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112】【番外編】とある賢者の失言
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112】【番外編】とある賢者の失言
俺は浮かれてしまったんだ。
「レオ殿」
久しぶりに俺を呼ぶ声に、喜んで。出来るだけ冷静に、何も気にしていませんよ? と何食わぬ振りをして返事して。
「おはようございます、アラン様。俺に何か用ですか?」
「ええ、久しぶりにお話しがしたくて。今、お時間宜しいですか?」
「喜んで」
まさか、アラン様が俺と話がしたいと思ってくれただなんて!
時間なんて何をしても作るし、今俺の優先事項はアラン様だけだった。アラン様の気が変わらないうちに早くと手を引いて、「さぁ、行きましょう」と連れていく。
本当に嬉しくて、浮かれてしまったんだ──────。
(何だか、アラン様の様子が変だな?)
と、幾分何か物を言いたげな表情で俺に視線を送るのに気づいていたが、浮かれていた俺は、自分の都合が良い方にばかり考えた。
例えば、久しぶりに話すし緊張しているのかな、とか。俺と何を話そうと一生懸命考えてくれているのかな? とか。
実際、二人きりで話しを始めると互いに思いがズレてしまっている所があったなと反省した点もある。(俺が大半悪いとは思うが)
互いに会っていなかった間のことを聞きつつ、俺が一番気になることを聞けば、明らかにアラン様が動揺を見せた。
「……アラン様、そういえばナイト殿とは何かありました?」
あのナイト殿が帰ったことは知っているし、来たのも数日前ということでもない。蒸し返すのか? と俺も大人げないとは思うが、俺にとっては大事なことで。
アラン様が何も無かったと即答してくれれば、安心出来だろうに、私生活に置いて嘘も苦手なこの人は、何かを隠すということが苦手だ。
「いえ、何も?」
(何かあったな?)
何で俺の質問に疑問形で答えているんだ。動揺している。ムッと俺の方は感情的になってしまうわけで、食い気味にアラン様に言葉を続けた。
「本当に?」
「え、ええ。何も無かったですよ? ただ楽しく会話をして過ごしただけです」
(絶対何かあったじゃないか)
先ほど以上に動揺した返答に、俺は内心絶対に聞き出すと心に決めた。
*****
「で? 本当にナイト殿とは何もなかったんですか?」
その決意は有言実行。
仲直りして、めでたしめでたし……とはいかず。話は終わっていませんよとアラン様を逃がさないようにすれば、アラン様が観念したように言った。
「……何でそこまで聞きたがるんですが」
「俺にとって大事なことだからですかね?」
本当に大事なことなんだ。下手したら、アラン様があのナイト殿に取られてしまう。長年羨ましいと思っていたアラン様の隣の席が、最近ようやく俺の席になってきたのに。せっかく傍にいられるようになったのに、奪われてたまるものか。
「誰にも言いませんか?」
「勿論。誰にも言いませんよ」
うーん……と迷ったアラン様。一度迷えば、もう俺に答えを教えてくれるも同然。小さく溜息をついたあと、アラン様が口を開いた。
「分かりました。そのっ……ナイト殿に好きだと言われたくらいですかね」
「は?」
(は? 何、アイツ。シレッと告白して帰ったのか?????)
「え?」
俺の驚きの声に、今度はアラン様が驚いた声を出していた。
*******
お気に入り有難うございます(^^)嬉しいです
俺は浮かれてしまったんだ。
「レオ殿」
久しぶりに俺を呼ぶ声に、喜んで。出来るだけ冷静に、何も気にしていませんよ? と何食わぬ振りをして返事して。
「おはようございます、アラン様。俺に何か用ですか?」
「ええ、久しぶりにお話しがしたくて。今、お時間宜しいですか?」
「喜んで」
まさか、アラン様が俺と話がしたいと思ってくれただなんて!
時間なんて何をしても作るし、今俺の優先事項はアラン様だけだった。アラン様の気が変わらないうちに早くと手を引いて、「さぁ、行きましょう」と連れていく。
本当に嬉しくて、浮かれてしまったんだ──────。
(何だか、アラン様の様子が変だな?)
と、幾分何か物を言いたげな表情で俺に視線を送るのに気づいていたが、浮かれていた俺は、自分の都合が良い方にばかり考えた。
例えば、久しぶりに話すし緊張しているのかな、とか。俺と何を話そうと一生懸命考えてくれているのかな? とか。
実際、二人きりで話しを始めると互いに思いがズレてしまっている所があったなと反省した点もある。(俺が大半悪いとは思うが)
互いに会っていなかった間のことを聞きつつ、俺が一番気になることを聞けば、明らかにアラン様が動揺を見せた。
「……アラン様、そういえばナイト殿とは何かありました?」
あのナイト殿が帰ったことは知っているし、来たのも数日前ということでもない。蒸し返すのか? と俺も大人げないとは思うが、俺にとっては大事なことで。
アラン様が何も無かったと即答してくれれば、安心出来だろうに、私生活に置いて嘘も苦手なこの人は、何かを隠すということが苦手だ。
「いえ、何も?」
(何かあったな?)
何で俺の質問に疑問形で答えているんだ。動揺している。ムッと俺の方は感情的になってしまうわけで、食い気味にアラン様に言葉を続けた。
「本当に?」
「え、ええ。何も無かったですよ? ただ楽しく会話をして過ごしただけです」
(絶対何かあったじゃないか)
先ほど以上に動揺した返答に、俺は内心絶対に聞き出すと心に決めた。
*****
「で? 本当にナイト殿とは何もなかったんですか?」
その決意は有言実行。
仲直りして、めでたしめでたし……とはいかず。話は終わっていませんよとアラン様を逃がさないようにすれば、アラン様が観念したように言った。
「……何でそこまで聞きたがるんですが」
「俺にとって大事なことだからですかね?」
本当に大事なことなんだ。下手したら、アラン様があのナイト殿に取られてしまう。長年羨ましいと思っていたアラン様の隣の席が、最近ようやく俺の席になってきたのに。せっかく傍にいられるようになったのに、奪われてたまるものか。
「誰にも言いませんか?」
「勿論。誰にも言いませんよ」
うーん……と迷ったアラン様。一度迷えば、もう俺に答えを教えてくれるも同然。小さく溜息をついたあと、アラン様が口を開いた。
「分かりました。そのっ……ナイト殿に好きだと言われたくらいですかね」
「は?」
(は? 何、アイツ。シレッと告白して帰ったのか?????)
「え?」
俺の驚きの声に、今度はアラン様が驚いた声を出していた。
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