11 / 66
11】眠れなかったので⑤
しおりを挟む
11】眠れなかったので⑤
脱衣場で、二人。身体が密着した。北斗の身体は俺の身体を引き寄せて、更には下半身を押し当てた。
ググッ……!
そのまま、また耳元で囁く。
「圭、頼む。気持ち良くするから」
「~~~~~~っ!」
こういう関係は良くないと頭では分かっているのに。それでも気持ちの半分は、北斗が好きな俺はこの囁きに簡単に陥落してしまうのだ。
「圭、駄目……?」
「ぐぅうう゛……」
(そんな声で。そんな言い方で)
俺がお前に弱いと分かっているくせに。それこそ、長い付き合いで北斗は俺がどうすれば断れないかを身をもって知っているんだ。だから今も、この方法がベストだと踏んでいるのだから本当に質が悪い。(ドンピシャで弱いわ!)
「圭……」
ちゅっ、とまた頬にキスをして、最悪なことに囁く耳穴をチロリと舐めた北斗。
「ん゛っ! ぁ、あ゛っ……!♡」
ビクッ! と震えた身体は腰を抜かし。尻もちをつきそうになった身体を、北斗が支えた。
「圭」
「ぁあああ、もう……! 分かった! 分かったから……!」
「していい?」
「俺は明日、昼からだけど。北斗は?」
明日の授業は昼からだ。午前は自由で、寝坊したって大丈夫。北斗のことだから、俺と違って午前からでも寝坊はしないだろうが、一応確認。
「俺も昼から」
「しょうがねぇな。なら北斗」
「うん?」
「絶対気持ち良くしてくれよ?」
なんたって、俺は今イケてないんだからな。
「圭、どこでする? 俺の部屋くる?」
「ああ、うん」
「じゃあ、行こうか」
北斗が俺の返事を聞くと、眠たそうな顔は何処へ。どこか嬉しそうな表情すら浮かべながら、俺の手を引いていくわけで。
(ん? 待てよ?)
流されるまま、一番大事なことに気づいた俺。
(俺、下着履き替えてないよな??)
歩く度に、どこかヌメつく感覚が現実を知らせる。
(不味い……!)
「北斗! 待ってくれ」
「やだ。その言い方だと、圭やめるって言いたそうじゃん」
「やめない! やめないから! 先に部屋行ってろって! すぐ北斗の部屋に行くから!」
引っ張る北斗と反対方向に体重をかける俺。細身だというのに、どこに力があるのか。北斗がそのままグイグイと前に進んで行く。
「北斗、本当に待てってば!」
俺が大きな声を出せば、ピクリと止まる北斗。俺が北斗に弱いように、俺が本当に嫌がることはしない。
「……本当に俺の部屋に来る? 部屋で寝ない?」
ショゲッ……なんて効果音が見えそうなくらい急に落ち込むうえに、いつもリードするような頼もしい瞳が、まるで小さな子供のようになるから、本当に北斗ときたら!!
「あ~~もう! ほら! 部屋、行くんだろ!」
「うん。圭、優しい」
俺が止まっていたのに、ズンズンと北斗を引っ張っていくことになっていたわけで。
この数分後、やってしまったと後悔するのは紛れもない。俺自身だった。
*******
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
脱衣場で、二人。身体が密着した。北斗の身体は俺の身体を引き寄せて、更には下半身を押し当てた。
ググッ……!
そのまま、また耳元で囁く。
「圭、頼む。気持ち良くするから」
「~~~~~~っ!」
こういう関係は良くないと頭では分かっているのに。それでも気持ちの半分は、北斗が好きな俺はこの囁きに簡単に陥落してしまうのだ。
「圭、駄目……?」
「ぐぅうう゛……」
(そんな声で。そんな言い方で)
俺がお前に弱いと分かっているくせに。それこそ、長い付き合いで北斗は俺がどうすれば断れないかを身をもって知っているんだ。だから今も、この方法がベストだと踏んでいるのだから本当に質が悪い。(ドンピシャで弱いわ!)
「圭……」
ちゅっ、とまた頬にキスをして、最悪なことに囁く耳穴をチロリと舐めた北斗。
「ん゛っ! ぁ、あ゛っ……!♡」
ビクッ! と震えた身体は腰を抜かし。尻もちをつきそうになった身体を、北斗が支えた。
「圭」
「ぁあああ、もう……! 分かった! 分かったから……!」
「していい?」
「俺は明日、昼からだけど。北斗は?」
明日の授業は昼からだ。午前は自由で、寝坊したって大丈夫。北斗のことだから、俺と違って午前からでも寝坊はしないだろうが、一応確認。
「俺も昼から」
「しょうがねぇな。なら北斗」
「うん?」
「絶対気持ち良くしてくれよ?」
なんたって、俺は今イケてないんだからな。
「圭、どこでする? 俺の部屋くる?」
「ああ、うん」
「じゃあ、行こうか」
北斗が俺の返事を聞くと、眠たそうな顔は何処へ。どこか嬉しそうな表情すら浮かべながら、俺の手を引いていくわけで。
(ん? 待てよ?)
流されるまま、一番大事なことに気づいた俺。
(俺、下着履き替えてないよな??)
歩く度に、どこかヌメつく感覚が現実を知らせる。
(不味い……!)
「北斗! 待ってくれ」
「やだ。その言い方だと、圭やめるって言いたそうじゃん」
「やめない! やめないから! 先に部屋行ってろって! すぐ北斗の部屋に行くから!」
引っ張る北斗と反対方向に体重をかける俺。細身だというのに、どこに力があるのか。北斗がそのままグイグイと前に進んで行く。
「北斗、本当に待てってば!」
俺が大きな声を出せば、ピクリと止まる北斗。俺が北斗に弱いように、俺が本当に嫌がることはしない。
「……本当に俺の部屋に来る? 部屋で寝ない?」
ショゲッ……なんて効果音が見えそうなくらい急に落ち込むうえに、いつもリードするような頼もしい瞳が、まるで小さな子供のようになるから、本当に北斗ときたら!!
「あ~~もう! ほら! 部屋、行くんだろ!」
「うん。圭、優しい」
俺が止まっていたのに、ズンズンと北斗を引っ張っていくことになっていたわけで。
この数分後、やってしまったと後悔するのは紛れもない。俺自身だった。
*******
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
89
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;

どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話
ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる