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■いよいよ出発するけれど
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■いよいよ出発するけれど
「なぁ、ソラ。そんなに嫌なら止めとこうか? 俺、別に髪の毛伸ばしても良いし」
「大丈夫゛。僕は束縛したりしたい巨人だから」
「お前なぁ……」
ズゥン……ズゥン……と向かっているのは、いつもと違う方向。ソラの高さからの道を覚えた市場ではない。今日は、いよいよ人間の街の方へと向かっている。
俺の手には珍しく荷物付き。リタさんが作った洋服に、また新しい洋服を着てソラの手の平に乗っている。初めて会った森と湖までやって来て、少しだけ懐かしさを感じた。
「缶コーヒー一本と、スーツとかで異世界転生だもんなぁ……」
遠い昔のような、最近の出来事のような。不思議な感じだ。今ではこの世界に慣れたし、やっぱり楽だ。好きな物に囲まれた生活って、こんなに良い影響を与えるんだな。ふ~、ストレスフリー最高。なんて俺とは異なり、緊張しているのはソラの方だ。
「ソラ、緊張するなよ。人間の街に行くのは、俺だから」
「分かってるけど! 僕も僕なりに色々と緊張することがあるんだよ」
「人間に怖がられないようにとか? それとも、近づいているのがバレないようにするとかか?」
「それもあるけど……まぁ、色々と!」
「ふーん、巨人も繊細なんだな」
「そうだよ」
あのギュッと目を瞑った顔じゃなく、可愛く口を尖らせたソラ。
だんだんと遠くの方に、今では不思議と小さく見える町が見えた。
「あ、ソラ。見えて来た。人間の街って小さいんだな」
「高見たちのサイズだよ」
「そうだったな」
うっかり今では俺もサイズだけは巨人感覚に慣れ、小さいなんて言ってしまった。
「ソラ、良いのか? ソラも俺以外の人間に会いたいんだろう?」
「そうだけど……」
リタさんが、ソラは人間が好きでわざわざ自身と同じ巨人たちがいる方ではなく、人間の街に近い方に住んでいると言っていた。それに、初めて会った時も互いに会いたかった巨人と人間同士。それは嬉しそうな顔をしていたのを覚えている。
(やっぱり俺以外の人間が良いなんて言われたら、ショックだけど)
ソラは優しいから口に出したりしないだろうが、もしだ。もし、そんなことを言われた俺はどうすれば良い?
「高見? どうしたの、緊張してるの?」
「そんなとこかな」
「僕はこの辺まででにするね。ちょっと遠いけど、夜になる前にさっき通った森の入り口まで来てくれれば一緒に家に帰るから」
「ああ、うん」
何となくソラの言葉が気になった。
(来てくれれば? 俺の思い違いか?)
まるで俺が戻って来ないことがあるような口ぶり。そんなことないのにと思いながら、「ソラ」と名前を呼ぶことはなく。
「じゃあ、高見。行ってらっしゃい」
「ああ! リタさんの洋服を売りまくって、髪も切って来るぜ!」
気にしないと思いつつも、同じサイズ感なのが嬉しいのか人間の街へ行くことを楽しみにしていた。
******
「なぁ、ソラ。そんなに嫌なら止めとこうか? 俺、別に髪の毛伸ばしても良いし」
「大丈夫゛。僕は束縛したりしたい巨人だから」
「お前なぁ……」
ズゥン……ズゥン……と向かっているのは、いつもと違う方向。ソラの高さからの道を覚えた市場ではない。今日は、いよいよ人間の街の方へと向かっている。
俺の手には珍しく荷物付き。リタさんが作った洋服に、また新しい洋服を着てソラの手の平に乗っている。初めて会った森と湖までやって来て、少しだけ懐かしさを感じた。
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「それもあるけど……まぁ、色々と!」
「ふーん、巨人も繊細なんだな」
「そうだよ」
あのギュッと目を瞑った顔じゃなく、可愛く口を尖らせたソラ。
だんだんと遠くの方に、今では不思議と小さく見える町が見えた。
「あ、ソラ。見えて来た。人間の街って小さいんだな」
「高見たちのサイズだよ」
「そうだったな」
うっかり今では俺もサイズだけは巨人感覚に慣れ、小さいなんて言ってしまった。
「ソラ、良いのか? ソラも俺以外の人間に会いたいんだろう?」
「そうだけど……」
リタさんが、ソラは人間が好きでわざわざ自身と同じ巨人たちがいる方ではなく、人間の街に近い方に住んでいると言っていた。それに、初めて会った時も互いに会いたかった巨人と人間同士。それは嬉しそうな顔をしていたのを覚えている。
(やっぱり俺以外の人間が良いなんて言われたら、ショックだけど)
ソラは優しいから口に出したりしないだろうが、もしだ。もし、そんなことを言われた俺はどうすれば良い?
「高見? どうしたの、緊張してるの?」
「そんなとこかな」
「僕はこの辺まででにするね。ちょっと遠いけど、夜になる前にさっき通った森の入り口まで来てくれれば一緒に家に帰るから」
「ああ、うん」
何となくソラの言葉が気になった。
(来てくれれば? 俺の思い違いか?)
まるで俺が戻って来ないことがあるような口ぶり。そんなことないのにと思いながら、「ソラ」と名前を呼ぶことはなく。
「じゃあ、高見。行ってらっしゃい」
「ああ! リタさんの洋服を売りまくって、髪も切って来るぜ!」
気にしないと思いつつも、同じサイズ感なのが嬉しいのか人間の街へ行くことを楽しみにしていた。
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