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81】人には聞かず調べてみようとしたものの③
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81】人には聞かず調べてみようとしたものの③
城内の廊下で、私はまたレオ殿に捕まっていた。人がいない場所に、うまいこと私を隠すように壁に追い詰める。声をかけずに帰ろうとした私に物を申しながら。それから聞いたのですが……とレオ殿に未だに質問をしていないことを突かれる。
「大丈夫です。誰もいませんよ。それとも何です? 人に聞かれては困るような質問ですか?」
さぁ、教えてくださいと笑うレオ殿。酔っていた時のレオ殿の可愛さは無く、あの時は可愛かったのにと思ってしまった。
(やっぱり酔ってない時のレオ殿は、少し意地悪だ)
ムッとレオ殿を見つめれば、触れる口づけを頬に落とされる。
「レオ殿!」
だからここは城内で、いくら人の気配がないとはいえ誰に見られるか分からないというのに!
「アラン様が可愛かったのでつい」
「……何だか、いつも同じことを言っていませんか?」
騎士団長だというのに、だんだんと絆されている私がいる。こんな、まるで女性に対する接し方のような接し方と、口づけにドキドキと鳴る心臓を抑えるのが大変だというのに。
「いつもアラン様が可愛いからですよ」
「……」
(……私でなければ、勘違いしてしまいますよ)
至近距離で呟いてしまえば、レオ殿に聞こえてしまいそうだったので心の中にだけ留めた。
「アラン様?」
「し……尻を狙うという意味をご存じですか?」
「!」
一瞬だけ。一瞬だけレオ殿の眉間と口角が僅かに動いたが、慌てることなく。
「どうしてその言葉が知りたいんですか?」
「初めて聞いた言葉だったので、知りたくなって。書庫で調べましたが、慣用句でもなく医学書にも載っておらず……」
「誰かに聞いたりは?」
「レオ殿が自分に聞いて欲しいと言っていましたし、私も約束した手前聞いていません」
「俺との約束、守ってくれたんですね。嬉しいです」
そのままレオ殿の身体が近づいたかと思えば、ローブの間から腕が伸び。大きな手の平が、私の尻たぶを鷲掴みにした。更には、もう一本腕が伸びてきて残りのもう方の尻たぶも掴まれた。モニモニと軽く揉まれ、床とレオ殿の顔を交互に見る。
「~~っ!?」
バッ! と口元を思わず覆う。声は出なかったが、声にならない悲鳴を上げていた。
眼を見開いて、レオ殿を見つめる。信じられない! 何を!? と視線で訴えれば、鷲掴みにしていた手の平が離れ、尻たぶが弾むのが分かった。
「こういうことですよ」
「どういう意味ですか!?」
「アラン様。性交渉は無くても、知識はあるんでしたよね?」
「ええ。一般教養の範囲内では」
「簡単に言ってしまえば、男同士での性交渉は、ココを使うんです。なので、尻を狙うというのは、性的な意味で相手を見ていて、あわよくば……なんて欲望を持っているということですよ」
平然と説明するレオ殿。周囲に人がいなくて、本当に良かったと思う。
「!?」
(性交渉?! 男同士は、尻を使う!?)
知らない言葉を教えて欲しいとは思ったが、私の理解の容量を超えていた。
**********
城内の廊下で、私はまたレオ殿に捕まっていた。人がいない場所に、うまいこと私を隠すように壁に追い詰める。声をかけずに帰ろうとした私に物を申しながら。それから聞いたのですが……とレオ殿に未だに質問をしていないことを突かれる。
「大丈夫です。誰もいませんよ。それとも何です? 人に聞かれては困るような質問ですか?」
さぁ、教えてくださいと笑うレオ殿。酔っていた時のレオ殿の可愛さは無く、あの時は可愛かったのにと思ってしまった。
(やっぱり酔ってない時のレオ殿は、少し意地悪だ)
ムッとレオ殿を見つめれば、触れる口づけを頬に落とされる。
「レオ殿!」
だからここは城内で、いくら人の気配がないとはいえ誰に見られるか分からないというのに!
「アラン様が可愛かったのでつい」
「……何だか、いつも同じことを言っていませんか?」
騎士団長だというのに、だんだんと絆されている私がいる。こんな、まるで女性に対する接し方のような接し方と、口づけにドキドキと鳴る心臓を抑えるのが大変だというのに。
「いつもアラン様が可愛いからですよ」
「……」
(……私でなければ、勘違いしてしまいますよ)
至近距離で呟いてしまえば、レオ殿に聞こえてしまいそうだったので心の中にだけ留めた。
「アラン様?」
「し……尻を狙うという意味をご存じですか?」
「!」
一瞬だけ。一瞬だけレオ殿の眉間と口角が僅かに動いたが、慌てることなく。
「どうしてその言葉が知りたいんですか?」
「初めて聞いた言葉だったので、知りたくなって。書庫で調べましたが、慣用句でもなく医学書にも載っておらず……」
「誰かに聞いたりは?」
「レオ殿が自分に聞いて欲しいと言っていましたし、私も約束した手前聞いていません」
「俺との約束、守ってくれたんですね。嬉しいです」
そのままレオ殿の身体が近づいたかと思えば、ローブの間から腕が伸び。大きな手の平が、私の尻たぶを鷲掴みにした。更には、もう一本腕が伸びてきて残りのもう方の尻たぶも掴まれた。モニモニと軽く揉まれ、床とレオ殿の顔を交互に見る。
「~~っ!?」
バッ! と口元を思わず覆う。声は出なかったが、声にならない悲鳴を上げていた。
眼を見開いて、レオ殿を見つめる。信じられない! 何を!? と視線で訴えれば、鷲掴みにしていた手の平が離れ、尻たぶが弾むのが分かった。
「こういうことですよ」
「どういう意味ですか!?」
「アラン様。性交渉は無くても、知識はあるんでしたよね?」
「ええ。一般教養の範囲内では」
「簡単に言ってしまえば、男同士での性交渉は、ココを使うんです。なので、尻を狙うというのは、性的な意味で相手を見ていて、あわよくば……なんて欲望を持っているということですよ」
平然と説明するレオ殿。周囲に人がいなくて、本当に良かったと思う。
「!?」
(性交渉?! 男同士は、尻を使う!?)
知らない言葉を教えて欲しいとは思ったが、私の理解の容量を超えていた。
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