【完結・BL】誰かを忘れられない、お父さんと僕【年下×年上】

彩華

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【BL・こぼれ話】デートがしたい!③【完】

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■デートがしたい!③

 大学が休みの日曜。天気は快晴。
今日は、初恋を実らせ恋人同士になったダイスケさんとデートの日。恋人といっても、長い間「お父さん」と呼んでいた相手だ。家族として出かけたことは何度もある。だが、やはりデートとなれば特別。玄関先の景色すら、いつもと違って見える。先程まで、一緒にいたのにダイスケさんが来るまでの思わず携帯の時計を見た。

(ほんの少し離れただけなのに、こんなに待ち遠しいだなんてね)

ダイスケさん、早く来ないかなぁと見慣れた玄関先で思った時だ。
カラカラッ……と玄関を開けると音がする。待ってました! とばかりにニコニコと振り向けば、いつもと違う恰好をしたダイスケさんの姿があった。

「……」

「……」

「……変か?」

僕が黙ったままだったせいか、少し困ったような顔をして呟く。不味い、気を悪くしてデートは中止だとかなったら困る!

(ああ゛~! でもちょっと小首を傾げて聞いて来るダイスケさん可愛いいいいい!!)

「変じゃないよ! ただ、Gパンは珍しいなって思って」

いつも畑仕事などをしているダイスケさんは、動きやすく汚れても良い服装が多い。僕と同じGパンに、体格の良い身体にぴっちりと張り付くようなシャツ姿。

「デートだからな」

「えへへ」

ダイスケさんも、デートだと思ってくれたんだとか。きっと僕と同じで、服装とか何度も考えたりしたのかな? と思うと嬉しくて笑顔になるしかない。僕が笑えば、ダイスケも不安げな表情から、ほっとした表情に変わった。

「じゃあ、これからデートってことで」

「ああ」

ふふっ、ともう一度笑って手を引っ張った。そうすれば、今度はダイスケさんが笑う。

「どうしたの?」

「いや、昔を思い出してな」

一瞬見えた眼差しが、僕を「恋人」として見ているものではなくて。またダイスケさんの眼に、僕が小さな「子供」に見えたんだと思ってムッとした。

(あー……仕方ないとはいえ。今は恋人とはいえ……)

(ちょっとだけ、ムッとしちゃった)

いけない。これから楽しいデートだ! と自分に言い聞かせ、ブンブンと頭を振る。

「さ! ダイスケさん。デートしよ!」

タッ……! と一歩前に駆け出して。
昔は手を引かれていたけれど、今度は僕がエスコートしてあげる。僕の可愛いダイスケさん。大好きなダイスケさん。お尻が弱いダイスケさん。僕に泣かされちゃうダイスケさん。

「あ、おい!」

「さ~て。今日は色々デートプランがあるからね! しっかりついて来てね!」

僕はそう言って、僕の二倍は太いダイスケさんの手を取った。

■デートがしたい!■

************

 こぼれ話はこれで…。最初は、デートしててちょろっとキスとかする予定でしたが気力が続かず。
こぼれ話が浮かんだら変更しますが、一旦再度完結になります。
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