【完結・BL】誰かを忘れられない、お父さんと僕【年下×年上】

彩華

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【BL・こぼれ話】デートがしたい!②

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■デートがしたい!②

 「デートしよ♡ダイスケさん」

「デート……?」

「そ♡」

嬉々として、そんな会話をしたのが数日前。なんとかデートの約束をして迎えた日曜日。起きるのは勿論。同じ家に住んでいるから、朝イチで顏を合わせる。
昔は一緒に寝ていたが、流石に今は別部屋。(ただ、そういうこをする時は、当たり前だけど一緒に寝てるけどね!)

誰に向けての説明かはさておき。
顔を洗い台所へ向かえば、早速ダイスケさんと眼があった。

「おはよう、ダイスケさん」

「ああ、おはよう」

昔は「お父さん」と呼んでいたが、恋人になり呼び方を変えた。たまにうっかり、お父さんと呼んでしまいそうになる時はあるが、今は恋人同士という甘い空気を漂わせるようになったと思う。恋人同士から同棲だなんて、僕ってば想像以上に進みすぎかな? なんて。

「朝飯出来てるぞ」

「わ~い。頂きます!」

行儀よく両手を合わせ。ダイスケさんが作ってくれた朝食に箸を進める。甘めの卵焼きが美味しい。僕の好きな味だ。

「ダイスケさんの作る卵焼き、僕大好き!」

「ハムスターみたいになってるぞ」

ふっ、と笑ったダイスケさんの顔が可愛くて、行儀は悪いがモゴモゴと口に入れたまま「ダイスケさんの方が可愛い!」と言ったが伝わってないだろう。

「食べ終わったら、流しに皿を入れておいて良いからな」

「ダイスケさん?」

「着替えて来る」

「え?」

「そのっ……デートなんだろう?」

僕の方を見なかったが、歯切れの悪い口調と耳が赤いのが見えた。僕とのデートを考えて洋服を選んでくれるのかと思うと、僕の方も嬉しくなる。

「ダイスケさん! 可愛い!!」

二度目はきちんと発せらせ。僕も急いでご飯を食べた。流しに入れて良いと言われたお皿は、ダイスケさんの仕事を増やさないように自分で洗った。

デートといっても、僕たちの待ち合わせは玄関前。
ダイスケさんの部屋の前で、「10分後に玄関で!」というアナログ式で。「分かった」と返事が聞こえ、僕も部屋へ。
ダイスケさんと、デートらしいデートをするぞ! と意気込みながら、今日のために選んだ服の最終チェック。

「子供っぽくないかな?」

とは言っても。お化粧したり、スカートなどを着るわけじゃない。ジーンズに、半袖。腕時計も付けて、荷物は少なめに。お店は駅の方しかないから、そこまで遠出をしない予定。ああ、水分補給も大切だ。冷えたペットボトルは忘れずに。あれ、僕凄く出来た彼氏じゃない?

ふふっ、と浮足立ちながら、冷蔵庫からペットボトルを2本拝借し玄関へと向かった。
ダイスケさんの姿は、まだない。もう少しで来るだろうが、たった数分でも待っているのはワクワクする。ダイスケさん、どんな格好なんだろう? いつもの畑仕事の恰好や、ランニングなんてことは無いだろうけど……。

(ほんの少し離れただけなのに、こんなに待ち遠しいだなんてね)

ダイスケさん、早く来ないかなぁと見慣れた玄関先で思った。

********
凄く!健全!!
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