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■宙を舞う缶コーヒー②
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■宙を舞う缶コーヒー②
(俺、死なないよな……?)
ヒクリと上がった口角の感覚と、視界に映るのは買ったばかりの缶コーヒー。俺の140円! と思い、腕を伸ばし。コーヒーに触れることなく、そこで俺の意識はブツリと切れた。
「ん……?」
チカッと瞼の裏か。真っ暗な視界の中で意識が浮上する感覚。チチチッ……と鳥の鳴く声がして、頭も覚醒してくる。
(え……、鳥……?)
このシュチュエーションで思い浮かぶのは一つしかない。普段テンションの低い俺も、これには焦り出す。
「うわぁぁぁぁあ!! 寝坊か!?!? 今何時だ!?!?」
ガバッ! と身体を起こしてみたが、俺の手に布団は握られていない。スーツ姿で一人、草の上にいた。
「え? まだ俺、夢見てるのか?」
確かに現代社会から離れないとは思っている節はあったが、夢で大自然の中に行くか? と景気づけにビンタを一発。バシン! と強めに叩いてみれば、ただ頬が痛いだけ。じわぁ……と痛む箇所が広がり、触れたままの頬をゆっくりと撫でる。
「痛い……」
おかしい。普通はココで夢から覚めるものだろう? 頬が痛いだけなんですけど? と焦り出す。結構リアルな夢だなぁと思っていれば、俺の頬に触れていない方の手にコロリと何かが触れた。チラリとそれを見た刹那、俺の血の気はサーッ……と引いていくわけで。
「……な、なななん゛……!」
視界に入ったのは、一本の缶コーヒー。それから一気に頭の中に甦るのは、意識を失う前のこと。朝なんかじゃなかったし、俺は仕事をしていた。そんでもって気分転換にコーヒーを買いに行って────。
「……階段から落ちたんだ」
血の気が引いたせいか、冷静になってくる。つまり、ここは現実離れした世界ってところだろう。いやいや、そんな好都合なことはあるか? 確かにさ、俺も異世界転生してみたいなとは思ったが、こんな簡単に異世界に来れるものなのか? ゲームのチュートリアル的なのも無かったし、俺の姿はどうみてもサラリーマンのままだし。装備がスーツと所持品が140円の缶コーヒーとか、そんなことあるか?
「待てよ? 実は、ほっこり牧場系だったりするのか……?」
異世界にもいろいろ種類があるからな。うん。いたって平和そうな森の中だし、現に俺も獣に襲われることも無かった。そんなにハードモード系ない世界じゃないんだな。うん、きっとそう。
思った以上に俺は順応性が高かったんだなぁと思っていると、突然「ドン……!」と地震のような揺れが走った。背後にあった森から、バサバサと鳥たちが一斉に飛び立っていく。
「何だ…………っ!?」
一気にあたりに影ができ、俺の頭上も暗くなった。おまけに頭上を見上げた瞬間、ヒュッ……と喉が閉まりながら空気が漏れる。普通であれば今度こそ「死」の文字がよぎる光景が広がっているのに、俺ときたら違った意味でドキドキしてしまったわけで。
「でっかぁ…………!」
頭上に現れたのは、随分と顔の良い「巨人」だった。
■宙を舞う缶コーヒー■
それは、始まりの140円。
**********
見切り発車で始めてしまい、もう既に詰んだので近々停止するかもしれません…orz
(俺、死なないよな……?)
ヒクリと上がった口角の感覚と、視界に映るのは買ったばかりの缶コーヒー。俺の140円! と思い、腕を伸ばし。コーヒーに触れることなく、そこで俺の意識はブツリと切れた。
「ん……?」
チカッと瞼の裏か。真っ暗な視界の中で意識が浮上する感覚。チチチッ……と鳥の鳴く声がして、頭も覚醒してくる。
(え……、鳥……?)
このシュチュエーションで思い浮かぶのは一つしかない。普段テンションの低い俺も、これには焦り出す。
「うわぁぁぁぁあ!! 寝坊か!?!? 今何時だ!?!?」
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確かに現代社会から離れないとは思っている節はあったが、夢で大自然の中に行くか? と景気づけにビンタを一発。バシン! と強めに叩いてみれば、ただ頬が痛いだけ。じわぁ……と痛む箇所が広がり、触れたままの頬をゆっくりと撫でる。
「痛い……」
おかしい。普通はココで夢から覚めるものだろう? 頬が痛いだけなんですけど? と焦り出す。結構リアルな夢だなぁと思っていれば、俺の頬に触れていない方の手にコロリと何かが触れた。チラリとそれを見た刹那、俺の血の気はサーッ……と引いていくわけで。
「……な、なななん゛……!」
視界に入ったのは、一本の缶コーヒー。それから一気に頭の中に甦るのは、意識を失う前のこと。朝なんかじゃなかったし、俺は仕事をしていた。そんでもって気分転換にコーヒーを買いに行って────。
「……階段から落ちたんだ」
血の気が引いたせいか、冷静になってくる。つまり、ここは現実離れした世界ってところだろう。いやいや、そんな好都合なことはあるか? 確かにさ、俺も異世界転生してみたいなとは思ったが、こんな簡単に異世界に来れるものなのか? ゲームのチュートリアル的なのも無かったし、俺の姿はどうみてもサラリーマンのままだし。装備がスーツと所持品が140円の缶コーヒーとか、そんなことあるか?
「待てよ? 実は、ほっこり牧場系だったりするのか……?」
異世界にもいろいろ種類があるからな。うん。いたって平和そうな森の中だし、現に俺も獣に襲われることも無かった。そんなにハードモード系ない世界じゃないんだな。うん、きっとそう。
思った以上に俺は順応性が高かったんだなぁと思っていると、突然「ドン……!」と地震のような揺れが走った。背後にあった森から、バサバサと鳥たちが一斉に飛び立っていく。
「何だ…………っ!?」
一気にあたりに影ができ、俺の頭上も暗くなった。おまけに頭上を見上げた瞬間、ヒュッ……と喉が閉まりながら空気が漏れる。普通であれば今度こそ「死」の文字がよぎる光景が広がっているのに、俺ときたら違った意味でドキドキしてしまったわけで。
「でっかぁ…………!」
頭上に現れたのは、随分と顔の良い「巨人」だった。
■宙を舞う缶コーヒー■
それは、始まりの140円。
**********
見切り発車で始めてしまい、もう既に詰んだので近々停止するかもしれません…orz
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