99 / 175
98】友人と二人で過ごす日のこと②
しおりを挟む
98】友人と二人で過ごす日のこと②
天気は快晴。気温も薄着でも過ごしやすく、心地よい。休日を過ごすには、もってこいの日だといえよう。街中も変わらず人々は笑顔で、私に声をかけてくれる。良い国だとナイト殿にも言われ、嬉しいと思う。だがそんな時だ。「アラン様」と名前を呼ばれたかと思えば、身体を引っ張るように手を引かれていた。
「良ければ、私はアラン殿と二人きりになりたいのですが」
ちゅっ、と一瞬だけ触れるだけの口づけを私の手の甲へ落としてナイト殿が言った。その動作が、どこかレオ殿に似ていて考えないようにしていたのに思い出してしまう。
(今はナイト殿と過ごしているのに)
「アラン殿?」
首を傾げたナイト殿の一つに括った長髪が、サラリと揺れた。
「す……、すみません。ナイト殿があまりに恰好良いので、見惚れてしまいました……」
半分本当で、半分嘘。見惚れながら、思い出してしまった別の顔を思い出してしまったことは口に出さず。笑ってみたが、私は上手く誤魔化せているだろうか。ナイト殿が何も言わず、取った手から力を緩める。名残惜しそうに最後に指先を撫でるように触れて、私の手からレオ殿の手が離れた。
「そうですね、静かな場所に行きましょうか。森は……少し遠いので、良ければ私の部屋に来ませんか?」
森の奥には、レオ殿の家がある。万が一出会ってしまったらと思い、ナイト殿を案内する選択肢から外してしまった。他に二人きりになれる場所といえば、私の部屋しかない。人を招いたことは無いが、まぁ仕方ない。
「せっかく天気が良いのに、室内に招待するのは心苦しいですが、どうしても人目についてしまうので嫌でなければですが」
「喜んで。アラン殿のお部屋を訪れるのは、初めてなので招待してくれて嬉しいです」
「良かったです。では、私の家は城の中にあるので、来てください。城につくまでは、散歩気分で行きましょうか」
さぁ、と一歩前に出ればナイト殿が私の隣に並ぶ。それから「アラン殿」と声を掛けられ、ナイト殿を見れば「手を繋いでも?」とナイト殿の指先が絡んだ。また私の頭の中に、レオ殿の顔が浮かぶ。別に悪いことをしているわけでもないのに、何となく罪悪感を感じつつ。
「良いですよ。少し、ドキドキしますね」
「そうですね」
ナイト殿は、こんな風にスキンシップする人だったろうか? と思いつつも、私は手を振る解くことはなかった。
(レオ殿と、手の大きさも体温も違うなぁ)
考えないようにと思いつつ、また無意識に私はナイト殿とレオ殿を比べ。考えるのを止めようと思っていたレオ殿のことばかり思い出してしまった。
(私はまた、レオ殿に会うことが出来るのだろうか)
チクリと胸が痛んだが、今は考えるのを止めた。
***********
お気に入り有難うございます(^^)嬉しいです
ちょっと手を出させるか、何もなしで終わるか。うーーーーーーん
多分短い予定なのですぐ終わるかと思います。多分
天気は快晴。気温も薄着でも過ごしやすく、心地よい。休日を過ごすには、もってこいの日だといえよう。街中も変わらず人々は笑顔で、私に声をかけてくれる。良い国だとナイト殿にも言われ、嬉しいと思う。だがそんな時だ。「アラン様」と名前を呼ばれたかと思えば、身体を引っ張るように手を引かれていた。
「良ければ、私はアラン殿と二人きりになりたいのですが」
ちゅっ、と一瞬だけ触れるだけの口づけを私の手の甲へ落としてナイト殿が言った。その動作が、どこかレオ殿に似ていて考えないようにしていたのに思い出してしまう。
(今はナイト殿と過ごしているのに)
「アラン殿?」
首を傾げたナイト殿の一つに括った長髪が、サラリと揺れた。
「す……、すみません。ナイト殿があまりに恰好良いので、見惚れてしまいました……」
半分本当で、半分嘘。見惚れながら、思い出してしまった別の顔を思い出してしまったことは口に出さず。笑ってみたが、私は上手く誤魔化せているだろうか。ナイト殿が何も言わず、取った手から力を緩める。名残惜しそうに最後に指先を撫でるように触れて、私の手からレオ殿の手が離れた。
「そうですね、静かな場所に行きましょうか。森は……少し遠いので、良ければ私の部屋に来ませんか?」
森の奥には、レオ殿の家がある。万が一出会ってしまったらと思い、ナイト殿を案内する選択肢から外してしまった。他に二人きりになれる場所といえば、私の部屋しかない。人を招いたことは無いが、まぁ仕方ない。
「せっかく天気が良いのに、室内に招待するのは心苦しいですが、どうしても人目についてしまうので嫌でなければですが」
「喜んで。アラン殿のお部屋を訪れるのは、初めてなので招待してくれて嬉しいです」
「良かったです。では、私の家は城の中にあるので、来てください。城につくまでは、散歩気分で行きましょうか」
さぁ、と一歩前に出ればナイト殿が私の隣に並ぶ。それから「アラン殿」と声を掛けられ、ナイト殿を見れば「手を繋いでも?」とナイト殿の指先が絡んだ。また私の頭の中に、レオ殿の顔が浮かぶ。別に悪いことをしているわけでもないのに、何となく罪悪感を感じつつ。
「良いですよ。少し、ドキドキしますね」
「そうですね」
ナイト殿は、こんな風にスキンシップする人だったろうか? と思いつつも、私は手を振る解くことはなかった。
(レオ殿と、手の大きさも体温も違うなぁ)
考えないようにと思いつつ、また無意識に私はナイト殿とレオ殿を比べ。考えるのを止めようと思っていたレオ殿のことばかり思い出してしまった。
(私はまた、レオ殿に会うことが出来るのだろうか)
チクリと胸が痛んだが、今は考えるのを止めた。
***********
お気に入り有難うございます(^^)嬉しいです
ちょっと手を出させるか、何もなしで終わるか。うーーーーーーん
多分短い予定なのですぐ終わるかと思います。多分
2
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!
おかわり
ストロングベリー
BL
恐ろしいほどの美貌と絶品の料理で人気のカフェバーのオーナー【ヒューゴ】は、晴れて恋人になった【透】においしい料理と愛情を注ぐ日々。
男性経験のない透とは、時間をかけてゆっくり愛し合うつもりでいたが……透は意外にも積極的で、性来Dominantなヒューゴを夜ごとに刺激してくる。
「おいしいじかん」の続編、両思いになった2人の愛し合う姿をぜひ♡

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる