上 下
2 / 175

2】紹介されたその人は

しおりを挟む
2】紹介されたその人は

 「…………」

朝。瞼に光を感じて目が覚めた。ゆっくりとベッドから身体を起こせば、私はまた頭を抱えた。

(まただ)

中途半場に燻ぶった熱が、身体に残っている。風邪のような火照りに、ずっしりと重たさの残る下半身の中心。ペニスの下にぶら下がる二つの睾丸の存在を、朝からしっかりと感じる。誰かに対して性的に興奮するわけではない。だが、こう……表現しがたい何かが確かに私の中に残り、憂鬱な朝だった。

「昨日少し出したというのに……」

昨日、確かに勃起する自身のペニスから、先走りのように漏れた白濁を見た。その甲斐あってか、ペニスの重さは幾分減った気がするのが、せめてもの救いだ。だが、それでも僅かなもの。尿とは違う重さが、まだ残っている。

「一度くらい、スッキリと達してみたいものだが……はぁ……」

何も良い方法が思いつかない。
そんなことを小さく呟いて溜息をついても、今日も一日が始まるわけで。
まずは身支度を整えようとベッドから出て、私は騎士団長・アランとして恥ずかしくないようにしなくてはと思っていたのだが、悲しい事に今日はそれも上手くいかなった。



 「アラン様、体調が悪いんですか?


この様だ。
今日は時間が出来たので、騎士団の訓練場に顔を出せば一人の団員が私の元へやって来て言った。他の団員もそうだ。嬉しそうにアラン様と私の名前を呼びながら、顔を覗かれる。そして同じような言葉を口にした。

「本当だ。何だかアラン様、顔色が優れませんよ?」

「心配してくれて、有難う。体調が悪いわけでは無いんだが……」

「じゃあ、何か悩み事でも?」

心配してくれるのは有難いが、自身の体調管理が出来てない不甲斐なさが情けない。体調管理といっても、ただの自身の性事情。
聞こえた悩み事という言葉に、思わずピクリと眉が動いてしまった。小さな変化にも注意しておくようにと、訓練時に教えた成果がこういう時に出てしまったらしい。今じゃないと思うが、時すでに遅し。


【アラン様に、何か悩みがあるらしい】

そんな噂が、静かに城の中に流れ。
どこかで噂は消えるだろうと、知らぬ存ぜぬの態度で過ごしていたが、噂はよりにもよって王様の耳に入ってしまった。

結果、どうなったか? 今の状態だ。
王座に呼ばれ、王間に居たのは王様ともう一人。何度か顔を見たことのある人。私より身長が高く、端正な顔立ち。白色の大きな帽子と、白いローブに身を包み、自信に満ちた表情を浮かべる人。

「こんにちは、アラン様。俺の名前はレオ。賢者なんて言われていますが、何。ただの知りたがり屋です。王様の命で、アラン様の悩みを解消しに来ました」

「アランよ。悩み事は一人で抱え込まない方が良い。きっとお主のことだ、人には言えないような悩みをもっていることだろう。だが、誰かに悩みを打ち明け考えていくと解決策があるかもしれん。よって、ここに賢者・レオを呼んだ。口は賢者らしくないが、知識は確かだ。レオに相談すると良い。わし相手でも、決して口外はせん」

「そ……れは……お心遣い感謝致します……」

(どうして、こんなことに!)

心の中で叫びながら、私は王様と賢者・レオ殿の顔を見つめることしか出来なかった。

*********
名前を考えるのが苦手で><
攻めをどっち系にするかで、なかなか進みませんでしたorz
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

処理中です...