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■気になったけれど、結局いつも通りに戻った
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■気になったけれど、結局いつも通りに戻った
今日も今日とて、ソラが小鳥に餌をやるようにパンを小さく砕き。同じくミニチュアサイズの食器に、慎重にスープを注ぎ入れていた朝食時のこと。
ソラの作るご飯が美味いと話していると、「ねぇ、高見」とソラがパンを口に運ぶ手を止めて言った。
「ねぇ、高見。高見は、人間の街に行ってみたい?」
突然の質問。いや、突然ではないか。 ここ数日のソラの様子は何か物言いたげで、俺の方をチラチラと見ていた。それが今日だったというだけだ。ソラにつられるように、俺もパンを持つ手を置いて質問に答える。
「あー……うん、そうだなぁ……」
じっ……と俺を見つめるソラ。何でこんなことを言うんだろう? と思ったが、その理由も俺は知っている。
(やっぱり、リタさんの言葉を気にしてたんだな)
うーん。とソラから視線を逸らし。一度下した手で、もう一度パンを手に取り口に運んだ。(腹が減っては何とやらだ)
「そうだなぁ……」
あーパンが美味いな思いつつ、俺もきちんと考える。
ソラといるとのは楽しいし、ソラのことが好きだから一緒にいるのは嫌じゃない。だが、人恋しくないかと問われれば少しだけ嘘になる。たまには違う人に会ってみたいというのか、市場で他の巨人に会うことはあれど人間トークがしたいというのか。
だが、ソラは俺が居なくなったら寂しいに違いない。それがあり、すぐに首を縦に振れずにいた。あと人間の街の場所がどこか分からないから、別に急いで探しに行こうとか思わなかった部分もある。
「高見、僕のことは良いから。正直に話してね」
「そうだなぁ……」
パクッ、とまたパンを一口食べながら少し前の事を思い出した。
******
「高見。準備出来た?」
「ああ! ばっちりだ」
「じゃあ、行こうか」
嬉々として家を出で向かったのは、定期的に行くようになった巨人の市場。なかでも着いて一番に向かうのは、リタさんのお店。初めて会った時は道端だったが、ちゃんとお店を持っているらしい。けっこうちゃんとしたお店に、俺達人間の洋服以外に小物を作って置いている。
「リタ、高見を連れて来たよ」
「ソラ、高見。いらっしゃい」
「お久しぶりです」
「高見に会えて嬉しいわ。どう? 私のワンピースは着てくれた?」
「あ、いやー……あれは……」
「うん。僕と二人きりの時にね。可愛かったよ」
「やだ、私の前でも着て見せてよ! 高見」
「え゛」
「駄目だよ、リタ。高見の可愛い恰好は、僕しか見ちゃいけないんだ」
「あら、ソラ。貴方、独占欲なんてものもあったのね」
「僕も驚いてる」
「あらあらあら、高見が来てくれて良かったわ、色々と」
「色々と?」
お店のカウンターに座りながら二人を見ていると、いきなり話が振られた。
「ええ、高見が来てからソラが明るくなったわ。それに社交的にも。この市場にだって、滅多に顔を出さなくて家に一人閉じこもってたっていうのに」
「あー……分かる気がする。ソラ、すげぇ髪だって伸び放題だったし」
それが今は俺激推しのワンレンだもんな。
「返す言葉もないから、二人してそれ以上言うのは止めてよ」
「はいはい。とはいっても……高見は、私たちとばかりいて良いの?」
「え?」
「同じサイズの人間が恋しくないの?」
「リタ。何でそういうこと言うの」
「ソラだって分かっているでしょう? 同じ形をしているとしても、私たちは種族が違う。高見のことを思うなら、一度は人間に会わせないと駄目よ。フェアじゃないわ」
「……」
「えっと、二人とも。俺のこと考えてくれて有難う! ただ、今すぐには答えが出ないからさ。気にしないでくれよ。それよりも何だか俺、今無性にリタさんの新作が着たい気分だな~」
******
なんてことがあったばかりで。
(まぁ、ソラなりに俺の事を考えてくれているんだな)
俺が最初に思ったのは、人間に会いたいよりもソラが俺の事ちゃんと考えてくれているのが嬉しいってことで。
「高見」
「んー。まだこの世界に慣れてない部分もあるから、おいおいな?」
「じゃあ、まだ高見は僕と一緒にいる?」
「ああ。ソラと一緒にいるぜ」
「嬉しい!」
なんて。
すっかりまた、いつもどおりの日常に戻った俺たちだった。
*******
健全のままこちらも早く終わらせるかもしれません><
気付くの遅れてすみません!こちらのシリーズのどれかに、ラッパ?押して下さり有難うございました(^^)嬉しいです
今日も今日とて、ソラが小鳥に餌をやるようにパンを小さく砕き。同じくミニチュアサイズの食器に、慎重にスープを注ぎ入れていた朝食時のこと。
ソラの作るご飯が美味いと話していると、「ねぇ、高見」とソラがパンを口に運ぶ手を止めて言った。
「ねぇ、高見。高見は、人間の街に行ってみたい?」
突然の質問。いや、突然ではないか。 ここ数日のソラの様子は何か物言いたげで、俺の方をチラチラと見ていた。それが今日だったというだけだ。ソラにつられるように、俺もパンを持つ手を置いて質問に答える。
「あー……うん、そうだなぁ……」
じっ……と俺を見つめるソラ。何でこんなことを言うんだろう? と思ったが、その理由も俺は知っている。
(やっぱり、リタさんの言葉を気にしてたんだな)
うーん。とソラから視線を逸らし。一度下した手で、もう一度パンを手に取り口に運んだ。(腹が減っては何とやらだ)
「そうだなぁ……」
あーパンが美味いな思いつつ、俺もきちんと考える。
ソラといるとのは楽しいし、ソラのことが好きだから一緒にいるのは嫌じゃない。だが、人恋しくないかと問われれば少しだけ嘘になる。たまには違う人に会ってみたいというのか、市場で他の巨人に会うことはあれど人間トークがしたいというのか。
だが、ソラは俺が居なくなったら寂しいに違いない。それがあり、すぐに首を縦に振れずにいた。あと人間の街の場所がどこか分からないから、別に急いで探しに行こうとか思わなかった部分もある。
「高見、僕のことは良いから。正直に話してね」
「そうだなぁ……」
パクッ、とまたパンを一口食べながら少し前の事を思い出した。
******
「高見。準備出来た?」
「ああ! ばっちりだ」
「じゃあ、行こうか」
嬉々として家を出で向かったのは、定期的に行くようになった巨人の市場。なかでも着いて一番に向かうのは、リタさんのお店。初めて会った時は道端だったが、ちゃんとお店を持っているらしい。けっこうちゃんとしたお店に、俺達人間の洋服以外に小物を作って置いている。
「リタ、高見を連れて来たよ」
「ソラ、高見。いらっしゃい」
「お久しぶりです」
「高見に会えて嬉しいわ。どう? 私のワンピースは着てくれた?」
「あ、いやー……あれは……」
「うん。僕と二人きりの時にね。可愛かったよ」
「やだ、私の前でも着て見せてよ! 高見」
「え゛」
「駄目だよ、リタ。高見の可愛い恰好は、僕しか見ちゃいけないんだ」
「あら、ソラ。貴方、独占欲なんてものもあったのね」
「僕も驚いてる」
「あらあらあら、高見が来てくれて良かったわ、色々と」
「色々と?」
お店のカウンターに座りながら二人を見ていると、いきなり話が振られた。
「ええ、高見が来てからソラが明るくなったわ。それに社交的にも。この市場にだって、滅多に顔を出さなくて家に一人閉じこもってたっていうのに」
「あー……分かる気がする。ソラ、すげぇ髪だって伸び放題だったし」
それが今は俺激推しのワンレンだもんな。
「返す言葉もないから、二人してそれ以上言うのは止めてよ」
「はいはい。とはいっても……高見は、私たちとばかりいて良いの?」
「え?」
「同じサイズの人間が恋しくないの?」
「リタ。何でそういうこと言うの」
「ソラだって分かっているでしょう? 同じ形をしているとしても、私たちは種族が違う。高見のことを思うなら、一度は人間に会わせないと駄目よ。フェアじゃないわ」
「……」
「えっと、二人とも。俺のこと考えてくれて有難う! ただ、今すぐには答えが出ないからさ。気にしないでくれよ。それよりも何だか俺、今無性にリタさんの新作が着たい気分だな~」
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なんてことがあったばかりで。
(まぁ、ソラなりに俺の事を考えてくれているんだな)
俺が最初に思ったのは、人間に会いたいよりもソラが俺の事ちゃんと考えてくれているのが嬉しいってことで。
「高見」
「んー。まだこの世界に慣れてない部分もあるから、おいおいな?」
「じゃあ、まだ高見は僕と一緒にいる?」
「ああ。ソラと一緒にいるぜ」
「嬉しい!」
なんて。
すっかりまた、いつもどおりの日常に戻った俺たちだった。
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健全のままこちらも早く終わらせるかもしれません><
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