【完結・BL】誰かを忘れられない、お父さんと僕【年下×年上】

彩華

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【BL・こぼれ話】■大学の友達の年上彼女が気になる①

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■【BL・こぼれ話】大学の友達の年上彼女が気になる①

 俺は、しがない大学生。この春めでたく高校を卒業し、大学生になった。
割と大きな大学で、学部も多く人も多い。大学デビューだ! と意気込んでも、俺はきっとよくあるラノベで言えばモブキャラ。モブ1だとか、モブ2だとか。そんなところ。そんでもって、この大学で友達になったコイツは、きっと主人公キャラ。

「ん? どうしたの?」

「いやぁ~……お前は良いよなって思って……」

「え? 何が?」

コイツ。俺と同じ大学一年生。学部が同じで、同じ授業を受ける教室にいて、声をかけてみたのが始まり。それから仲良くなって、よく昼飯を一緒に食べている。

何が良いのか?
まず第一に顔が良い。クリクリとした目は可愛く、表情がコロコロと変わる様は女子たちに大人気。サークル見学の時などに、気づいたら可愛い女子の先輩たちからも、キャアキャアと声を掛けられていたのは、記憶に新しい。(正直、羨ましかった)
それから、第二にこの性格。穏やかで優しい。そんなの、女子大人気に決まってるだろう?

「お前は顔が良くていいよなぁ~……!」

「そんなことないよ。普通だって」

「俺の2倍は目が大きい」

「やだなぁ……」

こんな世間話をしている最中も、何人か女子が「トウヤ君♡」と声をかけてきて、ニコリと手を振り返していた。すげぇ……! こんなのモテる奴じゃないと出来ねぇ!!
そんなコイツでも、意外だったのは一つある。最近、「初めて」恋人が出来たということ。

「なぁ、聞いても良いか?」

「何を?」

「お前さ。そんなにモテるのに、本当に今まで彼女とかいなかったわけ?」

「うん。告白されたことはあるけど、付き合ったことはないよ」

「は~……、羨ましいぜ。俺も、そんなこと言ってみてぇ」

「だってさ。好きでもない子と付き合っても、楽しくないでしょ?」

「それに失礼だし」と続く言葉に、俺は言い返すことが出来ない。
はい、ごもっとも。その一言に尽きた。

「僕、その人にずっと片思いしてたからね」

「ふーん」

そんでもって、学食を食べている俺の前に広げられているのは、手作り弁当。おかずは煮物なんかが多い。「作ってくれるんだ」と嬉しそうに笑って、またその煮物を口に運んだ。

「愛妻弁当まで作ってくれる彼女かよ……そのおかずのチョイスは、絶対年上!」

「正解」

「年上の彼女とか、羨まし過ぎるだろ~」

羨ましい~! とまた熱弁。
それでも一瞬止まって、キョロキョロと周りを見渡した後。こそっ……と内緒話をするかのように、聞いてみた。

「なぁ、その彼女とエッチとかした?」

俺の直球過ぎる言葉に、箸を咥えたまま固まる。数秒して、ゴクンと煮物を喉に押し込んで、これまた持参したタンブラーのお茶を飲み干し。
俺とは違って、いけしゃあしゃあと言った。

「うん」

(こいつ、やっぱり主人公キャラだろ!)

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