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■人間の街にやって来た④
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■人間の街にやって来た④
(ソラ、今頃何してるんだろう?)
俺を一人で待っているだろうか? それとも、一度家に戻っているんだろうか。
ぼんやりと考えたまま、背後から聞こえるおじさんの声に適当に返事していた。
「お客さん?」
「あ、はい!」
「ぼんやりしてるね」
「ちょっと眠くて」
「今日は、どこかに泊まっていくのかい?」
「いいえ、もう髪を切ったら帰ります」
「そいは勿体ない。ゆっくりしていけば良いのに」
「ははっ……」
俺からしたら、今だけ悪いが別に会話としたい気持ちじゃなかった。
だんだん乾いた声があからさまに聞こえるが、おじさんは気づいていないらしい。首元が随分涼しくなったとの、頭が軽くなっていくのが嬉しい。さっぱりして、もうすぐ帰るんだと、そればかりが気になった。
「もう少しで終わりそうですか?」
「ああ、もう終わるよ」
チャキッ、チャキッ、とハサミの金属音を聞きながら俺の脚は子供が大人しく出来ない時のように脚をブンブンと振っていた。
「何か約束があるのかい?」
「まぁ、そんなところです」
ようやく首回りに巻かれていた布が解かれ、付いてしまった切られた髪の毛を洋服から軽く叩き落とす。「どうですか?」と鏡を持って来て見せてくれたが、問題ない。久しぶりに自分のうなじを見た気がする。
「有難うございます。これだけ短かったら、そんなにすぐに髪も伸びてこないですね
(スカートは似合わなくなるけど)
心の中で、スカートの心配をしてしまったが口に出なくて良かった。ハッとして思わず口元を押さえてしまった俺。
「お客さん?」
「有難うございました。お代はいくらですか? 俺、持っているのが銅貨しかないんですけど……支払い銅貨でも良いですか?」
「銅貨でも大丈夫ですよ。銅貨5枚になります」
「分かりました、っと……1,2,3、4……はい。銅貨5枚です」
「確かに5枚確認しました。お客さん、本当に泊まっていかなくて良いのかい?」
「ええ、待っている人がいるんで!」
じゃ! と俺は足早に入って来たドアの前へ。
「そんなに急いでだなんて、お客さんにとって会いたくて仕方ない人なんだろうね」
惚気を聞いてしまったとばかりに、やれやれとした表情を浮かべたおじさんに、「はい!」と大きな声で答えて店を出た。
あとは来た道を辿るだけ。
何か、ソラにお土産をと思ったが、食べ物は足りないし、洋服だって入らない。うーんと思いながらも、俺の足取りは軽く速かった。
「ま、ソラのことだ。お土産が無くても怒らないだろ」
ソラってば、俺に甘いし。
なんて余裕なことを思いながら、少しだけ不安があった。どうしても、別れる前に見たソラがよそよそしく、俺を置いて行ってしまったら? という不安。
(いやいやいや、ないないない。ソラが俺を置いていくなんてことは……)
ブンブンと顔を左右に振りながら、脚は止めず。噴水を抜け、街の入り口を抜け。競歩の選手にでもなれるんじゃないかと思う早足で歩きながら、俺の視界に見えていたのは草原だった。
「あ、もう街出てたのか」
ピタリと脚を止めて後ろを振り返る。俺は人間で、ソラは巨人。きっと生活するなら人間のところが生活に支障は無いだろう。けどやっぱり俺は────。
「……ソラ」
やっぱり俺は、ソラと一緒が良い。
******
うーん。シリーズを終わらせるかもしれません><
(ソラ、今頃何してるんだろう?)
俺を一人で待っているだろうか? それとも、一度家に戻っているんだろうか。
ぼんやりと考えたまま、背後から聞こえるおじさんの声に適当に返事していた。
「お客さん?」
「あ、はい!」
「ぼんやりしてるね」
「ちょっと眠くて」
「今日は、どこかに泊まっていくのかい?」
「いいえ、もう髪を切ったら帰ります」
「そいは勿体ない。ゆっくりしていけば良いのに」
「ははっ……」
俺からしたら、今だけ悪いが別に会話としたい気持ちじゃなかった。
だんだん乾いた声があからさまに聞こえるが、おじさんは気づいていないらしい。首元が随分涼しくなったとの、頭が軽くなっていくのが嬉しい。さっぱりして、もうすぐ帰るんだと、そればかりが気になった。
「もう少しで終わりそうですか?」
「ああ、もう終わるよ」
チャキッ、チャキッ、とハサミの金属音を聞きながら俺の脚は子供が大人しく出来ない時のように脚をブンブンと振っていた。
「何か約束があるのかい?」
「まぁ、そんなところです」
ようやく首回りに巻かれていた布が解かれ、付いてしまった切られた髪の毛を洋服から軽く叩き落とす。「どうですか?」と鏡を持って来て見せてくれたが、問題ない。久しぶりに自分のうなじを見た気がする。
「有難うございます。これだけ短かったら、そんなにすぐに髪も伸びてこないですね
(スカートは似合わなくなるけど)
心の中で、スカートの心配をしてしまったが口に出なくて良かった。ハッとして思わず口元を押さえてしまった俺。
「お客さん?」
「有難うございました。お代はいくらですか? 俺、持っているのが銅貨しかないんですけど……支払い銅貨でも良いですか?」
「銅貨でも大丈夫ですよ。銅貨5枚になります」
「分かりました、っと……1,2,3、4……はい。銅貨5枚です」
「確かに5枚確認しました。お客さん、本当に泊まっていかなくて良いのかい?」
「ええ、待っている人がいるんで!」
じゃ! と俺は足早に入って来たドアの前へ。
「そんなに急いでだなんて、お客さんにとって会いたくて仕方ない人なんだろうね」
惚気を聞いてしまったとばかりに、やれやれとした表情を浮かべたおじさんに、「はい!」と大きな声で答えて店を出た。
あとは来た道を辿るだけ。
何か、ソラにお土産をと思ったが、食べ物は足りないし、洋服だって入らない。うーんと思いながらも、俺の足取りは軽く速かった。
「ま、ソラのことだ。お土産が無くても怒らないだろ」
ソラってば、俺に甘いし。
なんて余裕なことを思いながら、少しだけ不安があった。どうしても、別れる前に見たソラがよそよそしく、俺を置いて行ってしまったら? という不安。
(いやいやいや、ないないない。ソラが俺を置いていくなんてことは……)
ブンブンと顔を左右に振りながら、脚は止めず。噴水を抜け、街の入り口を抜け。競歩の選手にでもなれるんじゃないかと思う早足で歩きながら、俺の視界に見えていたのは草原だった。
「あ、もう街出てたのか」
ピタリと脚を止めて後ろを振り返る。俺は人間で、ソラは巨人。きっと生活するなら人間のところが生活に支障は無いだろう。けどやっぱり俺は────。
「……ソラ」
やっぱり俺は、ソラと一緒が良い。
******
うーん。シリーズを終わらせるかもしれません><
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