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【BL】俺の本音は
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■俺の本音は■
疲労困憊とばかりに、身体の線がプツリと切れるように。自身の身体の脱力感と、解放感。それからゾクゾクと腰から頭に抜ける電気のような衝撃。身体がショートするように、昨日の夜は気を失った。
『お父さん』
俺を呼ぶ声と、数年前の出来事。父親になった日を、懐かしい夢のように見ながら俺の途切れた意識が浮上し始めた。
「んっ……」
だんだんと意識がぼんやりとしてくる。何となく、遠くで鳥のような小さな鳴き声が聞こえ始める中、まだ夢と現実の境目にいる俺は夢うつつ。
閉じたままの瞼に浮かぶのは、俺を「お父さん」と呼びながら。俺の身体を暴いたのは、初恋の男に顔が似てきた男。今では俺の息子だ。
『お父さん、好きだよ』
キスをして。脚を拡げ。恥ずかしい穴すら見られ。最後には、雄たけびのような声を上げながら、突かれる快楽に善がった自身。
『あはっ♡きったない喘ぎ声だねぇ……』
(あれは……夢……? 俺の願望……?)
重たい瞼のまま、眼は開かず。代わりに何となく息苦しくなり「ふごっ……!」と息が詰まった。その辺から、意識がまた浮上し出す。起きるまでもう少し。
(ああ、やっぱりまだ夢の中にいたのか)
起きなくては。そう思い瞼に力を入れた時だ。
「お父さん」
また、俺を呼ぶ声がした。遠くに聞こえた鳥の声と異なり、段々と声は耳元に近づいてくる。だが俺は、何となく緊張して身体が動かなかった。その刹那────レロォ……と舌先が俺の耳穴に舌をねじ込まれた。
レロォッ……♡ ぬちっ♡ ぴちゃっ……♡
「ふぉ゛っ……♡ お゛っ……おぉ゛っ♡♡!?」
情けない。ビクビクッ♡と、突然の快楽に身体はのけ反り。昨日、これ以上出ないでくれと願った、濁点混じりの喘ぎ声が口から漏れた。もうこうなれば、寝ているなんて出来ない。
クラクラする。はぁ……♡はぁっ……♡と、起きるなり酸欠になりそうだ。そんな俺のことなど知らぬとばかりに、楽しそうな声がした。
「おはよう、お父さん。良い朝だね」
「……っ!」
夢の中で、断片的だった昨日の出来事を一気に思い出す。やっぱり夢じゃない。
俺は、小さい頃から育ててきたコイツと……────。
「忘れろ」だとか、「俺のせいだ」とか。昨日の一夜は無かったと言うにはどうしたら良い? 寝起きの頭では、いつも以上に頭が回らない。そんな俺を揶揄うように、ニコリと笑って言った。
「何? またキスしてあげようか?」
そんな顔を、俺は知らない。熱の籠った瞳を俺は知らない。
いつも穏やかに笑っていたお前の目に、昨夜と変わらない確かな欲情、独占欲が混じっているのが見えた。
「昨日は……」
誤魔化そうとしたのだろうか。
お俺が折れることなく、口を開けば目立った反抗期も無かったのには怒ったような顔を浮かべて言った。
「悪いけど。僕、無かったことに出来ないから」
アッ────。
少し怒ったように、耳元で囁かれ。俺よりも小柄な身体に、もう一度組敷かれたと思えば、開いた唇が昨夜のように噛みつくようなキスをした。
あむぅっ……ヌチッ♡ぬろろっ……♡ くちゅっ♡ くちゅちゅっ♡
「ふ……、ぅ、あ゛……♡あ゛……っ♡」
舌先が入り込んで来て、弱い上顎裏をなぞる。ビクビクとまた身体が震えた。
俺が抵抗すれば、目の前の身体を押し返すことは出来るはずなのに。それを分かっているくせに、俺は気づけば「もっと」と強請るように相手の首に腕を回していた。
「……っ、は……♡」
ドキドキする。酸欠で苦しいのか、それとも喜んでいるのか。
絡めていた舌先が俺の口内から出て行って、寂しいと思いながら相手を見つめれば、先ほどまでと違い少し困ったような顔をしていた。
「本当にズルイ。そんな顔で、僕を見るのに」
「……」
「僕は、誰かの代わりは嫌だよ」
その問いに答える前に、もう一度唇を塞がれていた。
(そうだよな。お前は俺に好きだと言ったのに)
(お前はもう、子供じゃないのに)
アイツに面影を重ねていたのは、多分最初だけで。結婚し、幸せなアイツを見ているうちに、初恋はもう薄れていたんだ。
だってさ、俺が自慰する時。最後はお前を思い浮かべていたし。でも現実、お前の未来とかも考えると、こんな俺を思ってくれなんて言えないだろう?
『僕のこと、好きになってよ』
あの言葉、嬉しかったんだ。
「…………俺は、お前に抱かれたい」
好きだとか、そんな言葉よりも出たのは「抱かれたい」だった。
■俺の本音は■
(お前と一つになりたいって、思ってるんだ)
疲労困憊とばかりに、身体の線がプツリと切れるように。自身の身体の脱力感と、解放感。それからゾクゾクと腰から頭に抜ける電気のような衝撃。身体がショートするように、昨日の夜は気を失った。
『お父さん』
俺を呼ぶ声と、数年前の出来事。父親になった日を、懐かしい夢のように見ながら俺の途切れた意識が浮上し始めた。
「んっ……」
だんだんと意識がぼんやりとしてくる。何となく、遠くで鳥のような小さな鳴き声が聞こえ始める中、まだ夢と現実の境目にいる俺は夢うつつ。
閉じたままの瞼に浮かぶのは、俺を「お父さん」と呼びながら。俺の身体を暴いたのは、初恋の男に顔が似てきた男。今では俺の息子だ。
『お父さん、好きだよ』
キスをして。脚を拡げ。恥ずかしい穴すら見られ。最後には、雄たけびのような声を上げながら、突かれる快楽に善がった自身。
『あはっ♡きったない喘ぎ声だねぇ……』
(あれは……夢……? 俺の願望……?)
重たい瞼のまま、眼は開かず。代わりに何となく息苦しくなり「ふごっ……!」と息が詰まった。その辺から、意識がまた浮上し出す。起きるまでもう少し。
(ああ、やっぱりまだ夢の中にいたのか)
起きなくては。そう思い瞼に力を入れた時だ。
「お父さん」
また、俺を呼ぶ声がした。遠くに聞こえた鳥の声と異なり、段々と声は耳元に近づいてくる。だが俺は、何となく緊張して身体が動かなかった。その刹那────レロォ……と舌先が俺の耳穴に舌をねじ込まれた。
レロォッ……♡ ぬちっ♡ ぴちゃっ……♡
「ふぉ゛っ……♡ お゛っ……おぉ゛っ♡♡!?」
情けない。ビクビクッ♡と、突然の快楽に身体はのけ反り。昨日、これ以上出ないでくれと願った、濁点混じりの喘ぎ声が口から漏れた。もうこうなれば、寝ているなんて出来ない。
クラクラする。はぁ……♡はぁっ……♡と、起きるなり酸欠になりそうだ。そんな俺のことなど知らぬとばかりに、楽しそうな声がした。
「おはよう、お父さん。良い朝だね」
「……っ!」
夢の中で、断片的だった昨日の出来事を一気に思い出す。やっぱり夢じゃない。
俺は、小さい頃から育ててきたコイツと……────。
「忘れろ」だとか、「俺のせいだ」とか。昨日の一夜は無かったと言うにはどうしたら良い? 寝起きの頭では、いつも以上に頭が回らない。そんな俺を揶揄うように、ニコリと笑って言った。
「何? またキスしてあげようか?」
そんな顔を、俺は知らない。熱の籠った瞳を俺は知らない。
いつも穏やかに笑っていたお前の目に、昨夜と変わらない確かな欲情、独占欲が混じっているのが見えた。
「昨日は……」
誤魔化そうとしたのだろうか。
お俺が折れることなく、口を開けば目立った反抗期も無かったのには怒ったような顔を浮かべて言った。
「悪いけど。僕、無かったことに出来ないから」
アッ────。
少し怒ったように、耳元で囁かれ。俺よりも小柄な身体に、もう一度組敷かれたと思えば、開いた唇が昨夜のように噛みつくようなキスをした。
あむぅっ……ヌチッ♡ぬろろっ……♡ くちゅっ♡ くちゅちゅっ♡
「ふ……、ぅ、あ゛……♡あ゛……っ♡」
舌先が入り込んで来て、弱い上顎裏をなぞる。ビクビクとまた身体が震えた。
俺が抵抗すれば、目の前の身体を押し返すことは出来るはずなのに。それを分かっているくせに、俺は気づけば「もっと」と強請るように相手の首に腕を回していた。
「……っ、は……♡」
ドキドキする。酸欠で苦しいのか、それとも喜んでいるのか。
絡めていた舌先が俺の口内から出て行って、寂しいと思いながら相手を見つめれば、先ほどまでと違い少し困ったような顔をしていた。
「本当にズルイ。そんな顔で、僕を見るのに」
「……」
「僕は、誰かの代わりは嫌だよ」
その問いに答える前に、もう一度唇を塞がれていた。
(そうだよな。お前は俺に好きだと言ったのに)
(お前はもう、子供じゃないのに)
アイツに面影を重ねていたのは、多分最初だけで。結婚し、幸せなアイツを見ているうちに、初恋はもう薄れていたんだ。
だってさ、俺が自慰する時。最後はお前を思い浮かべていたし。でも現実、お前の未来とかも考えると、こんな俺を思ってくれなんて言えないだろう?
『僕のこと、好きになってよ』
あの言葉、嬉しかったんだ。
「…………俺は、お前に抱かれたい」
好きだとか、そんな言葉よりも出たのは「抱かれたい」だった。
■俺の本音は■
(お前と一つになりたいって、思ってるんだ)
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