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■家に帰って来て
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■家に帰って来て
もしかしたら、ソラに置いて行かれてしまったかもしれない。森で一人残されて、どうしようもないまま街に戻らなければいけないかもしれない。そんな不安が消えたと思っていたのに、どうやら不安は消えていなかったらしい。
「良かった。置いて行かれたと思った」
ポロリとソラの顔を見ながら呟けば、ソラも「僕だって」と言葉を続けた。
「そんな!……僕は、もう高見が戻ってこないんじゃないかって思ったよ」
なんだ。俺たち二人して、同じような不安を抱えて一日過ごしてたのか。
そう思うと、さっきまでの不安は何だっただろうと思ったし、ソラが一層大事に思えた。
「ソラ。もう俺はソラの側から離れられないよ」
「僕もだよ」
(俺は、恋愛的な意味での「好き」なんだけど)
もしソラが家族愛だとか、庇護の対象としての好きだったら失恋してしまうから、ソラは? とは聞けなかった。
(フラれたくないしな)
それに、種族が違って同性同士。きっとそういう目で相手を見ているのは、俺だけだ。
(恋愛って、こんなに憶病になるのか?)
正直、恋愛らしい恋愛をしてこなかったせいか勝手が分からなかった。ただ好きの感情一つで嬉しくなったり、悲しくなったり。今日だって、ソラの悪口を言われ嫌な気分になった。
「高見?」
「悪いソラ。肩に乗せてくれるか?」
「勿論」
手の平からソラの肩へ。首筋に寄りかかり、トクトクと脈打つソラの血脈が鼓動のように感じた。
「高見? どうしたの?」
甘えてるんだと言えず。
「疲れたから、ちょっと休みたくて」
「そっか。お疲れ様」
「ソラも一人で寂しかったか?」
「うん」
「悪い。ソラにお土産はないけど、土産話はあるから許してくれるか?」
「良いよ。人間のサイズじゃ僕に合わないからね。高見の話、楽しみにしてるよ」
「ああ」
まだ日が出ているが、色が夕焼けに分かろうとしだす頃。
ポツポツと話をしながら、来た道を辿り。俺たちはソラの家へと戻って行った。
暫く歩けば、今では我が家となっているソラの家へ着き。早めの夕食と風呂に入った。色々あった一日だったと思いながら、疲労が身体を襲い始める。うつらうつらと視界が自身の瞼で真っ暗になりそうなのを、まだ! と気を張って耐える。
「高見、もう寝たら? 疲れてるんでしょう?」
「んー……ソラ」
「なんだい?」
「……今日、何だかソラと一緒に寝たい」
「え!? 潰れちゃうよ!!!??」
俺の言葉に驚いたように、穏やかった口調の中大きな声が出た。耳がジィン! として、眠たかった意識が少し覚醒。(ソラって、こんな風に驚いたりするんだな)
出会った時の驚きと違う、こう……ツッコミみたいな驚き。新たな一面にちょっと笑いそうになった。
「いや、そういう意味じゃなくて。いつもの家の中じゃなくて、ソラの近くで俺も寝たいって意味だったんだけど」
「ああ……! そういうこと……」
「ふはっ! ソラもそういう風に驚いたりするんだな」
「だってビックリしたから……」
「……」
(一緒に寝るって違う意味だったら、どうしたんだろう)
不意に、俺も子供ではないので「そういった」ことを考えてしまったが口には出さす。
「なぁ、駄目か?」
「駄目じゃないよ。嬉しい。なら、僕が寝てるベッドの側に、高見のベッドを置いて寝る?」
「そうする!」
ちょっとした引っ越し気分で、俺はソラがベッドを持って行くのを見つめた。
*******
あと数話で終わるかもしれません
もしかしたら、ソラに置いて行かれてしまったかもしれない。森で一人残されて、どうしようもないまま街に戻らなければいけないかもしれない。そんな不安が消えたと思っていたのに、どうやら不安は消えていなかったらしい。
「良かった。置いて行かれたと思った」
ポロリとソラの顔を見ながら呟けば、ソラも「僕だって」と言葉を続けた。
「そんな!……僕は、もう高見が戻ってこないんじゃないかって思ったよ」
なんだ。俺たち二人して、同じような不安を抱えて一日過ごしてたのか。
そう思うと、さっきまでの不安は何だっただろうと思ったし、ソラが一層大事に思えた。
「ソラ。もう俺はソラの側から離れられないよ」
「僕もだよ」
(俺は、恋愛的な意味での「好き」なんだけど)
もしソラが家族愛だとか、庇護の対象としての好きだったら失恋してしまうから、ソラは? とは聞けなかった。
(フラれたくないしな)
それに、種族が違って同性同士。きっとそういう目で相手を見ているのは、俺だけだ。
(恋愛って、こんなに憶病になるのか?)
正直、恋愛らしい恋愛をしてこなかったせいか勝手が分からなかった。ただ好きの感情一つで嬉しくなったり、悲しくなったり。今日だって、ソラの悪口を言われ嫌な気分になった。
「高見?」
「悪いソラ。肩に乗せてくれるか?」
「勿論」
手の平からソラの肩へ。首筋に寄りかかり、トクトクと脈打つソラの血脈が鼓動のように感じた。
「高見? どうしたの?」
甘えてるんだと言えず。
「疲れたから、ちょっと休みたくて」
「そっか。お疲れ様」
「ソラも一人で寂しかったか?」
「うん」
「悪い。ソラにお土産はないけど、土産話はあるから許してくれるか?」
「良いよ。人間のサイズじゃ僕に合わないからね。高見の話、楽しみにしてるよ」
「ああ」
まだ日が出ているが、色が夕焼けに分かろうとしだす頃。
ポツポツと話をしながら、来た道を辿り。俺たちはソラの家へと戻って行った。
暫く歩けば、今では我が家となっているソラの家へ着き。早めの夕食と風呂に入った。色々あった一日だったと思いながら、疲労が身体を襲い始める。うつらうつらと視界が自身の瞼で真っ暗になりそうなのを、まだ! と気を張って耐える。
「高見、もう寝たら? 疲れてるんでしょう?」
「んー……ソラ」
「なんだい?」
「……今日、何だかソラと一緒に寝たい」
「え!? 潰れちゃうよ!!!??」
俺の言葉に驚いたように、穏やかった口調の中大きな声が出た。耳がジィン! として、眠たかった意識が少し覚醒。(ソラって、こんな風に驚いたりするんだな)
出会った時の驚きと違う、こう……ツッコミみたいな驚き。新たな一面にちょっと笑いそうになった。
「いや、そういう意味じゃなくて。いつもの家の中じゃなくて、ソラの近くで俺も寝たいって意味だったんだけど」
「ああ……! そういうこと……」
「ふはっ! ソラもそういう風に驚いたりするんだな」
「だってビックリしたから……」
「……」
(一緒に寝るって違う意味だったら、どうしたんだろう)
不意に、俺も子供ではないので「そういった」ことを考えてしまったが口には出さす。
「なぁ、駄目か?」
「駄目じゃないよ。嬉しい。なら、僕が寝てるベッドの側に、高見のベッドを置いて寝る?」
「そうする!」
ちょっとした引っ越し気分で、俺はソラがベッドを持って行くのを見つめた。
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