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109】久しぶりに声をかけてみた②
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109】久しぶりに声をかけてみた②
「アラン様、久しぶりですね」
「ええ、そうですね」
ただ城の廊下を歩いているだけだというのに、嬉しくなる。一瞬だけレオ殿の隣で噛んだ唇がもう開いて、私の気持ちとは反対に何を話そうかと準備している気すらあった。レオ殿の方は、ずっと笑顔だ。
(良かった)
また怒らせてしまったらという不安が、徐々に消えていく。大丈夫、世間話をしながら距離を詰めるんだ。普通に話すように。頭の中で、指示を出すように自分に言い聞かせていれば、「アラン様」とレオ殿が私の名前を呼んだ。
「アラン様。俺、本当に会えて嬉しいです」
普段大人びているレオ殿が、どこか子供っぽく。ニコニコと笑う表情を初めて見た気が
する。素直に感じているレオ殿の言葉だと思えば、私の方も嬉しくなる。だが、気をしっかりしなければならない。
(駄目だ! 変な勘違いをするんじゃない。レオ殿は、友人の一人として私に会えて嬉しいと言っているんだ)
自身の胸に感じる痛みに答えが、まだ分からないまま。それでも何か本能的に、自分に気をつけろと言い聞かせた。
(レオ殿にも、レオ殿の人生がある。私にばかり付き合わせてはいけないんだ)
「わ……私も、嬉しいです」
「……」
握られた手の力に、どうやって解こうかと思いながら私の笑顔は少しだけひきつった。
「アラン様。何か話があるってことですが、どこにします? また適当に空いている部屋にします? 時間掛かっても良いなら、俺の家でも良いですが」
(レオ殿家に行ってしまえば、また流されてしまう気がする)
私の悪いところだ。だが、だからといってレオ殿の私の部屋に招くのは、まだ気が進まない。ナイト殿は招待したくせに、私は酷い男だと思いながら適当に空いている部屋を見繕うことにした。
「開いている部屋を探しましょう。こんなに広い城です。きっとすぐに見つかりますよ」
「俺は別に、このままアラン様と城の中を散歩するだけでも嬉しいですけど」
「……茶化さないで下さい」
「本心なんですけど」
繋いだままの手の指が、スルリと私の手の甲を撫でた。どこか熱を上げそうな動きに、思わず手が逃げるように引けたが、繋がったままの手は解けない。むしろ、レオ殿の手の力が強くなって、離さないと言っているようにも見えた。
「……っ! 早く部屋を探しましょう」
「残念」
広い城の中は部屋の数も多い。空いている部屋は簡単に見つかって、この時間帯には人通りの少ない場所を選んだ。ギィッ……と扉を開けば、イスとテーブルがある。小さな談話室といった様子に、繋いでいた手はようやく解かれ。まぁ良いかと適当に席に着いた。
******
お気に入り有難うございます(^^)嬉しいです!
全然未定ですが、人×獣人or獣人×人あたりで短いのしようかなぁと思ってたりします(本当に思っているだけ)
別に始めた際は、見て頂けると嬉しいです
「アラン様、久しぶりですね」
「ええ、そうですね」
ただ城の廊下を歩いているだけだというのに、嬉しくなる。一瞬だけレオ殿の隣で噛んだ唇がもう開いて、私の気持ちとは反対に何を話そうかと準備している気すらあった。レオ殿の方は、ずっと笑顔だ。
(良かった)
また怒らせてしまったらという不安が、徐々に消えていく。大丈夫、世間話をしながら距離を詰めるんだ。普通に話すように。頭の中で、指示を出すように自分に言い聞かせていれば、「アラン様」とレオ殿が私の名前を呼んだ。
「アラン様。俺、本当に会えて嬉しいです」
普段大人びているレオ殿が、どこか子供っぽく。ニコニコと笑う表情を初めて見た気が
する。素直に感じているレオ殿の言葉だと思えば、私の方も嬉しくなる。だが、気をしっかりしなければならない。
(駄目だ! 変な勘違いをするんじゃない。レオ殿は、友人の一人として私に会えて嬉しいと言っているんだ)
自身の胸に感じる痛みに答えが、まだ分からないまま。それでも何か本能的に、自分に気をつけろと言い聞かせた。
(レオ殿にも、レオ殿の人生がある。私にばかり付き合わせてはいけないんだ)
「わ……私も、嬉しいです」
「……」
握られた手の力に、どうやって解こうかと思いながら私の笑顔は少しだけひきつった。
「アラン様。何か話があるってことですが、どこにします? また適当に空いている部屋にします? 時間掛かっても良いなら、俺の家でも良いですが」
(レオ殿家に行ってしまえば、また流されてしまう気がする)
私の悪いところだ。だが、だからといってレオ殿の私の部屋に招くのは、まだ気が進まない。ナイト殿は招待したくせに、私は酷い男だと思いながら適当に空いている部屋を見繕うことにした。
「開いている部屋を探しましょう。こんなに広い城です。きっとすぐに見つかりますよ」
「俺は別に、このままアラン様と城の中を散歩するだけでも嬉しいですけど」
「……茶化さないで下さい」
「本心なんですけど」
繋いだままの手の指が、スルリと私の手の甲を撫でた。どこか熱を上げそうな動きに、思わず手が逃げるように引けたが、繋がったままの手は解けない。むしろ、レオ殿の手の力が強くなって、離さないと言っているようにも見えた。
「……っ! 早く部屋を探しましょう」
「残念」
広い城の中は部屋の数も多い。空いている部屋は簡単に見つかって、この時間帯には人通りの少ない場所を選んだ。ギィッ……と扉を開けば、イスとテーブルがある。小さな談話室といった様子に、繋いでいた手はようやく解かれ。まぁ良いかと適当に席に着いた。
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