【完結・BL】偽装カップルですが、カップルチャンネルやっています【幼馴染×幼馴染】

彩華

文字の大きさ
上 下
57 / 66

57】ちょっとまた相談しに行った。

しおりを挟む
57】ちょっとまた相談しに行った。

 場所はカフェや大学じゃない。久しぶりに人の家に遊びに来ている。お酒は飲まず、テーブルの上にポテトチップスを広げ。これこれ! こういうのが良いんだよ~! とお酒ではなく、来る途中で買ったジュースを飲みながら部屋の主を見た。

「やっぱり、蛍の家は落ち着くなぁ」

「っていっても、俺の実家じゃないけど」

「そうだけど! あ、おばさん元気?」

「元気だよ。この前も米とかカップ麺送って来た」

「愛されてる~!」

「お前な……。ジュースで酔ったみないなテンションになるなよ」

「酔ってないよ。酔ってないけど、こう……ほら。人の目が無いところでゆっくりするの久しぶりだからテンションが上がってんの!」

学校が終わり、プラプラと購買を覗いていると「圭」と声をかけられた。振り返れば、蛍がポテトチップスを買い終わったあとで、もうこのまま帰るという。俺も予定は無いし、見たらポテトチップスを食べたくなってきた。二言目には、「蛍の家行っていい? 俺もポテト食べたい」と言っていて、「お前なぁ……」と呆れながら蛍が一人暮らしのマンションに招待してくれた。

久しぶりに食べるポテトチップスは美味しい。なんなら、蛍が追加でヒットドックやアメリカンドックも買ってくれて、家での北斗の作った手料理と異なり。ジャンク! という味に、美味い! と俺は蛍よりも食べていたと思う。他にも他愛のない話をして、蛍の家にある漫画も読んで。最高~! となって、そりゃあテンションも上がってしまうのもしょうがないだろう。
蛍は自分のベッドの上に座って漫画を読んでいて、俺はちょっと読み終わって休憩中。

「晩御飯、入るかな」

「この前の動画みたけど、北斗が飯作ってんの?」

「俺は良いよっていってるんだけどさ、北斗が譲らないの」

「ふーん」

パラリと蛍が生返事をしながらページを捲った。一段落して、蛍と二人だけ。こうなれば、今まで以上に安心して恋バナ。もとい恋愛相談をしたいんだが、「聞いてくれよ~」と言うのは、少しばかり気が引ける。

(少しは大人しくしておくか)

「……」

「……」

「…………圭。何か話したいことないのか?」

俺の視線に気づいたのか、それとも俺が静かなのが気になったのか。蛍が読んでいた漫画を閉じて、ベッドから降りた。

「続き読まなくて良いのか?」

「漫画はいつでも読めるし。圭は、こういう時じゃないと俺の家にいないからな」

「?」

「まぁ良いや。で? その顔は、また北斗のことだろう?」

「分かる?」

「お前との付き合いどれだけだと思ってるんだよ」

「ほ、蛍~~!」

やっぱり蛍がいてくれて良かった。多分、蛍がいなかったら北斗への恋愛感情の悩みだとか、ただ聞いて欲しい話をどこに吐き出せば良かったか分からない。

「で? 今回は何だよ?」

「ちょっと待って、一回手を洗ってくる」

ポテトチップスを食べた指を、一度流しで洗って戻って来る。意を決して俺は蛍の隣に座り、「実は……」と耳打ちして言った。

「実は……一回だけ好きって口を滑らせたんだ」

「へぇ……」

ピクリと一瞬だけ蛍が動いたが、表情は特に変わらなかった。何かを考えるように少し黙ったあと、「それで? 付き合ってるのか?」と聞いた。

******
更新しました。お気に入りほか有難うございます!いつもイイネくれる方も有難うございます!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話

ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

処理中です...