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38】次の日の朝
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38】次の日の朝
(北斗、怒ってるかなぁ……)
結局、北斗が何に拗ねているのか分からず。更には、そういったことを「したい」と言った北斗を断って部屋へ逃げ込んだ。結構俺の部屋へやって来る北斗がだが、あの日はあのまま。俺の部屋に来ること無く、俺は取り合えず蛍に借りた漫画を読んで見たが、気がそぞろ過ぎてまともに頭に入って来なかった。
それでも朝はやって来るし、俺も大学へ行かなければならない。今日は朝から講義が入っていたら、少し早めに部屋を出た。
(北斗、いるかな?)
どんな顔をして北斗に会えば良いだろう? と思いつつ、リビングへ行くと北斗が居た。それから、俺よりも早く声をかけてくれる。
「おはよう、圭」
「おはよ」
(良かった。今日はいつも通りみたいだ)
特にピリリとした空気も無く、いつも通りの北斗の表情に俺の方も安堵する。俺が来ると、簡単な朝食を北斗が準備してくれた。
「そのっ……昨日はごめんな?」
理由は分からないが、とりあえず俺が悪いのだろう。それなら、謝っておくべきだと「ごめん」と言えば、北斗がカタンと俺の前にパンとサラダの乗ったサラダを置いた後、俺の前の席に座った。
「圭、違うよ。昨日は、俺が悪かったんだよ」
「北斗が?」
「そう。昨日、蛍と会ったって聞いて、ちょっと蛍が羨ましいなって思っただけ」
「?」
(蛍が羨ましい? 俺と北斗は一緒に住んでるし、蛍より一緒にいる時間があるのに??)
(本当は蛍じゃなくて、実は俺に嫉妬してたり??)
「ううん??」
分からないと首を傾げれば、北斗が深く考える前に言った。
「圭は分からなくて良いよ。さ、早く食べて学校行きなよ」
「おう」
美味い朝食を食べ、身支度を整え。教科書の入ったバッグを持って、俺は玄関へ。
「圭、行ってらっしゃい」
「うん。行ってきます。北斗は?」
「俺は今日は講義がないから、次の動画編集しとく」
「無理するなよ……ぉ?」
靴を履き終え、玄関のドアノブに手を掛けた時だった。出かける前に、また頬にちゅっ、と柔らかな感触があった。あれだ。新婚さんみたいなキスだ。ドキッとする俺と違って、北斗の表情は変わらない。キスする前に密着し、首筋に感じた体温。
「圭。早く行かないと遅刻するよ?」
「お……っ゛!あぁ~! もぅ!」
行ってきます! と俺は速足で大学へと向かったのだった。
(俺ばっかり北斗のことが好きで、北斗に振り回されてる!)
畜生! と思いながらも、その後には好きだ! の気持ちがやって来るから恋って大変だ。
*****
更新しました! お気に入り有難うございます(^^)
(北斗、怒ってるかなぁ……)
結局、北斗が何に拗ねているのか分からず。更には、そういったことを「したい」と言った北斗を断って部屋へ逃げ込んだ。結構俺の部屋へやって来る北斗がだが、あの日はあのまま。俺の部屋に来ること無く、俺は取り合えず蛍に借りた漫画を読んで見たが、気がそぞろ過ぎてまともに頭に入って来なかった。
それでも朝はやって来るし、俺も大学へ行かなければならない。今日は朝から講義が入っていたら、少し早めに部屋を出た。
(北斗、いるかな?)
どんな顔をして北斗に会えば良いだろう? と思いつつ、リビングへ行くと北斗が居た。それから、俺よりも早く声をかけてくれる。
「おはよう、圭」
「おはよ」
(良かった。今日はいつも通りみたいだ)
特にピリリとした空気も無く、いつも通りの北斗の表情に俺の方も安堵する。俺が来ると、簡単な朝食を北斗が準備してくれた。
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理由は分からないが、とりあえず俺が悪いのだろう。それなら、謝っておくべきだと「ごめん」と言えば、北斗がカタンと俺の前にパンとサラダの乗ったサラダを置いた後、俺の前の席に座った。
「圭、違うよ。昨日は、俺が悪かったんだよ」
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「?」
(蛍が羨ましい? 俺と北斗は一緒に住んでるし、蛍より一緒にいる時間があるのに??)
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「ううん??」
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「圭は分からなくて良いよ。さ、早く食べて学校行きなよ」
「おう」
美味い朝食を食べ、身支度を整え。教科書の入ったバッグを持って、俺は玄関へ。
「圭、行ってらっしゃい」
「うん。行ってきます。北斗は?」
「俺は今日は講義がないから、次の動画編集しとく」
「無理するなよ……ぉ?」
靴を履き終え、玄関のドアノブに手を掛けた時だった。出かける前に、また頬にちゅっ、と柔らかな感触があった。あれだ。新婚さんみたいなキスだ。ドキッとする俺と違って、北斗の表情は変わらない。キスする前に密着し、首筋に感じた体温。
「圭。早く行かないと遅刻するよ?」
「お……っ゛!あぁ~! もぅ!」
行ってきます! と俺は速足で大学へと向かったのだった。
(俺ばっかり北斗のことが好きで、北斗に振り回されてる!)
畜生! と思いながらも、その後には好きだ! の気持ちがやって来るから恋って大変だ。
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