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115】聞き間違いではなかった②

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115】聞き間違いではなかった②

 どういうわけか、レオ殿が私に好きだと言った。
私の聞き間違えではないらしい。ただ駄々を捏ねる子供のような。特別な意味を持つ「好き」じゃないだろうと思っていたら、これまたどうやら違うらしい。
おかしいぞ? レオ殿のことを思って距離を置こうとしているのに、レオ殿は私のことを好きだなんて? 

んん? と、私は怪訝な表情になっていく。

「ですが、そのっ……レオ殿は、親しい女性がいますよね……?」

堂々巡りになってしまうと、ストレートに提案した原因を聞いてみた。そうすれば、レオ殿が「はぁっ!?」と大きく声を出して、食い気味に返事した。

「そんな人、いませんよ!? 私が? 誰ですか!? というか、アラン様、その様子だと何か見たのでは? 俺の身の潔白を証明します。言って下さい」

「だって、あの、私たちが見回りの日に、私服で女性と二人で仲良く過ごしていたのを見かけたので、私はてっきり……」

「騎士団の見回りの日……ぁあああ゛……!」

考えます、と私の前に一度手をスッと出して数秒。すぐにピンときた様子のレオ殿が、渋い顔をする。私の手を握っていた手を一度離して、またガシガシと頭を掻いた。折角綺麗な髪の毛が乱れていくが、気にする様子のないレオ殿が、急に冷静になって言った。

「あれは仕事です」

「仕事?」

「ええ、仕事です。とういか、王命です」

「ですが、私服でしたよ?」

「隠そうとしているとかではないですが、ただ私のローブが籠城している間に汚れてしまったので、これはいかんだろと。あの時はローブも無いし、人目につく必要もなかったので、私服だっただけです。あと、これが新しく貰ったローブです」

「……」

「一緒にいた方は、医務官の方です。薬草に詳しい担当者が不在なので、一緒に薬草を見に行って欲しいと命じられたんですよ。俺は仕事はちゃんとする賢者なのでね。仕事は。ご存知でしょう?」

「ええ、まぁ……」

「まだ疑ってます?」

「疑っているわけではないですが、なんというか……」

「何だっていうんです」

「私相手に、そこまで説明しなくてもと思ってしまって」

「俺は、アラン様相手だから、説明してるんですってば!」

「私だから?」

「アラン様が、俺以外の。ナイト殿の恋人になって欲しくないから、こうして弁明してるんですが? それから、俺のことも意識して下さいよ」

(レオ殿を、意識する……?)

…………ドキン。

「あ、ああ……そう……なんですか……」

「で? 納得しました?」

「ええ、まぁ」

「なら、もう俺と距離を取ろうとしません?」

「……いや、それはちょっと考えたいと思います」

「何でですか!? 一人で上手にイケるようになりたいんですよね?」

「声が大きいですよ!」

いくら人通りが無い場所の部屋の中とはいえ、廊下に誰かが通っていたらどうするつもりなのだろう。それに、やはりああいうことは思い合った者同士でないといけないと思う。

「上手くイケるようになりたいですが、やっぱり……ああいうのは、思い合った者同士じゃないと駄目だと思います……」

チラリとレオ殿を見つめると、うう゛っ……と何も言えなくなった。だが、レオ殿は諦める様子が無い。

「分かりました」

「じゃあ……!」

「今度は、アラン様が俺に触って良い許可を出すのはどうですか?」

「そういうものですか?」

「そういうものでは?」

うん? と私は小首を傾げたが、これは正しいのだろうか?

******
おかしいな? 二人とも何となくポンコツっぽくなってる…!(なんで?)
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