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59】帰って考えていたら、寝落ちしていた
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59】帰って考えていたら、寝落ちしていた
(え? え? あれ? 俺告白されたのか?)
早歩きで道中歩いて、息が上がり始めるのも気にせず。ただ一人になれるように、早く帰ろうとい気持ちだけで蛍の家を出て、家へと戻った。時間がどのくらい経ったかも気づかないまま、視界に見える景色が見覚えのある様子に家の近くだと気づく。
まさか、俺が誰かに好かれるなんて。正直、そんなことを考えたことが無かった。だって、今まで誰かに渡してはあったけれど、俺に向かって好きなんて言われたことは。まして、自身だって幼馴染に片思いしているくせに、同じ立場の人が俺に同じような気持ちを向けているなんて思ってもみなかったんだ。
(蛍が、俺のことを好き────!?)
今まで恋愛相談に乗って貰っていた相手に、誰よりも先に告白されて。ファーストキスを奪われるなんて。
マンションの共同玄関抜けて、さらに急いで部屋まで速度を上げた。リュックから鍵を取り出してみるが、急いでいる時ほどうまくいかない。ガチャガチャと鍵穴に差し込むのがズレて、三度目の正直で鍵穴に入った。そのまま鍵を開けて、部屋の中へ。どうやら北斗は出ているらしい。今は有難いと思いながら、急いで手洗いうがいを済ませ自身の部屋へ。リュックをドアの近くに投げて、俺の身体はベッドへとダイブした。
「はぁっ……! はぁっ……!」
ドキドキドキドキ。
急いで帰って来てから心臓が早いのか。それとも、蛍のことを思い出して胸が速いのか。多分、どっちもだ。
(蛍……)
『俺は圭が好きだよ』
蛍のことは嫌いじゃない。北斗と同じくらい大事な友達で、幼馴染だ。冷静に考えば、踏ん切りのつかない気持ちを諦めて、蛍の気持ちに向き合った方が、虫が良すぎると思うが、きっと俺だって気持ちが楽になって幸せになれたりするんじゃないかなって思う部分もある。俺と違って、北斗は俺がいなくても大丈夫だろうし。だけど。だけどだ。
(蛍の気持ちは嬉しいけど、蛍の特別な好きを俺は受け入れることは出来ない)
蛍が俺に向けてくれている気持ちと同じものを、俺はやっぱり北斗の方に向けてしまうから。
「あー…………どうしたら良いんだよ」
眼を閉じながら呟けば、現実逃避をするように俺の意識はプツリと途切れていた。いわゆる寝落ちってやつ。
『北斗』
(あ、昔の北斗だ)
俺の夢に現れたのは、久しぶりに会って配信者の提案をした時でもない。幼さを残しつつ、懐かしい学生服姿の北斗だった。白いカッターシャツに黒地のズボン。俺より色の白い北斗が、窓辺で俺を見てニコリと笑って。その表情が凄く綺麗でドキドキとして。
『どうしたの、圭?』
『あ、いや。その……何でもない』
『なんでもないのに俺の名前を呼んだの?』
『うん、何だか呼んでみたくて』
ドキドキドキ。
何だか俺変だぞ? と思った時には、いつものように北斗と話せなくて顔が熱く感じた。そんな俺を見て北斗が笑って。傍にある白いカーテンをバサリと広げて、俺と北斗だけをカーテンに隠した。それから二人、内緒話をするように北斗が言った。
『圭、そんなに俺のこと好きなの?』
(うん。俺、未だに北斗に片思いするくらい北斗のことが好きだよ)
*****
更新しました。お気に入りほか有難うございます!
いつもイイネ下さる方も有難うございます(^^)
(え? え? あれ? 俺告白されたのか?)
早歩きで道中歩いて、息が上がり始めるのも気にせず。ただ一人になれるように、早く帰ろうとい気持ちだけで蛍の家を出て、家へと戻った。時間がどのくらい経ったかも気づかないまま、視界に見える景色が見覚えのある様子に家の近くだと気づく。
まさか、俺が誰かに好かれるなんて。正直、そんなことを考えたことが無かった。だって、今まで誰かに渡してはあったけれど、俺に向かって好きなんて言われたことは。まして、自身だって幼馴染に片思いしているくせに、同じ立場の人が俺に同じような気持ちを向けているなんて思ってもみなかったんだ。
(蛍が、俺のことを好き────!?)
今まで恋愛相談に乗って貰っていた相手に、誰よりも先に告白されて。ファーストキスを奪われるなんて。
マンションの共同玄関抜けて、さらに急いで部屋まで速度を上げた。リュックから鍵を取り出してみるが、急いでいる時ほどうまくいかない。ガチャガチャと鍵穴に差し込むのがズレて、三度目の正直で鍵穴に入った。そのまま鍵を開けて、部屋の中へ。どうやら北斗は出ているらしい。今は有難いと思いながら、急いで手洗いうがいを済ませ自身の部屋へ。リュックをドアの近くに投げて、俺の身体はベッドへとダイブした。
「はぁっ……! はぁっ……!」
ドキドキドキドキ。
急いで帰って来てから心臓が早いのか。それとも、蛍のことを思い出して胸が速いのか。多分、どっちもだ。
(蛍……)
『俺は圭が好きだよ』
蛍のことは嫌いじゃない。北斗と同じくらい大事な友達で、幼馴染だ。冷静に考えば、踏ん切りのつかない気持ちを諦めて、蛍の気持ちに向き合った方が、虫が良すぎると思うが、きっと俺だって気持ちが楽になって幸せになれたりするんじゃないかなって思う部分もある。俺と違って、北斗は俺がいなくても大丈夫だろうし。だけど。だけどだ。
(蛍の気持ちは嬉しいけど、蛍の特別な好きを俺は受け入れることは出来ない)
蛍が俺に向けてくれている気持ちと同じものを、俺はやっぱり北斗の方に向けてしまうから。
「あー…………どうしたら良いんだよ」
眼を閉じながら呟けば、現実逃避をするように俺の意識はプツリと途切れていた。いわゆる寝落ちってやつ。
『北斗』
(あ、昔の北斗だ)
俺の夢に現れたのは、久しぶりに会って配信者の提案をした時でもない。幼さを残しつつ、懐かしい学生服姿の北斗だった。白いカッターシャツに黒地のズボン。俺より色の白い北斗が、窓辺で俺を見てニコリと笑って。その表情が凄く綺麗でドキドキとして。
『どうしたの、圭?』
『あ、いや。その……何でもない』
『なんでもないのに俺の名前を呼んだの?』
『うん、何だか呼んでみたくて』
ドキドキドキ。
何だか俺変だぞ? と思った時には、いつものように北斗と話せなくて顔が熱く感じた。そんな俺を見て北斗が笑って。傍にある白いカーテンをバサリと広げて、俺と北斗だけをカーテンに隠した。それから二人、内緒話をするように北斗が言った。
『圭、そんなに俺のこと好きなの?』
(うん。俺、未だに北斗に片思いするくらい北斗のことが好きだよ)
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