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117】聞き間違いではなかった③

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117】聞き間違いではなかった③

 知識も、こと色恋については私は知識が皆無だ。レオ殿の経験は知らないが、きっと知識ならば十分にあるはず。そんな相手に、交渉するのは簡単なことじゃなかったんだ。
例えば、今後はやはり私に指南して貰っている性的な行為についても、見直すべきでは? と思っていたが、レオ殿はどうしても嫌だと納得してくれない。それどころか、逆に「そうだ!」と閃いた様子で私に提案して言った。

「じゃあ……!」

「今度は、アラン様が俺に触って良い許可を出すのはどうですか?」

(うん? 私が、許可を出す……?)

「そういうものですか?」

「そういうものでは?」

うん? と私は小首を傾げたが、これは正しいのだろうか?

「アラン様が上手にオナニー出来るようにするのが、俺の仕事なんでね。王命を今更止めますなんて出来ないでしょう? それとも、王様にアラン様からクビにされましたって言っても良いんですか? まぁ、そんなことになったら、俺は国一番の賢者じゃなくなるでしょうけど」

「そうですが、やはりレオ殿は口づけをする必要などは無いんですよ」

「仕方ないじゃないですか、好きなんですから」

「レオ殿、開きなおってませんか?」

「そうですね。俺としては、素敵な告白にしたかったのに、こんな風に口を滑らせてしまったので、今さら取り繕っても意味がないと判断したまでです。ですが、口は駄目でも、頬への口づけは良いじゃないですか。挨拶でもするところですし」

「ぐっ……そう言われてしまうと……分かりました。私への口づけは、頬にして下さいね」

「はい、勿論。で、アラン様の許可が下りれば口にしても?」

「そうなりますね」

説明するように、一つ一つゆっくりと確認していく。

(何だか、言質を取られているような気もするが……)

「オナニーの手伝いは? アラン様、まだまだですよね?」

不意に、太ももを撫でられ変な声を漏らしそうになってしまった。

「……ぁっ……♡」

いや、僅かに漏れてしまった。

「そ……れは、まだ未定です……! とりあえず、レオ殿離れて下さい」

「……もしかして、アラン様」

「何ですか?」

「俺の事、意識してくれてます?」

「は……? え、意識……? ええっ!?」

嬉しそうにいうレオ殿に、何てことを言うんだと思いながら。

──────ドキン。

「そんなこと急に言われても……分からないです……私はまだ、そういった意味の好きだなんて……」

「アラン様」

「はい」

「俺、絶対アラン様に好きになってもらうんで」

「は?」

「じゃあ、今日はこれで。あ、ちゃんとオナニーの練習はして下さいね」

「レオ殿!」

何てこと言うんですか! と言った時には、レオ殿は私を置いて部屋を出て行った。


「……何だったんだ? まぁ……仲直りってことで、良いんだよな……?」

揶揄われるのも久しぶりだと思いながら、嬉しいと思ってしまった。

(ああ、でも今度からどうすれば良いんだろう)

仲直り出来て嬉しい。だが、知らなかった方が良かったのでは? という情報も知ってしまい。私は今後、ちゃんと友人らしく振る舞えるだろうか。

******
おかしいな? このままアッ──!からのhappy endになるかな?って思っていたのですが
なぜ!? えっっっな話も最近してなくてええん(´;ω;`)
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