【完結・BL】異世界転生してみたら、出会った巨人がめちゃくちゃタイプだった件【巨人×人間】

彩華

文字の大きさ
上 下
14 / 53

■着せる気はずっとあったらしい

しおりを挟む
■着せる気はずっとあったらしい

 それは珍しく、ソラからの頼みだった。
 
「ねぇ高見、お願いがあるんだけど」

「ん? なんだ、ソラ。俺に頼み事か?」

「うん。高見じゃないと出来ないことなんだ」

「そうなのか? まぁ、ソラの頼みなら……いいぞ」

「本当? 有難う高見」

この時、最初に内容を聞くべきだった。
だが俺の方が頼むことは沢山あるが、ソラの方からとは珍しい。この異世界に来てから、ソラには世話になりっぱなしだ。おまけにだ、俺じゃないと出来ないと言われれば頼られていると嬉しくなるもので。
人間の俺が巨人であるソラに何かしてやれることは何だろう? と思ったが、ソラの頼みならば断われない。「いいぞ」と二つ返事でいつものようにソラと視線を合わせると、これまたいつものようにソラがニコリと微笑んで言った。

「今日、これ着てみない?」

「は?」

ヒラッ、と。その手には、いつぞや市場でリタさんから買ったワンピースを広げていた。

「それ……リタさんが作ったワンピースじゃ……」

「そうだよ。高見、毎日ズボンばかり履いてるから。たまには、リタが作った可愛い服も着てみてよ。それに、僕。二人きりの時に着てねっていったのに、全然着てくれないから……」

「から?」

「もう直談判しかないかなって」

「ジカダンパン」

いつもの逆だ。今度は俺の方が、まるで呪文でも唱えるかのような口調になる。本当に良く人間の難しい言葉を知っているなぁと思う。(いや、言語は共通なのか? ならやっぱり、大きさの違い……?)
軽く考えるのを止めようと、別のことを考えてしまったが逃げることは出来ない。

「それで? 高見は?」

グイッと前進するワンピース。頭上からの笑顔の圧が凄い。

「ワンピース、着てくれるの?」

「あー……その……ソラさん?」

「僕、その他人行儀な高見は嫌だな」

「う゛っ……!」

最近、分かったことが一つある。ソラは俺がこうやって話すのが嫌いだということ。伺うような言い方が他人行儀だと拗ねるようになった。(子供っぽくて可愛い)

「高見、駄目?」

かと思えば、最近は俺がソラの可愛い顔に弱いことを利用するようになっていたりもするから質が悪い。惚れた弱みを最大限に利用しようとしてくる。
キラキラと俺の好きな瞳を輝かせ、ワンレンの髪を小首を傾げて揺らしながら。ヒラヒラとワンピースを更に近づけてくるソラ。

「っ……! だ……」

「だ?」

「だからそれは、人間の女性が着るものでだな」

「僕は気にしないって言ってるじゃないか」

「俺が気にするんだよ!」

「大丈夫だよ」

「何が大丈夫なんだよ」

「高見が恥ずかしいっていう姿は、僕しか見ないし。僕からしたら、絶対高見は可愛いから恥ずかしがることなんてないんだよ」

「そうなのか?」

「そうだよ」

「だから、ね?」と、最後にワンピースを目の前に落とされ。決めるのはお前だとでもいうように、無言のままソラが微笑んでいる。

「あ~! もう! 分かったよ! 着れば良いんだろ!」

「やったぁ、高見大好き」

何だかうまく丸め込まれた気もするが、ソラが俺を大好きというので渋々俺はワンピースを拾い上げ。俺の新居となったドールハウスに戻ったのだった。


*******
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...