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130】困ったことが出来てしまったので③
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130】困ったことが出来てしまったので③
(見えてきた)
レオ殿の家まで、どうやって来たのか。今はあまり記憶がない。ただ足早に、早くレオ殿に会いたくて自室を出て一目散にやって来た。汗を流すために入った風呂のあと、髪だってまだ濡れたまま。もう迷うことなくやって来れるようになった家が見えて来て、ドアの前へ。コンコン、とノックを数回。「レオ殿」と名前を呼べば、すぐに扉が開いた。
「レオ殿」
「ようこそ、アラン様。お待ちしていました。ちゃんと手土産は無いですね?」
「はい。ちゃんと身一つで来ました」
ギィッ……と扉が開いて、久しぶりに部屋の中へ。久しぶりに入った室内は以前より片付いていたが、私がよく座っていた椅子はそのままだった。
「アラン様が来る前に、ちゃんと掃除したんですよ。偉いでしょう? 俺を褒めてくれたって良いんですよ」
ふふん、と私を見るレオ殿。レオ殿は二人きりの時に褒めて欲しいという。まぁ、私も自慰に関して上手くなったでしょう? とレオ殿に褒めて貰えると思ったこともあったので、やはりレオ殿も賢者という肩書が窮屈な時があるのかもしれない。互いに人前でなく、子供のように褒めて貰えるのは嬉しいことだし、二人きりの時しか出来ないのだから仕方がないと言えるのだろう。(酔っぱらったレオ殿もしきりに褒めろと言っていたっけ)
「えっと……、私のために掃除してくれて偉いですね……?」
(これは褒めていることになるのか?)
そう思いながら、思わずレオ殿の頭へと手を伸ばした。高い身長だが、私も同じくらい高いので何とか届く。なでなでと数回撫でて手を離せば、レオ殿がほのかに赤くなっていた。
「えと、本当に褒めてもらえるとは思っていなくて……あー……! 待って下さい。今俺の顔を見ないで下さい。貴方の前では、恰好良くいたいんで」
私の前にレオ殿が手を伸ばして、ストップ! と制止する。レオ殿が顔を隠しながら横を向いて、深呼吸を数回。それから私の方を振り返って「アラン様」と名前を呼んだ。
「アラン様。俺がアラン様をどうかしたいと思ってるのに、アラン様が俺をどうかしてどうするんですか」
何やらまだ私には難しそうな話。というか、レオ殿は私のことをどうかしたいと思っているのか……。
「あ、ちょっと。逃げないで下さいよ」
警戒するように一歩後ろに下がれば、レオ殿が私を逃がさないようにする。簡単に捕まってしまった私は、レオ殿の腕の中。
「アラン様。風呂でも入って来たんですか?」
「はい。騎士団の訓練をしたので、汗をかいてしまって」
「ふーん」
今度はレオ殿が私の髪に触れる。感覚の無い毛先を、何度か指の腹で擦りながら、楽しそうに笑った。また何か良からぬことを考えている表情に、逃げようとするもレオ殿の腕の中から逃げられるはずもない。
「ちょっと。何、逃げようとしてるんですか」
「レオ殿が、意地悪そうな顔をしていたので」
「アラン様も大分言う様になりましたね」
「レオ殿こそ」
「俺は最初からですが?」
「それもそうですね」
「ですが……」
グイッと私の身体を引き寄せて、レオ殿が言った。
「そんなことを言いながら、髪が乾くよりも早く俺に会いたかったと?」
「……っ!」
未だに水気が残る髪にしまったと思いながら、私は何も言い返せなかった。
********
前回の話もラッパの反応有難うございます(^^)同じ方が下さっているのでしょうか…?💦
今日の分も!更新!出来ました~~!やった~~!
(見えてきた)
レオ殿の家まで、どうやって来たのか。今はあまり記憶がない。ただ足早に、早くレオ殿に会いたくて自室を出て一目散にやって来た。汗を流すために入った風呂のあと、髪だってまだ濡れたまま。もう迷うことなくやって来れるようになった家が見えて来て、ドアの前へ。コンコン、とノックを数回。「レオ殿」と名前を呼べば、すぐに扉が開いた。
「レオ殿」
「ようこそ、アラン様。お待ちしていました。ちゃんと手土産は無いですね?」
「はい。ちゃんと身一つで来ました」
ギィッ……と扉が開いて、久しぶりに部屋の中へ。久しぶりに入った室内は以前より片付いていたが、私がよく座っていた椅子はそのままだった。
「アラン様が来る前に、ちゃんと掃除したんですよ。偉いでしょう? 俺を褒めてくれたって良いんですよ」
ふふん、と私を見るレオ殿。レオ殿は二人きりの時に褒めて欲しいという。まぁ、私も自慰に関して上手くなったでしょう? とレオ殿に褒めて貰えると思ったこともあったので、やはりレオ殿も賢者という肩書が窮屈な時があるのかもしれない。互いに人前でなく、子供のように褒めて貰えるのは嬉しいことだし、二人きりの時しか出来ないのだから仕方がないと言えるのだろう。(酔っぱらったレオ殿もしきりに褒めろと言っていたっけ)
「えっと……、私のために掃除してくれて偉いですね……?」
(これは褒めていることになるのか?)
そう思いながら、思わずレオ殿の頭へと手を伸ばした。高い身長だが、私も同じくらい高いので何とか届く。なでなでと数回撫でて手を離せば、レオ殿がほのかに赤くなっていた。
「えと、本当に褒めてもらえるとは思っていなくて……あー……! 待って下さい。今俺の顔を見ないで下さい。貴方の前では、恰好良くいたいんで」
私の前にレオ殿が手を伸ばして、ストップ! と制止する。レオ殿が顔を隠しながら横を向いて、深呼吸を数回。それから私の方を振り返って「アラン様」と名前を呼んだ。
「アラン様。俺がアラン様をどうかしたいと思ってるのに、アラン様が俺をどうかしてどうするんですか」
何やらまだ私には難しそうな話。というか、レオ殿は私のことをどうかしたいと思っているのか……。
「あ、ちょっと。逃げないで下さいよ」
警戒するように一歩後ろに下がれば、レオ殿が私を逃がさないようにする。簡単に捕まってしまった私は、レオ殿の腕の中。
「アラン様。風呂でも入って来たんですか?」
「はい。騎士団の訓練をしたので、汗をかいてしまって」
「ふーん」
今度はレオ殿が私の髪に触れる。感覚の無い毛先を、何度か指の腹で擦りながら、楽しそうに笑った。また何か良からぬことを考えている表情に、逃げようとするもレオ殿の腕の中から逃げられるはずもない。
「ちょっと。何、逃げようとしてるんですか」
「レオ殿が、意地悪そうな顔をしていたので」
「アラン様も大分言う様になりましたね」
「レオ殿こそ」
「俺は最初からですが?」
「それもそうですね」
「ですが……」
グイッと私の身体を引き寄せて、レオ殿が言った。
「そんなことを言いながら、髪が乾くよりも早く俺に会いたかったと?」
「……っ!」
未だに水気が残る髪にしまったと思いながら、私は何も言い返せなかった。
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前回の話もラッパの反応有難うございます(^^)同じ方が下さっているのでしょうか…?💦
今日の分も!更新!出来ました~~!やった~~!
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