叫んだって、誰かが助けに来てくれると思いますか?」
それもそうだ。絶望的な状況。どうにか男が、私に危害を加えないことを願うことしか出来ない。
「やだなぁ。そんな顔しないで下さいよ。今は、そんなことしようだなんて思ってないんで」
今は? と思ったが、今は触れないことにした。私よりも高い身長の男は、端正な顔で「ね?」と小首を傾げる。だが腰に回った手は、力が強く。グイッ……と男の身体に密着した。
「それに、これから俺と貴方は長い付き合いになるで、仲良くしましょうよ」
「何を言って……」
「だって俺、貴方の使い魔になったんで」
「は? 使い魔??」
「ええ。俺、淫魔なんで」
「いんま?」
「淫魔」
「いん……え? は? はぁっ……!?」
「俺はナイト。これから宜しくね、アラン様♡」
「嫌に決まっているでしょう!」
グググッ……と抵抗するように身体を反らしてみたが、男。ナイトの力は強く、腕から逃れることが出来ず。
(どうして淫魔が私の使い魔に……)
最後はナイトの腕の中で、溜息をついたのだった。
*******
更新しました!
お気に入り・エール・イイネほか有難うございます!(^^)
宣伝】久しぶりに支部更新しました。R作品です。良ければ読んで頂けると嬉しいです
目の前の男の顔に、見覚えがある。
そういえば昨日、誰もいなくなった教会に助けを求めるようにやって来た人物だった。それから難問を解くように、少しずつ記憶の糸を辿っていく。
そうだ。あの時食事をと思ったが、この男が大丈夫だと言ったんだ。
『ああ、それは大丈夫です』
『────え?』
『これが食事なので』
聞こえた声は穏やかながら、視線の合った瞳はどこか力強く。逆らえない気がした。
『…………ん、ぅ……──』
思い出した。あの時も、今のような感触を感じたのを覚えている。記憶も曖昧のなか、どこか気持ちが良く。それでいて身体の力が抜けていく。頭もぼんやりとして、まるで眠るように私の意識は途切れたのだった。
(そういえば、私はどうやってここまで来たんだ? よく見れば、服だって昨日のままだ)
「貴方をここまで運んだのも、俺ですよ?」
「ぁ……あ……!? なんっ……」
この男! 昨日も私にキスをしたのか!?
思うことは他にもあれど、知らぬ男に挨拶どころではないキスをされたという事実を思い出したのだった。対して、男はといえば、また私と反対で嬉しそうに笑う。
「思い出しました?」
ニコリと微笑む表情は、昨日同様に綺麗な笑顔。コツッ……と脚を伸ばし、私の傍へと近づいて来る。
「ちょっ……大きな声を出しますよ!」
「いいですよ? その前に、また口を塞げば良いだけのこと。それに……」
「それに?」
コツッ……と近づいた男は、私の腰に手を回していた。私はといえば、傍にはベッドしかなくて、まともに逃げることも出来ない。出来る限りの怖い顔をしてみたが、今まで怖いと言われたことが無い私だ。きっと効果なんて無いのだろう。
「それに、こんな森の中の家で叫んだって、誰かが助けに来てくれると思いますか?」
それもそうだ。絶望的な状況。どうにか男が、私に危害を加えないことを願うことしか出来ない。
「やだなぁ。そんな顔しないで下さいよ。今は、そんなことしようだなんて思ってないんで」
今は? と思ったが、今は触れないことにした。私よりも高い身長の男は、端正な顔で「ね?」と小首を傾げる。だが腰に回った手は、力が強く。グイッ……と男の身体に密着した。
「それに、これから俺と貴方は長い付き合いになるで、仲良くしましょうよ」
「何を言って……」
「だって俺、貴方の使い魔になったんで」
「は? 使い魔??」
「ええ。俺、淫魔なんで」
「いんま?」
「淫魔」
「いん……え? は? はぁっ……!?」
「俺はナイト。これから宜しくね、アラン様♡」
「嫌に決まっているでしょう!」
グググッ……と抵抗するように身体を反らしてみたが、男。ナイトの力は強く、腕から逃れることが出来ず。
(どうして淫魔が私の使い魔に……)
最後はナイトの腕の中で、溜息をついたのだった。
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