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■人間の街にやって来た②
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■人間の街にやって来た②
何となくモヤモヤするような。歯がゆい気持ちを切り替えるように、俺は目印の噴水へと走って行った。早く稼いで、早く髪を切らなくては。
「こんにちは。洋服を売りたいんですが、ココ空いてますか?」
「大丈夫よ。早い者勝ちだから、早くした方が良いわ」
「有難うございます」
噴水の側でパンを売ろうとしていた女性がいたから聞いてみる。早い者勝ち形式か、理解。急いで持っていたカバンから布を取り出し、それから洋服を並べた。多いのは、やっぱり女性ものの服。ワンピースや、リボンがついたような上着もある。
(リタさんの感覚、結構現代よりかもしれないな)
街中で見かけた女性たちは、どちらかといえば映画やゲームに出て来る昔の洋風キャラのような恰好ばかりだった。これは新しいし、一気に売れるのでは? と内心自信を持つ俺。この世界なら、俺は天才バイヤーになれるのでは? と思ってしまった。
「あら、お兄さん。可愛い洋服ばっかりじゃない。やだわぁ、私も欲しくなっちゃった。後で来たときに無かったら嫌だから、これをくれる? いくら?」
そう言ってくれたのは、さっき場所は早い者勝ちだと教えてくれた女性だ。ウエストがゴムになっているロングスカートを手に取って、「可愛いわぁ」と言ったあと俺に買いたいと言ってくれた。幸先が良いと思いながら、まず金銭感覚が分からない。一応、ソラに出かける前に人間のお金についてレクチャーを受けているが、持ち金もないため返答に困った。
「有難うございます! それなら、銅貨5枚はどうですか?」
「良いわ、はい」
「お買い上げ有難うございます」
リタさん、やったよ~~! と心の中でガッツポーズをしながら、俺の営業は良いスタートを切った。
スカートが一枚減ったため、そこに補充するように新しいスタートを並べる。そして俺は敷物の上へ。よし! と座り込み、笑顔を浮かべた。
(こういうのは、恥ずかしがってたら駄目だからな)
「こんにちは~。素敵な洋服を持って来ました! 良かったら見て行って下さい!」
声を普段より高く、営業スマイルとばかりに、笑顔を作り。見るだけでも大丈夫ですよ~と雰囲気を作っていると、朝も早いというのに街の人たちが一人。また一人と俺の前で足を止めた。
「見ない顔の人ね?」
「はい、初めてこの街に来ました」
「なになに、何を売っているの?」
「洋服です。男性用、女性用と両方お取り扱いがありますよ」
「なかなか見ない形の服ね」
「そうですね。結構先取りなデザインで、お洒落ですよ」
「先取り?」
「最先端ってことです」
「私、これが欲しいわ」
「有難うございます。そちら、銅貨5枚です」
質問も多く、一つ一つに応えていく。商売には大切なことだ。その結果か。
チャリンチャリンと、俺の手の平に次々に銅貨が渡されていく。商売繫盛。これはリタさんに良い土産話が出来たぞと心の中で大興奮。
(書類なんかが机に積まれるわけでもなく。ひたすら商品が売れていく……!)
気分だけは天才バイヤー。いや、待てよ? これがもしかして俺の異世界転生物語なのか……!? 今からバイヤーとして無双していくのか!? なんて調子に乗ったりもした。
人が一人、二人と集まるように俺の前に並べていた洋服は一枚、二枚と無くなり。鞄の中の洋服も少なくなり。随分軽くなったなと思いつつ、代わりに受け取った銅貨を入れた袋は重くなった。
「さて、あんまり遅くなったら髪を切る時間も無くなるし……」
(ソラが俺を一人で待ってるからな)
ここらで店じまいにするかと、敷物を畳の凝っていた残り少ない洋服を丁寧に鞄に戻した。
「あら、もうお店閉めちゃうのかい?」
「はい。有難いことに大繁盛しまして……。ところで、髪を切ってくれるお店はこの辺にありますか?」
「ああ、お兄さん髪の毛伸びてるもんね」
「ははっ。そうなんです。もう気になっちゃって」
「良いよ。おすすめなのは、ここをまっすぐ歩いた先にあるお店ね。看板が出てるから、すぐ分かると思うわ」
「有難うございます」
「こちらこそ。また良かったら、この街に着て可愛い洋服を売って頂戴ね」
「勿論!」
ペコリと小さく会釈して、俺は女性が指さした方へと歩いて行った。
*******
ネタ切れです(´;ω;`)
お気軽にコメント頂けると嬉しいです(^^)
何となくモヤモヤするような。歯がゆい気持ちを切り替えるように、俺は目印の噴水へと走って行った。早く稼いで、早く髪を切らなくては。
「こんにちは。洋服を売りたいんですが、ココ空いてますか?」
「大丈夫よ。早い者勝ちだから、早くした方が良いわ」
「有難うございます」
噴水の側でパンを売ろうとしていた女性がいたから聞いてみる。早い者勝ち形式か、理解。急いで持っていたカバンから布を取り出し、それから洋服を並べた。多いのは、やっぱり女性ものの服。ワンピースや、リボンがついたような上着もある。
(リタさんの感覚、結構現代よりかもしれないな)
街中で見かけた女性たちは、どちらかといえば映画やゲームに出て来る昔の洋風キャラのような恰好ばかりだった。これは新しいし、一気に売れるのでは? と内心自信を持つ俺。この世界なら、俺は天才バイヤーになれるのでは? と思ってしまった。
「あら、お兄さん。可愛い洋服ばっかりじゃない。やだわぁ、私も欲しくなっちゃった。後で来たときに無かったら嫌だから、これをくれる? いくら?」
そう言ってくれたのは、さっき場所は早い者勝ちだと教えてくれた女性だ。ウエストがゴムになっているロングスカートを手に取って、「可愛いわぁ」と言ったあと俺に買いたいと言ってくれた。幸先が良いと思いながら、まず金銭感覚が分からない。一応、ソラに出かける前に人間のお金についてレクチャーを受けているが、持ち金もないため返答に困った。
「有難うございます! それなら、銅貨5枚はどうですか?」
「良いわ、はい」
「お買い上げ有難うございます」
リタさん、やったよ~~! と心の中でガッツポーズをしながら、俺の営業は良いスタートを切った。
スカートが一枚減ったため、そこに補充するように新しいスタートを並べる。そして俺は敷物の上へ。よし! と座り込み、笑顔を浮かべた。
(こういうのは、恥ずかしがってたら駄目だからな)
「こんにちは~。素敵な洋服を持って来ました! 良かったら見て行って下さい!」
声を普段より高く、営業スマイルとばかりに、笑顔を作り。見るだけでも大丈夫ですよ~と雰囲気を作っていると、朝も早いというのに街の人たちが一人。また一人と俺の前で足を止めた。
「見ない顔の人ね?」
「はい、初めてこの街に来ました」
「なになに、何を売っているの?」
「洋服です。男性用、女性用と両方お取り扱いがありますよ」
「なかなか見ない形の服ね」
「そうですね。結構先取りなデザインで、お洒落ですよ」
「先取り?」
「最先端ってことです」
「私、これが欲しいわ」
「有難うございます。そちら、銅貨5枚です」
質問も多く、一つ一つに応えていく。商売には大切なことだ。その結果か。
チャリンチャリンと、俺の手の平に次々に銅貨が渡されていく。商売繫盛。これはリタさんに良い土産話が出来たぞと心の中で大興奮。
(書類なんかが机に積まれるわけでもなく。ひたすら商品が売れていく……!)
気分だけは天才バイヤー。いや、待てよ? これがもしかして俺の異世界転生物語なのか……!? 今からバイヤーとして無双していくのか!? なんて調子に乗ったりもした。
人が一人、二人と集まるように俺の前に並べていた洋服は一枚、二枚と無くなり。鞄の中の洋服も少なくなり。随分軽くなったなと思いつつ、代わりに受け取った銅貨を入れた袋は重くなった。
「さて、あんまり遅くなったら髪を切る時間も無くなるし……」
(ソラが俺を一人で待ってるからな)
ここらで店じまいにするかと、敷物を畳の凝っていた残り少ない洋服を丁寧に鞄に戻した。
「あら、もうお店閉めちゃうのかい?」
「はい。有難いことに大繁盛しまして……。ところで、髪を切ってくれるお店はこの辺にありますか?」
「ああ、お兄さん髪の毛伸びてるもんね」
「ははっ。そうなんです。もう気になっちゃって」
「良いよ。おすすめなのは、ここをまっすぐ歩いた先にあるお店ね。看板が出てるから、すぐ分かると思うわ」
「有難うございます」
「こちらこそ。また良かったら、この街に着て可愛い洋服を売って頂戴ね」
「勿論!」
ペコリと小さく会釈して、俺は女性が指さした方へと歩いて行った。
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