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3】自己紹介②
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3】自己紹介②
今の自身の配信者としてのスタイルは、誰に迷惑をかけるわけでもない。食べ物を無駄にするようなことはしないし、視聴率稼ぎに話題になるようなことだってしない。人が嫌がることもしない。そういったことでは、納得している。「一部」を除けば。そう、一部を除けば。
(そうなんだよなぁ。その一部が一番大事なんだろうけど)
一部とは何か?
本当は、俺は北斗と恋人同士ではない。北斗とは、昔からの幼馴染で大学まで同じだ。腐れ縁ともいえるが、幼馴染で友達で。なんなら、親友な関係である。じゃなきゃ、ルームシェアまで出来ない。
そんな北斗と偽装結婚ならぬ、偽装恋人同士まで加わって。俺たちの配信は、偽装カップルチャンネルをしているということだ。随分と大きな一部だと思うが、今のところ視聴者にもバレていない。(バレたら終わりなんだろうけど。)
偽装恋人。偽装カップルなんて言ってはいるが、配信以外で俺たちがやってることは、セックスフレンドみたいなもの。どんなに仲が良くても、身体を繋げてセックスをしても。俺たちはいつまでも延長線で、恋人ではない。割り切った関係。
「どうした? 圭。眠い?」
一人考え事をしていると、北斗が声をかけてきた。
「そりゃあ……。せっかくの休みに、いきなり寝込みを襲われて、寝起きに一発ナカに出されたら眠いどころじゃないよ」
「悪い。圭が可愛かったから、つい」
「ついって……」
つい、で人を襲うなとは言えない俺も悪いとは思うが、それには理由がある。
ベッドの上で、暑いと北斗の身体から離れるが変わらずベッドは狭いまま。俺と違って元気な北斗は、シャワーを浴びると一足早くベッドから出て行った。
「まぁ、カップルチャンネルの練習ってことで」
「なんだよ、それ」
ちゅっ、と頬にキスをするおまけ付きで。
「付き合ってる感じが出なかったら、怪しまれるだろ?」
「あー、はいはい」
早くシャワーに行けとジャレつきながら、ようやくベッドに一人になる。北斗の気配を伺いつつ、シャワーの音が聞こえ始めてようやく気が緩み。
「…………はぁ。何だよ、偽装って」
(出来るなら、本当のカップルに。本当の恋人同士になれたらいいのに)
これだ。これが、俺が北斗を拒めない理由。
俺は、北斗が好き。恋愛的な意味で、北斗のことが好き。
(全っ然……報われる気がしないけど)
惚れた弱みって、結構な弱点だなと身をもって体験している俺だ。
*******
更新しました!お気に入り・イイネ有難うございます(^^)
今の自身の配信者としてのスタイルは、誰に迷惑をかけるわけでもない。食べ物を無駄にするようなことはしないし、視聴率稼ぎに話題になるようなことだってしない。人が嫌がることもしない。そういったことでは、納得している。「一部」を除けば。そう、一部を除けば。
(そうなんだよなぁ。その一部が一番大事なんだろうけど)
一部とは何か?
本当は、俺は北斗と恋人同士ではない。北斗とは、昔からの幼馴染で大学まで同じだ。腐れ縁ともいえるが、幼馴染で友達で。なんなら、親友な関係である。じゃなきゃ、ルームシェアまで出来ない。
そんな北斗と偽装結婚ならぬ、偽装恋人同士まで加わって。俺たちの配信は、偽装カップルチャンネルをしているということだ。随分と大きな一部だと思うが、今のところ視聴者にもバレていない。(バレたら終わりなんだろうけど。)
偽装恋人。偽装カップルなんて言ってはいるが、配信以外で俺たちがやってることは、セックスフレンドみたいなもの。どんなに仲が良くても、身体を繋げてセックスをしても。俺たちはいつまでも延長線で、恋人ではない。割り切った関係。
「どうした? 圭。眠い?」
一人考え事をしていると、北斗が声をかけてきた。
「そりゃあ……。せっかくの休みに、いきなり寝込みを襲われて、寝起きに一発ナカに出されたら眠いどころじゃないよ」
「悪い。圭が可愛かったから、つい」
「ついって……」
つい、で人を襲うなとは言えない俺も悪いとは思うが、それには理由がある。
ベッドの上で、暑いと北斗の身体から離れるが変わらずベッドは狭いまま。俺と違って元気な北斗は、シャワーを浴びると一足早くベッドから出て行った。
「まぁ、カップルチャンネルの練習ってことで」
「なんだよ、それ」
ちゅっ、と頬にキスをするおまけ付きで。
「付き合ってる感じが出なかったら、怪しまれるだろ?」
「あー、はいはい」
早くシャワーに行けとジャレつきながら、ようやくベッドに一人になる。北斗の気配を伺いつつ、シャワーの音が聞こえ始めてようやく気が緩み。
「…………はぁ。何だよ、偽装って」
(出来るなら、本当のカップルに。本当の恋人同士になれたらいいのに)
これだ。これが、俺が北斗を拒めない理由。
俺は、北斗が好き。恋愛的な意味で、北斗のことが好き。
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