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34】【番外編】とある賢者の腹の内
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34】【番外編】とある賢者の腹の内
俺の名前は、レオ。自分でも、格好良い名前だと自分でも気に入っている。
職業というか、気づいたら国の人たちは俺のことを賢者と呼んでいた。まぁ、自分でも知りたがりは、他の人より群を抜いており。昔から本を読み漁ったり、プラリと国を出て採掘なんかにも出たことだって何度もある。
おかげで動物、モンスター、書物、植物。大体のことについて知識を得たつもりだ。
それがどういうわけか、王様の耳にまで俺は賢者だと噂が耳に入り。気づけば国認定の賢者になっていたってわけだ。
(俺も、立派になったもんだなぁ)
だが俺は、俺。
他所様の賢者様や、物語の賢者のように上品で穏やかってわけじゃない。実際、一人称は変わらず「俺」のまま。楽で良い。だが流石にイメージを崩したくないのか。王様に呼ばれた時も俺は、と話していると、せめて城にいる間だけは賢者らしくとローブを見繕って貰った。俺も一国民だ。王様の頼みは断れない。ローブくらいならと了承し、賢者・レオの誕生ってわけ。
それからは、また普段通り。
今まで好きなことを調べ、城に呼ばれれば賢者らしく振舞う日々が続いていたが、ある日とある依頼が舞い降りた。しかも依頼主は、王様直々ときている。一体なんだ? とローブを身に纏い、王様の元へやってくると依頼の内容に驚いた。
「王様。俺に何のようです? 何か説いて欲しい謎解きでも?」
「いや、今回は違う。わしではなくてだな、アランについてなんじゃ」
「アラン様?」
その名前を知らぬ者は、この国にはいないだろう。
年若くして、騎士団長に任命され。見目麗しく、文武両道という言葉が似あう人。
「へぇ……?」
王様に見えないところで、ニヤリと口角が上がるのが分かった。
「騎士団長・アラン様ですか?」
「そうじゃ。どうやら、最近悩み事があるようでな。噂が、わしの耳にまで入ったくらいじゃ。きっと人には言えない何かを抱えているに違いない。アランほどの立場であれば、相談相手も限られておる。そこで、お主に白羽の矢を立てたのじゃ」
「それは光栄です」
「時期にアランがやって来る。騎士団長を務めておるが、あやつはお主よりも繊細な男じゃからな。くれぐれも気を付けるんじゃぞ」
「分かりましたよ」
もし俺に驚いて距離を取ったとしても、きっとアラン様のことだ。王様直々になんて聞いたら、断ることは無いだろう。そんなことは口には出さず、珍しくキリッと姿勢を正す。
(アラン様の相談相手とは……)
直接話したことは、数少ない。行儀事の時なんかに、世間話程度。忙しいアラン様だ。きっと俺と話しことは覚えていないだろう。だが俺は違う。はっきりと覚えている。どうしてか? そんなの野暮ってもん。
(好きな人と話す機会だ。嬉しいに決まってる)
数回話しただけ。その姿を見てきただけなのに、気づけば目で追っていた。立場も何もかも違うけれど、どうにかして近づけないか? と回転の速い頭で考えたこともある。
(それが、こんな形で願うだなんて)
また口角が上がりそうになった時、コツコツと足音が聞こえ。俺は今までで一番賢者らしく振舞おうと躍起になった。
(そんなこと、アラン様は何も知らないんだろうけど)
誰も知らない。俺の腹の内。
*******
俺の名前は、レオ。自分でも、格好良い名前だと自分でも気に入っている。
職業というか、気づいたら国の人たちは俺のことを賢者と呼んでいた。まぁ、自分でも知りたがりは、他の人より群を抜いており。昔から本を読み漁ったり、プラリと国を出て採掘なんかにも出たことだって何度もある。
おかげで動物、モンスター、書物、植物。大体のことについて知識を得たつもりだ。
それがどういうわけか、王様の耳にまで俺は賢者だと噂が耳に入り。気づけば国認定の賢者になっていたってわけだ。
(俺も、立派になったもんだなぁ)
だが俺は、俺。
他所様の賢者様や、物語の賢者のように上品で穏やかってわけじゃない。実際、一人称は変わらず「俺」のまま。楽で良い。だが流石にイメージを崩したくないのか。王様に呼ばれた時も俺は、と話していると、せめて城にいる間だけは賢者らしくとローブを見繕って貰った。俺も一国民だ。王様の頼みは断れない。ローブくらいならと了承し、賢者・レオの誕生ってわけ。
それからは、また普段通り。
今まで好きなことを調べ、城に呼ばれれば賢者らしく振舞う日々が続いていたが、ある日とある依頼が舞い降りた。しかも依頼主は、王様直々ときている。一体なんだ? とローブを身に纏い、王様の元へやってくると依頼の内容に驚いた。
「王様。俺に何のようです? 何か説いて欲しい謎解きでも?」
「いや、今回は違う。わしではなくてだな、アランについてなんじゃ」
「アラン様?」
その名前を知らぬ者は、この国にはいないだろう。
年若くして、騎士団長に任命され。見目麗しく、文武両道という言葉が似あう人。
「へぇ……?」
王様に見えないところで、ニヤリと口角が上がるのが分かった。
「騎士団長・アラン様ですか?」
「そうじゃ。どうやら、最近悩み事があるようでな。噂が、わしの耳にまで入ったくらいじゃ。きっと人には言えない何かを抱えているに違いない。アランほどの立場であれば、相談相手も限られておる。そこで、お主に白羽の矢を立てたのじゃ」
「それは光栄です」
「時期にアランがやって来る。騎士団長を務めておるが、あやつはお主よりも繊細な男じゃからな。くれぐれも気を付けるんじゃぞ」
「分かりましたよ」
もし俺に驚いて距離を取ったとしても、きっとアラン様のことだ。王様直々になんて聞いたら、断ることは無いだろう。そんなことは口には出さず、珍しくキリッと姿勢を正す。
(アラン様の相談相手とは……)
直接話したことは、数少ない。行儀事の時なんかに、世間話程度。忙しいアラン様だ。きっと俺と話しことは覚えていないだろう。だが俺は違う。はっきりと覚えている。どうしてか? そんなの野暮ってもん。
(好きな人と話す機会だ。嬉しいに決まってる)
数回話しただけ。その姿を見てきただけなのに、気づけば目で追っていた。立場も何もかも違うけれど、どうにかして近づけないか? と回転の速い頭で考えたこともある。
(それが、こんな形で願うだなんて)
また口角が上がりそうになった時、コツコツと足音が聞こえ。俺は今までで一番賢者らしく振舞おうと躍起になった。
(そんなこと、アラン様は何も知らないんだろうけど)
誰も知らない。俺の腹の内。
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