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171】【番外編】とある賢者の報告

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171】【番外編】とある賢者の報告

 「王様、王様、王様~~!」

「おおっ! どうしたんじゃ、レオ。お主、先ほど帰ったばかりじゃろうに」

大変です! という様子ではないが、俺は速足で王様の元へとやって来た。それこそ、アラン様を穏やかに見送って、俺は出来る男なのでと雰囲気を醸し出し。アラン様の姿が見えなくなったのを確認し、すぐに王様の所へ。(だって、好きな人の前では格好良くいたいだろう?)

王様の言葉通り。俺は、恋バナをするだけして、出て行ったばかり。それこそ、お昼から仕事が無いぞと浮かれていた。だが、状況が変わったんだ。

「王様と、また内緒の話があるので!」

そう言って、今度は自分で門番に伝え門を閉めた。ローブが暑いと、汗をかき。速足で僅かに乱れた呼吸を整える。

「なんじゃ、お主……そんな嬉しそうな顔をして」

「ああ、顔に出てます?」

不味いな。そっと隠すように口元を手で覆ったが、遅かったらしい。

「出てるもなにも、嬉しそうにニヤついておるぞ」

「ニヤついてって……ゴホン、王様」

「うん?」

そのままズカズカと、いつものように王様の元へ近づく。耳打ちするように口元を覆った手を、今度はそっと王様の耳元へ。

「何じゃ、誰にも言えぬことか?」

ひそっ……と俺は王様に囁いた。

「俺の恋、実ったみたいです」

「なんと!!??」

バッ! とすぐに俺の方を見る王様。驚いた表情に、俺の方もニンマリと笑う。(ああ、駄目だ。今度は自覚があるくらい、笑ってしまっている)

「いつの間に!? 先ほど出て行ったばかりじゃろうが、一体何があったんじゃ! 教えてくれ、レオ!」

「仕方ないですねぇ……また俺が恋バナしてあげましょう!」

「れ、レオ~!」

とまぁ。手の平返しも良いところな勢いで、俺は恋バナ。もとい、ついさっきあった出来事を伝え、自慢しようとした。

「いいですか? また、絶対誰にも話してはいけませんよ?」

「勿論じゃ! 頼む、早く聞かせてくれ!」

「分かりましたよ。さっき、戻っている最中に偶然好きな人の姿を見かけましてね。まぁ、色々あって待ち伏せするようにその人の通る道に先回りしたんですよ」

「ちょっとお主怖いのぅ」

「やっぱり俺に辺りが強いままなんですが?」

「気にせず続けてくれ」

「まぁ、色々あったのでね。色々見てしまったので、もうこれは一言言わなくちゃって思って」

「色々見て、色々あった?」

「ここは言えないので。まぁ、それを素直に相手に伝えたんですよ。それから、相手の気持ちを確認するように囲い込んだんです」

「囲い込む?」

「王様、何でちょっと引いているんですか」

「いや、お主。その相手にだけは普段と違って随分としゅ……熱心じゃと思ってな」

「何も怖いことはしていませんよ。俺は賢者ですよ? それは優しく教えてあげたんです。その気持ちはどういうものか。俺も同じ気持ちですよって。言っときますけど、結構ロマンチックな雰囲気だったんですよ」

「そうか……まぁ、お主と相手が幸せなら良いかのぅ」

「そうですよ。野暮ってもんです」

「それで? 相手はきちんと気持ちに気付いたのか?」

「そりゃあもう! 好きだと俺の目を見て言ってくれました。忙しい人なので、すぐに別々になったところなんですが……! 好きですよ? 好き。もう俺たち、恋人同士ってことでいいですよね?」

「そうじゃのぅ……。好きならば、そういうことなんじゃろうて。しかしまぁ、良かったの! レオ!」

「はい!」

「お主のそんな顔、初めて見たわい」

「また俺、ニヤついてます?」

「まぁ、それなりに」

「ということで、王様」

「うん?」

「ちょっと俺、一週間くらい休み貰いますね」

「は?」

「それと、アラン様も」

「アランも?」

「王様は名探偵なんですよね?」

「!? お主、まさか……!?」

「じゃあ、そういうことで。今度こそ俺は帰りますね」

「レオ、レオッ……! アランに無理をさせるでないぞ……!」

「善処します」

隠しておくつもりが、うっかり口を滑らせたのは今後の牽制のためか。それとも浮かれてしたからか。

*******
更新しました
お気に入り・エール・イイネ・コメント有難うございます!
次の話くらいで完結出来たらなと思っています><
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感想 4

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