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18】【こぼれ話】とある人間と魔王様の話②
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18】【こぼれ話】とある人間と魔王様の話②
勝手に魔王として崇めたてられ。
どうしたものかと、退屈で面倒だと思う日々を送っていた時だった。
「魔王~~! 出て来~~い!!」
「何だ、あれは」
その声は、何一つ怯えた様子も無ければ、決死の様子も無い。今までに来た勇者とは随分とタイプの異なる、ギャンギャンと煩い人間がいるのが見えた。
初めて見るタイプの人間だと、声の大きさに一瞬眉間に皺を寄せたが思わず様子を伺う。
「貴様! 何者なのだ!」
当然ながら、門番が相手をしている。いつもの勇者たちならば数人がかりで来るだろうに、あの人間は一人だけ。どこかに仲間が隠れている様子もない。
「俺? 一応勇者って肩書にはなってるんだが、そんな風じゃないからな。とりあえず、人間と魔族が平和になれねぇかなって話し合いに来た」
「はぁぁぁあ?」
耳を澄まさずとも、そんなことを言っていた。
最初の印象は変わった奴。煩い奴。それから、嫌いじゃない奴。興が乗り、トンッ……と窓辺から飛び降りた。
「ん? 誰だ? アンタ」
門番と自称勇者の間に着陸すれば、門番と異なり首を傾げる男。
「何だ、私に会いたかったんだろう?」
「会いたかった? ……って、アンタが魔王か!」
拍子抜けだった。私が魔王だと分かっても、緊張一つしない。それどころか、知人にでも会ったかのように明るく振る舞い私の肩に触れた。
「ま、魔王様!」
「良い。貴様、名が?」
「ん? 俺? 俺はナイトだ。アンタは……ああ、ハデスだったな」
*****
***
それが、私とナイトとの出会いだった。
ナイトの提案はもっともで、和平らしいことを結べば人間も恐れはせず。そうそうに私の城へ攻め入って来ないのでは? というものだった。
面白い男だった。私と異なり生命力に溢れ、人望がある。だが、やはり変わり者。
「なぁ、ハデス。俺、お前のことが好きなんだけど」
こういうところが変わり者だと思った。
(まぁ、この男の熱に浮かされてしまった私も変わり者なのだ─────)
日に日にあの男は私の元を訪れ、ただ好きだと。愛していると言った。
私も気づけば男を愛し、唇を重ね。時おり「私もお前を愛している」と柄にもないことを言った。
逢瀬を重ねたのは、少しでも姿を隠せたらとこれまた柄にもなく花々で囲まれた庭園。あの男が綺麗だと褒め、あの庭だけは私と男だけの空間だった。
まぁ、それでも所詮人間と魔族。長く一緒にいられるはずもない。
あんなに命の輝きが眩しかった男が、いとも簡単にコロリと死んだのは私と逢瀬を重ね数年してからだった。
*****
「……っ、私は……私は……ッ!」
一人、ベッドの上で胸を押さえた。苦しい。
忘れたいわけじゃない。だが、あの恋しい日々を思い出すのは同時にナイトが居ないこと知らされて苦しくなる。それから、お前以外に気をやる自分が嫌になる。
「あの淫魔の名前が、あいつと同じせいだ」
ナイトと名前を聞いた時、不意にアイツが帰って来たと思ってしまった。
『魔王様!』
『魔王!』
姿も声も違えど。そのどこか無邪気そうな瞳は同じもので。
「くそっ……!」
あの庭園に、もうあの男の匂いは残ってなどいないのに。縋るように大切にして。
そんな大切な場所を、何も知らない淫魔一匹に荒されて。それでも、つい許してしまいそうになるのは、やはりどこか似ているからで。
「こんなことなら、淫魔の名前など聞かなけば良かった」
********
ちょっと趣味入れました
伸びないなぁ…このまま完結扱いにするか、なぁなぁendになるかもしれません><
詰みました
勝手に魔王として崇めたてられ。
どうしたものかと、退屈で面倒だと思う日々を送っていた時だった。
「魔王~~! 出て来~~い!!」
「何だ、あれは」
その声は、何一つ怯えた様子も無ければ、決死の様子も無い。今までに来た勇者とは随分とタイプの異なる、ギャンギャンと煩い人間がいるのが見えた。
初めて見るタイプの人間だと、声の大きさに一瞬眉間に皺を寄せたが思わず様子を伺う。
「貴様! 何者なのだ!」
当然ながら、門番が相手をしている。いつもの勇者たちならば数人がかりで来るだろうに、あの人間は一人だけ。どこかに仲間が隠れている様子もない。
「俺? 一応勇者って肩書にはなってるんだが、そんな風じゃないからな。とりあえず、人間と魔族が平和になれねぇかなって話し合いに来た」
「はぁぁぁあ?」
耳を澄まさずとも、そんなことを言っていた。
最初の印象は変わった奴。煩い奴。それから、嫌いじゃない奴。興が乗り、トンッ……と窓辺から飛び降りた。
「ん? 誰だ? アンタ」
門番と自称勇者の間に着陸すれば、門番と異なり首を傾げる男。
「何だ、私に会いたかったんだろう?」
「会いたかった? ……って、アンタが魔王か!」
拍子抜けだった。私が魔王だと分かっても、緊張一つしない。それどころか、知人にでも会ったかのように明るく振る舞い私の肩に触れた。
「ま、魔王様!」
「良い。貴様、名が?」
「ん? 俺? 俺はナイトだ。アンタは……ああ、ハデスだったな」
*****
***
それが、私とナイトとの出会いだった。
ナイトの提案はもっともで、和平らしいことを結べば人間も恐れはせず。そうそうに私の城へ攻め入って来ないのでは? というものだった。
面白い男だった。私と異なり生命力に溢れ、人望がある。だが、やはり変わり者。
「なぁ、ハデス。俺、お前のことが好きなんだけど」
こういうところが変わり者だと思った。
(まぁ、この男の熱に浮かされてしまった私も変わり者なのだ─────)
日に日にあの男は私の元を訪れ、ただ好きだと。愛していると言った。
私も気づけば男を愛し、唇を重ね。時おり「私もお前を愛している」と柄にもないことを言った。
逢瀬を重ねたのは、少しでも姿を隠せたらとこれまた柄にもなく花々で囲まれた庭園。あの男が綺麗だと褒め、あの庭だけは私と男だけの空間だった。
まぁ、それでも所詮人間と魔族。長く一緒にいられるはずもない。
あんなに命の輝きが眩しかった男が、いとも簡単にコロリと死んだのは私と逢瀬を重ね数年してからだった。
*****
「……っ、私は……私は……ッ!」
一人、ベッドの上で胸を押さえた。苦しい。
忘れたいわけじゃない。だが、あの恋しい日々を思い出すのは同時にナイトが居ないこと知らされて苦しくなる。それから、お前以外に気をやる自分が嫌になる。
「あの淫魔の名前が、あいつと同じせいだ」
ナイトと名前を聞いた時、不意にアイツが帰って来たと思ってしまった。
『魔王様!』
『魔王!』
姿も声も違えど。そのどこか無邪気そうな瞳は同じもので。
「くそっ……!」
あの庭園に、もうあの男の匂いは残ってなどいないのに。縋るように大切にして。
そんな大切な場所を、何も知らない淫魔一匹に荒されて。それでも、つい許してしまいそうになるのは、やはりどこか似ているからで。
「こんなことなら、淫魔の名前など聞かなけば良かった」
********
ちょっと趣味入れました
伸びないなぁ…このまま完結扱いにするか、なぁなぁendになるかもしれません><
詰みました
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