【完結・BL】異世界転生してみたら、出会った巨人がめちゃくちゃタイプだった件【巨人×人間】

彩華

文字の大きさ
上 下
12 / 53

■なんだかんだで市場は楽しかった

しおりを挟む
■なんだかんだで市場は楽しかった

 「……というわけなんだ」

ソラが質問攻めにあったが、皆に落ち着いてと声をかけ。ゆっくりと今日までの事の経緯を話した。他の巨人たちも、わぁっ……! となったものの、今では落ち着いている。

(巨人て乱暴な奴とかもいるのかなと思ってたけど、皆大人しいんだな)

ソラの説明を聞き終え、皆うんうんと考えながら俺とソラの顔を交互に見返す。一人が、スッと俺を指さして、復習のように言葉を続けた。

「ふーん。その高見は、イセカイテンセイってのをしてきたのね?」

「そういうことみたい」

「それで、普通の人間と違って大きいものが好きと」

「そうなんだって。だから、僕のことも怖がらなかったし、市場にも来たいって言い張って留守番してくれなかったんだよ」

違うのは、今の光景。ソラの頭の上から落りて、手の平にちょこんと座っている。
じっ……と大きな目が俺を見つめるが怖くない。
途中、ソラがまだ俺が留守番をしなかったことを根に持っているなと思いながら、巨人たちに愛想よく笑顔を向けた。

「さっき自己紹介しちゃったけど、俺は高見。よろしくな」

「本当に、怖がらないのね。人間は私たちを見かけると悲鳴を上げるのに」

「ね? 高見は凄い人間なんだよ。じゃあ、僕たちは買うものがあるから……」

「待って、ソラ。何を買うか当ててあげましょうか? 高見の洋服でしょう?」

「そうだけど……」

「そうなのか!?」

結構まだクローゼットの中に洋服あるのに!? と思ったが、言わない方が良いだろう。

「そうよ。高見、知らないの? ソラは人間が大好きなのよ。巨人ってだけで人間から、巨人は怖がられているのに不思議よね」

「だって人間だって、大きさが違うだけで僕たちと同じだから……人間のことが知りたいんだ」

「ソラ、怒らないでよ。悪気があったわけじゃないのよ? ほら♡洋服の品揃えはバッチリだから、好きな洋服を選んでって言いたかっただけなの」

そう言うと、ソラと話していた女性の巨人が木箱のようなものを取り出して中を見せた。中にあったのは、巨人からしたら小さな洋服。

「この人、洋服屋さんなのか?」

「うん。リタは手先が器用で、沢山人間の洋服を作っているんだよ。リタだって人間が好きなのにね」

「そうね。着せ替え人形感覚で可愛いとは思っているけれど……」

ニコリと微笑んだリタさんが、やや前のめりになりながら俺に近づいて笑った。

「高見、着てみない?」

これとか♡と広げた洋服は、明らかに女性もの。ヒラヒラの可愛いワンピースを、良い年をした成人男性に着せたいらしい。

「あ、えと……それは……人間の女性が着るもので……」

「あら、知ってたの。可愛いわよね。このヒラヒラ」

ジリジリとリタさんが近づいてきて、ワンピースの圧が凄い。いや、だが着るわけには……! ほら、公衆の面前だし? ソラだっているわけだし。


「リタさん、気持ちはありがたいんですが……それは……」

(誰か助けてくれ~)

そんな俺の心を読んでか、ソラが助け舟を出してくれた。

「リタ。そのくらいにしてよ。高見が困ってるよ」

「ソラ」

可愛い顔をしているのに、頼りになる~! は~、好きだ~!
なんてニヤついてしまった俺をよそに、リタさんは諦めないらしい。

「どうしても駄目?」

俺と同じように、今度はソラを上目遣いでリタさんが見つめたが効果は無かった。

「駄目」

「そう……」

見るからにシュンとしたリタさん。少しだけ罪悪感で胸が痛んだが、仕方がない。そんな可愛い洋服は俺には……なんて思っていたがソラが言った。

「がっかりしないで、リタ。その洋服は貰うから」

「は?????」

何で? ソラの平の上で置いてけぼりのまま、ソラがお金を支払いリタさんがワンピース意外にも洋服を手渡していた。

「まいどあり♡」

じゃあねと手を振って俺たちの前から去っていくリタさん。(大きい)


「あの~。ソラさん? その洋服は……」

「高見が恥ずかしくないように、僕と二人きりの時に着てね」

ニコリとワンレンのサイドの髪を揺らしながら微笑んだ顔は本当に可愛かったが、内容は全然可愛くなかった。だが、惚れた弱みという言葉がある通り。

「し……かたねぇな……」

ソラに惚れているいる俺は、結局ソラの頼みを断れないのだ。

それからまぁ……なんだかんだで、市場は楽しかった。

*******
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...