【完結・BL】偽装カップルですが、カップルチャンネルやっています【幼馴染×幼馴染】

彩華

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60】起きてからも夢みたいだった

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60】起きてからも夢みたいだった

 穏やかな表情で、しかも綺麗な顔で。昔から顔が良く、俺が好きな顔。顏だけが好きというわけじゃないけど、やっぱり顔は問答無用で昔から良かった。昔の北斗が俺と二人だけになったカーテンの中で笑って言った。

『圭、そんなに俺のこと好きなの?』

ドキドキドキ。前々から何となく北斗に対して特別な感情を抱いていたが、ストンとこの感情の名前に気づいたのはこの時だったかもしれない。

(うん。俺、未だに北斗に片思いするくらい北斗のことが好きだよ)

友達としての好きじゃ足りない。もっと特別な親友の特別とは違う好き。今となっては、抱いて欲しいくらい特別な好き。



 「圭、圭? 寝てるの?」

「んんっ……?」

コンコンと聞こえるノック音に、俺の意識は更に浮上した。どうやら寝落ちしていたらしい。不味い。起きたら蛍に告白されたことも思い出してしまった。同時に思い出してしまったのは、キスの感触。

(俺、蛍とキスしたんだった)

ヤバイ。俺と北斗は別に付き合っているわけじゃないけど、何だろう。何となく俺の方が後ろめたい気持ちがあって、北斗の顔が見れない。

「寝てた! 今起きたから大丈夫! 北斗大丈夫だから!」

入って来なくて大丈夫だと寝起きに声を出したが、無情にもドアノブが動くのが見えてしまった。こうなれば、普段通りに振舞うしかない。

「圭? 寝てたって具合悪い?」

「嫌、全然元気だよ。ただ急いで帰って来たから疲れて寝落ちしたみたいだ」

ははっと笑ってみたが、この前のように誤魔化せているだろうか?

「本当?」

俺のことになると、どういうわけか母親のように心配してくる北斗。出て行くかと思ったが、逆に俺のベッドの傍へと近づいてきた。そのまま俺の顔に北斗の手が触れる。体温が上がりつつ北斗の顔が近づいて頬にキスしそうな素振りに気づいて、思わず身体を反らしてしまった。

(しまった……!)

「あ、そのっ……北斗」

「圭、何かあったでしょ?」

「……実は……」

きっと隠したところで、俺は上手くかわすことは出来ないし北斗だって諦めない。なら、素直に何があったか教えた方が、すぐに済むと思った。

「俺、告白されたんだ」

「…………え?」

北斗だって沢山告白されているだろうけど、と付け加えたが北斗の耳に入っていなかったかもしれない。変なメッセージを貰った時とも違う、驚いた表情の北斗に俺も驚いてしまった。

「そうなんだ。相手に返事をしたの?」

「まだ。でも告白には、ちゃんと返事をしないといけないなって思ってる。いやぁ~でも、びっくりだよな。北斗が告白されるなら分かるけど、まさか俺が告白されるなんてな!」

ちょっと変な空気になりかけたのを、笑って変えてみようとしてみたが効果は無い。北斗の表情は変わらないし、ピリリとしている。ふぅ……と俺の方も呼吸を整えて、思っていることを北斗に言ってみた。

「なぁ、北斗。北斗もさ、もし好きな人がいるんだったら俺とかチャンネルのこととか考えなくて良いからな? 北斗の気持ちを優先してくれな?」

北斗のことは好きだけど、重荷にはなりたくないし。それは本当。北斗が今の配信に誘ってくれたのが嬉しくて、甘えてしまっていたんだ。これが良い機会かもしれない。北斗が「そうする」といえば、チャンネルを閉じて以前の関係に戻ればよい。なんなら北斗が恋人を作ったら、俺は勝手に失恋して拗らせていた片思いに踏ん切りがつけるだろう。

「……」

駄目だな。また俺の願望ばかりだと反省したが、北斗は何も言わず。

「北斗?」

「……やだ。嫌だ……。俺だって圭のことが好きなのに……!」

「……え……?」

今度は俺の方が驚いた声を漏らし。肩に痛みを感じた時には、北斗にベッドの上に押し倒されていた。

******
更新しました。お気に入りほか有難うございます(^^)
最初は途中女の子と買い物してる北斗を見た圭のモヤモヤとか入るかなと思っていましたが、簡潔にハンドルをギュオンと回してみたので、もう少しお付き合い頂けますと幸いです
次はどんなのをしようか未定なのですが、健全BLでいくかR入れた方が良いのかとか。現在伸び悩みだったので、別時間枠でするのが見て貰えるのかとか分からない事だらけですorz
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