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75】珍しくレオ殿の様子がおかしい④
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75】珍しくレオ殿の様子がおかしい④
「は……っ゛♡ぁ゛……♡」
幾分硬い舌先が、私の舌先に絡まってくる。頭がぼんやりとしてくる。私は酔っていないのに、レオ殿よりもクラリとしてきて不味いと思いながらも、恋人にするような口づけを抵抗も無く、受け入れるだけ。くぐもった声に、色欲の声が混じり出した頃。よくやくレオ殿舌先が離れて行く。
くちゅっ♡と場違いな水音が引いたと思えば、また私とレオ殿の間に粘着質な唾液の糸が引いていた。トロリとゆっくりと曲線を描いて切れていく糸。酔っているレオ殿よりも、私の方が呼吸が乱れていて僅かに咽た。
「ふ……ごほっ……」
「こういう意味です。分かりました? 可愛くて、食べちゃいたいってことですよ」
「何を言って……って、レオ殿!?」
ニヤリと笑ったレオ殿の頭が、ガクン! と突然テーブルに突っ伏した。幸い皿が落ちたり割れなかったが、レオ殿はそうもいかない。大丈夫だろうかと、席を立ち駆け寄れば怪我は無く。すやすやと寝息を立てているレオ殿の綺麗な顔が、そこにはあった。
「良かった。眠っているだけか」
まずは怪我が無くて良かった。だが、このまま寝かせておいても風邪をひいてしまう。それは困ると、やはりレオ殿を起こそうと身体を揺すった。
「レオ殿、レオ殿起きて下さい!」
「んっ……」
整った顔は、眠っていても整っているものだと一瞬見とれてしまう。駄目だ! と首をブンッ! と振って、もう一度レオ殿を起こそうと躍起になった。
「レオ殿! レオ殿! レオ殿!!」
「んー……」
酒の力とは恐ろしいものだと、他人事ながら思う。私も深酒はやめようと思いつつ、肩ではダメか? と頬に触れれば、ゆっくりと瞼が開いた。
「……アラン様のエッチ」
眠る前に見せた表情と同じ。ニヤリと弧を描いた唇に、私の手を掴むレオ殿。
「ちがっ! 私は、ただ……!」
ただレオ殿が寝ていたので、起こそうとしただけ。顔に見惚れはしたが、やましいことは何もない。
「レオ殿が眠っていたので、起こそうとしただけです! レオ殿、ほら立って下さい! 眠るならベッドで! その前にちゃんと歯を磨いて!」
「んぇー……?」
何で? と首を傾げながら、レオ殿が掴んだままの私の手をグイッと今度は私が引っ張る。つられるように席を立ったレオ殿を方で支え。行きますよ! と指示をすれば、肩のところで「あー」だの「うー」と聞こえたが無視することにした。案外と身体も重く、鍛えていて良かったと思った。
「レオ殿、歯を磨く場所は?」
「そこの洗面台」
「よいしょっ……! ほら、レオ殿! 歯ブラシです。磨いて下さい」
「アラン様が磨いたら俺も磨きます」
「私はレオ殿を寝かしつけたら帰ります。ほら、ちゃんと磨いて下さい」
「やだ。そこに新しいのがあるので、使って下さい。というか、夜に森を一人何て危ないんで泊って行って下さい」
「レオ殿」
「アラン様が磨いたら俺も磨きますってば」
駄目だ。案外と子供っぽく折れない。仕方がないと、私はレオ殿が指さした場所から新しい歯ブラシを取り出し、見たくことにした。口内がスッキリしつつ、「レオ殿」と言えば、「なんですか?」とシャコシャコと私の肩によりかかったまま、歯をちゃんと磨いていた。有言実行はきちんとするらしい。最後にペッと口をすすぎ。
「どうです? ちゃんと歯を磨きましたよ。褒めて下さい」
まだ酔いは残っているらしい。珍しく褒めろと主張した頭を撫でてみれば、レオ殿が嬉しそうな顔をした。
*********
次の更新は短いです><
「は……っ゛♡ぁ゛……♡」
幾分硬い舌先が、私の舌先に絡まってくる。頭がぼんやりとしてくる。私は酔っていないのに、レオ殿よりもクラリとしてきて不味いと思いながらも、恋人にするような口づけを抵抗も無く、受け入れるだけ。くぐもった声に、色欲の声が混じり出した頃。よくやくレオ殿舌先が離れて行く。
くちゅっ♡と場違いな水音が引いたと思えば、また私とレオ殿の間に粘着質な唾液の糸が引いていた。トロリとゆっくりと曲線を描いて切れていく糸。酔っているレオ殿よりも、私の方が呼吸が乱れていて僅かに咽た。
「ふ……ごほっ……」
「こういう意味です。分かりました? 可愛くて、食べちゃいたいってことですよ」
「何を言って……って、レオ殿!?」
ニヤリと笑ったレオ殿の頭が、ガクン! と突然テーブルに突っ伏した。幸い皿が落ちたり割れなかったが、レオ殿はそうもいかない。大丈夫だろうかと、席を立ち駆け寄れば怪我は無く。すやすやと寝息を立てているレオ殿の綺麗な顔が、そこにはあった。
「良かった。眠っているだけか」
まずは怪我が無くて良かった。だが、このまま寝かせておいても風邪をひいてしまう。それは困ると、やはりレオ殿を起こそうと身体を揺すった。
「レオ殿、レオ殿起きて下さい!」
「んっ……」
整った顔は、眠っていても整っているものだと一瞬見とれてしまう。駄目だ! と首をブンッ! と振って、もう一度レオ殿を起こそうと躍起になった。
「レオ殿! レオ殿! レオ殿!!」
「んー……」
酒の力とは恐ろしいものだと、他人事ながら思う。私も深酒はやめようと思いつつ、肩ではダメか? と頬に触れれば、ゆっくりと瞼が開いた。
「……アラン様のエッチ」
眠る前に見せた表情と同じ。ニヤリと弧を描いた唇に、私の手を掴むレオ殿。
「ちがっ! 私は、ただ……!」
ただレオ殿が寝ていたので、起こそうとしただけ。顔に見惚れはしたが、やましいことは何もない。
「レオ殿が眠っていたので、起こそうとしただけです! レオ殿、ほら立って下さい! 眠るならベッドで! その前にちゃんと歯を磨いて!」
「んぇー……?」
何で? と首を傾げながら、レオ殿が掴んだままの私の手をグイッと今度は私が引っ張る。つられるように席を立ったレオ殿を方で支え。行きますよ! と指示をすれば、肩のところで「あー」だの「うー」と聞こえたが無視することにした。案外と身体も重く、鍛えていて良かったと思った。
「レオ殿、歯を磨く場所は?」
「そこの洗面台」
「よいしょっ……! ほら、レオ殿! 歯ブラシです。磨いて下さい」
「アラン様が磨いたら俺も磨きます」
「私はレオ殿を寝かしつけたら帰ります。ほら、ちゃんと磨いて下さい」
「やだ。そこに新しいのがあるので、使って下さい。というか、夜に森を一人何て危ないんで泊って行って下さい」
「レオ殿」
「アラン様が磨いたら俺も磨きますってば」
駄目だ。案外と子供っぽく折れない。仕方がないと、私はレオ殿が指さした場所から新しい歯ブラシを取り出し、見たくことにした。口内がスッキリしつつ、「レオ殿」と言えば、「なんですか?」とシャコシャコと私の肩によりかかったまま、歯をちゃんと磨いていた。有言実行はきちんとするらしい。最後にペッと口をすすぎ。
「どうです? ちゃんと歯を磨きましたよ。褒めて下さい」
まだ酔いは残っているらしい。珍しく褒めろと主張した頭を撫でてみれば、レオ殿が嬉しそうな顔をした。
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