上 下
29 / 66

29】最近動画をアップしていないので⑥

しおりを挟む
29】最近動画をアップしていないので⑥

 俺が北斗の好きなところを言うという、ちょっとした羞恥プレイを無理やり終わらせることにした。

「次は北斗が何か話してくれよ。皆も北斗の話、聞きたいだろうし」

「そうだなぁ……」

俺がそう言えば、カメラと画面を見ながら北斗がコメントを読んでいく。コメントの中にも、「北斗顔が良い」とあり、だろう! という気持ちと、取られなくないと小さな嫉妬が俺の中に渦巻いていた。

「あ、圭可愛いってコメントがあるよ」

「それよりも、圧倒的に北斗顔が良いだろ」

何で俺宛のコメントを拾っているんだと思ったが、まぁカップルチャンネルとして仲が良いポイントなのかもしれない。恋愛経験の無い俺にとっては、こういった匙加減は分からないけれど。

「ほら、北斗。皆待ってる」

グリグリと肩に頭を置いて、あざとい仕草をすればコメントはまた「ラブラブ」だとか「イチャイチャしてる」と言ったコメントが流れた。

「ああ、そうだ。最初に皆気づいたと思うけれど、圭のコレ。気になるよね?」

「は?」

コレと言われたのは、俺の寝ぐせだ。
寝ていないのにどういうわけか、いかにも寝ぐせというようにハネてしまった髪に北斗が触れた。しかも俺の頭を、肩に引き寄せて。

ドッドッドッドッ。

ドキドキじゃ足りない速度で心臓が跳ねた。

(近いのは前より慣れたけど、何だ? 俺は今何をされてる??)

そうだ、髪だ。髪を弄られてる。

『近い、近い!』
『今度は北斗が自慢してきた(^^)』
『寝ぐせが頭に入らなくなってきた』

俺も頭に入らなくなってきたよと思ったが、落ち着いてカップルらしく。

「コレ! 俺は別に寝ていたわけじゃないですからね」

北斗の引き寄せは気にしてませんよ、慣れてますよみたいに振舞いつつ内心変わらず心臓が煩かった。

「何でだか、勝手にこの辺がハネちゃったいみたいで」

ツンと唇を尖らせてれば、「圭君可愛い」とコメント見えた。

「え! 俺可愛い? 有難うございます」

「でしょう? 圭、可愛いでしょう?」

ニコリと微笑めば、何故だか北斗も自慢げな声を出す。

(北斗が俺の事、可愛いって言ってる……!)

それから、またハネた部分に触れて言った。

「このハネ。可愛かったから、このままで配信しようって言ったの俺なんだ。皆に可愛い圭を自慢したくて。可愛い圭を見れた皆、俺に感謝してよね?」

「は??」

意外な言葉に、また俺は驚いた声を出した。

「ちょっ、何、え……!? どうしたんだよ、北斗!」

『圭君、まじ照れてる!』
『北斗……!』
『きゃあああ!!!』
『顔が真っ赤だよ~!』

今度は隠せないくらいに顔が熱くて、コメントも俺の顔が真っ赤だと書いていた。

「ほら、また俺の圭が可愛い」

ね? とカメラに向かって言う北斗に、俺本当に可愛いと言われてるみたいだと錯覚してしまった。

(今だけは、カップルってことだし。少しぐらい調子に乗ってもいいよな)

*******
更新しました!お気に入り有難うございます(^^)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

処理中です...