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58】ちょっとまた相談しに行った。②
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58】ちょっとまた相談しに行った。②
久しぶりに家に遊びに来て、気兼ねなくお菓子なんかを食べながら漫画も読む。こういうのが気楽で最高! と思いつつも、ちょっと相談したいこともあるわけで。蛍に相談したいことは、いつだって恋愛相談だ。北斗のことが好きだが、どうすることも出来ない話を蛍はずっと聞いてくれる。今だってそう。俺が何か言いたげな表情をしていることに気付いたのか、読んでいた漫画を閉じて俺の方を向いてくれる。
「で? 今回は何だよ?」
と話を聞いてくれようとする蛍に、俺はこの前北斗に「好きだ」と口を滑らせてしまったと耳打ちした。
「実は……一回だけ好きって口を滑らせたんだ」
「それで? うっかり口を滑らせたにしても、圭にしてみたら告白できたなら良かったじゃん。北斗は何て? 付き合うことになったのか?」
「いや、誤魔化せたと思うんだけど……」
「じゃあ、その好きもチャンネルの動画みたいなノリで言ったやつじゃないのか?」
「あー……それはないかも。結構マジなトーンで言っちゃったから」
「分かった。やらしいことしてる時に言ったんだろ?」
「蛍!」
「顔が真っ赤だぞ」
「ううー……っ。ていうか、何でか北斗ってば俺が蛍と一緒だったことに気づいたら機嫌が悪くなったから、北斗は蛍のこと好きかも」
「いや、それはない」
「北斗も同じように答えたんだけど、何で?」
図星を突かれたが、まさかナカ出しして貰えなくて物足りなさから「好き」と口を滑らせたと言えるわけない。だが、蛍にはお見通しらしい。おまけに、一緒に気になった北斗は本当は蛍のことが好きかも疑惑を言ってみれば、蛍と同じように即答で否定された。こういう時だけ、北斗と蛍てって似てるんだよな。両想いだったら困るけど、本当に違うのかな?
「それは……。流石に自分で考えろよ」
「そうだけど! でも俺からしたら、二人とも大事な幼馴染だし」
「圭も圭だ。結局誤魔化して、無かったことしてる。それから北斗も。あー……俺も人のこといえないけど」
その言葉に、意外なほどに俺もピンときた。
「もしかして、蛍も実は好きな人がいるのか!?」
今まで俺ばかり恋愛相談して悪かったなと思う。ていうか、蛍全然俺にそういう話しないし。もしかして、もう恋人がいたりするのか? 色んな考えが一気に頭を巡ったが、溜息をついた蛍にデコピンを食らった。
「なんで今ピンときてるんだよ」
軽い力でデコピンしたあと、蛍の眼が一瞬。俺を見下ろした時の雄を感じる眼差しに変わった。スポーツをしている時、勝利を目指す時の感じに似ていたが、少し違う。
「蛍?」
「俺の好きな奴、教えてやろうか?」
「え、良いの?」
「良いよ。俺も人のこと言えないくらい片思いしてるからな」
「俺で良かったら相談に乗るから」
「ははっ。そうだな。でも相手は俺の気持ちに気づいてないし、何ならずっと別の奴に片思いしてるから」
「可愛い子なのか?」
「俺にとってはな」
「蛍だってイケメンだし、性格も良いし。絶対……とか責任がないことは言えないけど、好きだって言ってみたら?」
「圭は言えないのに?」
「俺はだって、ほら。北斗だから」
「あー……そうだな」
不意に、蛍の指が俺の唇をなぞった。それから────。
ちゅっ。
初めての唇への感触。
「俺は圭が好きだよ」
「……え?」
まさか俺が蛍の好きな人だなんて、思ってもみなかったんだ。
「ごめん、いきなりこんなことして」
「あ、いや。うん。ビックリしたっていうか……うん」
「圭?」
「ごちそうさま。俺、帰るな?」
「圭……」
その後どうやって家に帰ったのか。無我夢中で家に帰ったことしか分からなかった。
******
更新しました。お気に入りほか有難うございます(^^)
久しぶりに家に遊びに来て、気兼ねなくお菓子なんかを食べながら漫画も読む。こういうのが気楽で最高! と思いつつも、ちょっと相談したいこともあるわけで。蛍に相談したいことは、いつだって恋愛相談だ。北斗のことが好きだが、どうすることも出来ない話を蛍はずっと聞いてくれる。今だってそう。俺が何か言いたげな表情をしていることに気付いたのか、読んでいた漫画を閉じて俺の方を向いてくれる。
「で? 今回は何だよ?」
と話を聞いてくれようとする蛍に、俺はこの前北斗に「好きだ」と口を滑らせてしまったと耳打ちした。
「実は……一回だけ好きって口を滑らせたんだ」
「それで? うっかり口を滑らせたにしても、圭にしてみたら告白できたなら良かったじゃん。北斗は何て? 付き合うことになったのか?」
「いや、誤魔化せたと思うんだけど……」
「じゃあ、その好きもチャンネルの動画みたいなノリで言ったやつじゃないのか?」
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「それは……。流石に自分で考えろよ」
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「圭も圭だ。結局誤魔化して、無かったことしてる。それから北斗も。あー……俺も人のこといえないけど」
その言葉に、意外なほどに俺もピンときた。
「もしかして、蛍も実は好きな人がいるのか!?」
今まで俺ばかり恋愛相談して悪かったなと思う。ていうか、蛍全然俺にそういう話しないし。もしかして、もう恋人がいたりするのか? 色んな考えが一気に頭を巡ったが、溜息をついた蛍にデコピンを食らった。
「なんで今ピンときてるんだよ」
軽い力でデコピンしたあと、蛍の眼が一瞬。俺を見下ろした時の雄を感じる眼差しに変わった。スポーツをしている時、勝利を目指す時の感じに似ていたが、少し違う。
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「俺の好きな奴、教えてやろうか?」
「え、良いの?」
「良いよ。俺も人のこと言えないくらい片思いしてるからな」
「俺で良かったら相談に乗るから」
「ははっ。そうだな。でも相手は俺の気持ちに気づいてないし、何ならずっと別の奴に片思いしてるから」
「可愛い子なのか?」
「俺にとってはな」
「蛍だってイケメンだし、性格も良いし。絶対……とか責任がないことは言えないけど、好きだって言ってみたら?」
「圭は言えないのに?」
「俺はだって、ほら。北斗だから」
「あー……そうだな」
不意に、蛍の指が俺の唇をなぞった。それから────。
ちゅっ。
初めての唇への感触。
「俺は圭が好きだよ」
「……え?」
まさか俺が蛍の好きな人だなんて、思ってもみなかったんだ。
「ごめん、いきなりこんなことして」
「あ、いや。うん。ビックリしたっていうか……うん」
「圭?」
「ごちそうさま。俺、帰るな?」
「圭……」
その後どうやって家に帰ったのか。無我夢中で家に帰ったことしか分からなかった。
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