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162】【番外編】とある賢者の相談②
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162】【番外編】とある賢者の相談②
俺の名前はレオ。この国で賢者と言われている。
賢者なんて肩書が無く、森の中に住んでいる調べもの好きのままだったなら、もしかしたら今よりももっと親しい友人が沢山いたかもしれない。だが、俺は賢者だ。肩書と、それなりの地位を持っていることは、ある意味良い面もあるが秘密にすべきことも増えてくる。とりわけ、個人的な相談なんてのは肩書や権力に関わらず。人間誰しも信頼できる人にしか話すことは出来ないだろう。(アラン様の場合は、半ば無理やり俺を当てがわれたわけだが)
俺の場合は、そうだな……。相談するとなると、やはりアラン様になるんだろうが、この話をアラン様にすることは出来ない。いや。一度しているが、グレーゾーンのまま放置されているんだ。とりわけ、今回の件は誰かに聞いてもらわないと、たまったもんじゃない状態。
その結果────俺がアラン様以外に選んだ相手は、この人。
「どうですか? 王様。この国一番の賢者と恋バナ……」
「したいに決まっておろうが!」
仕方がないので、王様に話すことにしたってわけ。
勿論。誰にも話さないように念押ししたが、約束を守れるかは危うい。まぁ、王様もこの手。とりわけ俺の話となれば、話せる相手もアラン様か文官殿程度に限られる。職業柄、同じく聞いたところで話に尾ひれが付くことは無いだろうから、良しと俺は話すことにした。
「まず王様。一応、扉を閉めても? うっかり聞かでもしたら嫌なので」
「分かった! おーい、門番たちよ。わしとレオは、これから大事な話をするゆえ、扉を締めよ。それから人払いじゃ!」
椅子から立ち上がり、大きな声で王様が言った。門番が扉から「分かりました!」と返事して、急いで扉を閉める。あの門番も、アラン様の騎士団にいた人物。アラン様は本当にこの国を守ってるなぁ~と思いつつ、静かに扉が閉まるのを確認。
「レオよ。早く話してくれ」
「ちょっと。結構デリケートな話なんですけど」
大事な話と言いながら、始まったのは僅かに愚痴の混じった、恋愛相談だった。
「お主が話さぬからじゃ。お主。その後はどうなんじゃ? 何か進展でもあったのか? ほれ、また告白したとか……!」
「あったと思います?」
「無いじゃろうな」
バッサリと言い放った王様。反論出来ないのが悔しい。
「そうですけど! それでもまぁ……少しは進んだというか、元に戻ったというか」
「まぁ、籠城しておったくらいじゃしの。親しい関係に戻れたのなら、良かったぞ」
「ちょっと王様。何で普段の話より、答えが早いんですか。それに、もう少し俺に優しさを見せて下さいよ」
「お主。全く同じことを、いつもわしにしておるぞ」
「……」
「……」
「そうですか?」
「そうじゃ」
相談より先に、意外にも王様が俺に塩対応でなかなか先に進まなかった。
(ええい! 俺に恋バナをさせてくれ~~!)
*******
更新しました!
お気に入り・エール・いいね・コメント有難うございます!嬉しいです!
次で終わります!
俺の名前はレオ。この国で賢者と言われている。
賢者なんて肩書が無く、森の中に住んでいる調べもの好きのままだったなら、もしかしたら今よりももっと親しい友人が沢山いたかもしれない。だが、俺は賢者だ。肩書と、それなりの地位を持っていることは、ある意味良い面もあるが秘密にすべきことも増えてくる。とりわけ、個人的な相談なんてのは肩書や権力に関わらず。人間誰しも信頼できる人にしか話すことは出来ないだろう。(アラン様の場合は、半ば無理やり俺を当てがわれたわけだが)
俺の場合は、そうだな……。相談するとなると、やはりアラン様になるんだろうが、この話をアラン様にすることは出来ない。いや。一度しているが、グレーゾーンのまま放置されているんだ。とりわけ、今回の件は誰かに聞いてもらわないと、たまったもんじゃない状態。
その結果────俺がアラン様以外に選んだ相手は、この人。
「どうですか? 王様。この国一番の賢者と恋バナ……」
「したいに決まっておろうが!」
仕方がないので、王様に話すことにしたってわけ。
勿論。誰にも話さないように念押ししたが、約束を守れるかは危うい。まぁ、王様もこの手。とりわけ俺の話となれば、話せる相手もアラン様か文官殿程度に限られる。職業柄、同じく聞いたところで話に尾ひれが付くことは無いだろうから、良しと俺は話すことにした。
「まず王様。一応、扉を閉めても? うっかり聞かでもしたら嫌なので」
「分かった! おーい、門番たちよ。わしとレオは、これから大事な話をするゆえ、扉を締めよ。それから人払いじゃ!」
椅子から立ち上がり、大きな声で王様が言った。門番が扉から「分かりました!」と返事して、急いで扉を閉める。あの門番も、アラン様の騎士団にいた人物。アラン様は本当にこの国を守ってるなぁ~と思いつつ、静かに扉が閉まるのを確認。
「レオよ。早く話してくれ」
「ちょっと。結構デリケートな話なんですけど」
大事な話と言いながら、始まったのは僅かに愚痴の混じった、恋愛相談だった。
「お主が話さぬからじゃ。お主。その後はどうなんじゃ? 何か進展でもあったのか? ほれ、また告白したとか……!」
「あったと思います?」
「無いじゃろうな」
バッサリと言い放った王様。反論出来ないのが悔しい。
「そうですけど! それでもまぁ……少しは進んだというか、元に戻ったというか」
「まぁ、籠城しておったくらいじゃしの。親しい関係に戻れたのなら、良かったぞ」
「ちょっと王様。何で普段の話より、答えが早いんですか。それに、もう少し俺に優しさを見せて下さいよ」
「お主。全く同じことを、いつもわしにしておるぞ」
「……」
「……」
「そうですか?」
「そうじゃ」
相談より先に、意外にも王様が俺に塩対応でなかなか先に進まなかった。
(ええい! 俺に恋バナをさせてくれ~~!)
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